聖体の作り方 [アルザス地方]
キリスト教徒が大多数を占める欧米諸国では復活祭が始まりました。
いつもの聖金曜日なら、フランスのパリでも大聖堂で “十字架への道” という巡礼の行事が行われるはずでしたが、今はそれができません。
その代わり、サンルイ島を出発して大聖堂をぐるりと回り、正面広場まで歩くという巡礼が行われたようです。この惨事ではこうなるのも致し方なし。
さて本日は、そんなキリスト教にまつわるお話です。
ミサの後で信徒が神父様のところへ行って白いおせんべいのようなものを口に入れてもらう光景をよく目にします。
あの白いおせんべいがキリストの体を表しているというのは知っていますが、いったい何でできているのか、どうやって作るのかは謎でした。
しかし、下記のビデオを見ると、それがわかります。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局TF1で2019年4月19日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
こちらはアルザス地方のロサイム(Rosheim)にあるベネディクト修道院。
こちらでは修道女たちがキリストの体を表す聖体とよばれるパンを作っています。
カトリーヌさんが担当しているのは生地作り。小麦粉20キロに対し水20リットルを混ぜて生地を作ります。それ以外のものは何も入れません。ということは味はしないですね。
出来上がった生地は熱した鉄板に広げられ、同じく熱した鉄板で上からプレスされ焼かれます。
パリパリに焼きあがった生地を取り出すのはテレーズ=マリーさん。この道30年のベテランです。
「様々な教会で使っていただくために作っていますが、これには私たちの祈りが込められているのです」
この修道院で聖体を作り始めたのは1962年のことでした。以来、年間500万箱を製造・出荷しています。
ベネディクト派だけあって、修道女といえど祈るだけで暮らしているわけではありません。教えに従い、毎日の労働を欠かしません。
「人は皆、生きるために働き、様々な任務を遂行します。私たちも同様なのです」と修道女。
修道女の毎日の暮らしはお祈りで始まります。
こちらのシスター・マリアンヌは86歳の誕生日を迎えたばかり。担当の仕事は聖体の品質管理。この仕事をしながらも神様のこと忘れることはないそうです。
それはさておき、あの焼きあがった生地は一気にこんな風に丸く型を取られるようです。
早い話が大量生産。大勢の人に授けるものなので一つ一つ手作りでは追いつかないですね。
それに修道院の修復のために収益を上げる必要もあります。寄付だけを当てにするのではなく自らも働いて収入を得るということのようです。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、ミサに行った。聖体を授けてもらおうと立ちあがった瞬間、妹が言った。『お姉ちゃん、私の分も一枚もらってきて。お腹ぺこぺこだよ!』」
VDM(Vie de Merde)より
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