ミケランジェロのダビデ像 [トピックニュース]
先日は、マネの作品「草上の昼食」の中に描かれた裸婦があまりに現実的だったため、作品自体が批判にさらされることになったという話を紹介しましたが、本日は、男性の裸体像のお話です。
ルネッサンスの最も有名な彫刻といえば、イタリアのフィレンツェにあるダビデ像。
今ではミケランジェロの傑作として知らない人はいません。
そして、曖昧なところは一切なし。きちんと全てが手抜かりなく彫り出されています。
にもかかわらず、倫理に触れる!などと金切り声で批判する人は誰一人いません。
そんなことを言った日にゃあ芸術性を理解しない野暮なヤツと思われておしまい。
しかし、制作された当時はいろいろあったようです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年10月31日に放送)(▸をクリックしても映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
これはヴェッキオ宮殿前にあるダビデ像。
レプリカではあるものの、見学者は皆一様に見とれてしまいます。
「傑出した作品で力強さがあります」と女性が言っているいるそばから、ダビデが何やらスーパーマンのショーツを履かせられています。
「男性の理想の肉体ですね」と若い男性。
これは芸術作品と言い聞かせながらも、何となくあの部分が気になる・・・と思っていると、あれれれ・・・見えなくなってしまいました(笑)。
本物はアカデミア美術館にあります。
ミケランジェロは1501年から3年の歳月をかけてこの作品を完成させました。
旧約聖書に登場するダビデは、巨大なペリシテ人の兵士ゴリアテを倒した、勇敢な羊飼いの少年でした。
この像が制作された16世紀、フィレンツェはカトリック教会の強い影響下にあり、旧約聖書のヒーローがこんな姿になって登場したことは大変な問題となりました。
しかもそのサイズに手こずりました。身長は4.34メートル、体重は5.5トンもあります。
最終設置場所まで運ぶのに1ヶ月もかかったそうです。
この姿で通りを1ヶ月も練り歩いたわけですから、相当すごい騒ぎになったはず。
「驚いて怒る人、呆然と見守る人などで混乱していたはずです。中には石を投げつけて壊そうとした人もいたようです」と元文化大臣で、最近ミケランジェロの本を執筆したジャック・ラング。
このダビデ像、まるまる1ブロックの大理石から切り出され制作されています。どうやって制作していたのか現場を見てみたいものです。
物議を醸したダビデ像ですが、結局はフィレンツェの文化と政治の力を誇示するシンボルとなっていきました。
「フィレンツェにとってダビデ像は、冷静さ、パワー、優雅さを体現してくれる作品なんです」
このダビデ像に突然魂が宿ったとしたら、このアニメのように驚いて大事な部分を隠しながら逃げていくんでしょうか?
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、私は消防士。緊急出動で現場に駆けつけてみると、裸の男がトースターにあれを挟まれて身動きできないでいた」
VDM (Vie de merde)より
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