A Pocket Guide to France [トピックニュース]
1944年5月。英仏海峡を渡りノルマンディーに向かうことになったアメリカの兵士たち。
彼らに、“A Pocket Guide to France”という冊子が配られたそうです。
初めてフランスに渡る兵士たちが戸惑うことなく任務を遂行できるようにとの気遣いから、ワシントンで作成された冊子だとか。
必要になるだろうと思われるフランス語のほか、そのページのほとんどがフランス人やフランスの習慣についての解説にさかれています。
本日、動画はありません。
「我々はフランス人の友人であり、彼らもまた我々の友人である」具体的な解説の前に、そう書かれてあるそうです。
1. フランス人は誇り高い個人主義者だということを理解すること
筆者は兵士たちに、「フランス人はアメリカ人と大して変わらない、ただ、違う言葉を話すというだけのことだ」と言いながらも、大きなカルチャーショックを避けるため、フランス人を上記のように説明しています。
さらに、「フランス人は現実主義者である」「金持ちも貧乏人も皆倹約家である」「外国人の前でお金とプライベートな話はしたがらない」と続けています。
また個人主義に関連して、「フランスではものの側面は2つだけではない。1ダースはある」と述べています。
2. あらゆる場所にスパイはいると思え
大事な任務を成功させるために「やらなければならないことは、あらゆる情報を自分の中に止めておくことだ」と注意を喚起することも忘れていません。
3. フランス女性と結婚する前によく考えること。
若い兵士たちは、期せずしてこういう事態に立ち入ることもあります。
アメリカ軍はフランス人との結婚には賛成ではなかったようで、「アメリカ政府は帰国する時に相手の旅費まで払わないだろう」とクギをさしています。
そして、結婚には上官の許可がいることを改めて再認識させています。
4. 政治の話をしてはならない
当時のフランスは微妙な立場におかれていたため、そのような「内輪の話」にアメリカ兵は巻き込まれてはならないと教えています。
5. フランスに馴染むようにすること
弱い者には手を差し伸べ、親切で、陽気で、明るい人という、フランス人がアメリカ人に抱いているとおぼしきイメージどおりに行動するようにと説いています。
そして、カフェに入ってお酒をがぶ飲みし酔っぱらってはならないとも書かれてあるそうです。
占領下のフランスに上陸するについては、アメリカ軍もかなり神経を使っていたようです。
さきほど気がついたのですが、この冊子、下記サイトから無料でダウンロードできます。
https://archive.org/details/PocketGuideToFrance
最初の頁の小見出しは「何故にフランスに行くのか?」。
なかなか興味深いことが書かれてあるようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、アメリカ人夫婦をディナーに招待した。これは英会話の訓練には最適とばかりにがんばってみた。すると15分ほど立った頃に奥さんの方がか細い声で言った。しかもフランス語で。『お願いだからフランス語で話して。その方がよく分かるわ』」
VDM (Vie de merde)より
D-Dayから70年・・・先日TVで特集がありました。
by rabbit (2014-06-08 14:18)
あの時代のアメリカの偉いところは、相手の文化や風習にちゃんと気を使う、度量というか余裕があったところですね。日本に対しても、歴史や文化のある京都や金沢に空襲しなかったですし。そういった、大国の余裕があったからこそ、前日の記事のように文化が世界に広がって行ったのかもしれません。
by opas10 (2014-06-09 00:17)
rabbitさん
日本人にとっては進駐軍の占領の方が大きな出来事ですが、このD-Dayは、世界の歴史でつくづく大きな出来事だったんだなと思います。
by carotte (2014-06-15 11:03)
opas10さん
当時のアメリカは文化的にも経済的にも豊かな国だったんでしょうね。今から思えば日本のような戦略もなにもないような戦い方はしてませんね。人権を尊重しながら、いかに勝つ戦いをするかに頭を使っていたような気がします。
by carotte (2014-06-15 11:08)