カーニバル 〜スイスのなまはげ?〜 [スイス]
スイスのローチェンタル(Lötschental)渓谷では、カーニバルの間、恐ろしい風体の怪物が夜な夜な歩き回ります。
怪物の名はチャガタ(Tschägättä)。渓谷にあるブラッテン(Blatten)村からフェルデン(Ferden)村までの7~8キロを、100人(匹?)ほどのチャガタが、カウベルを鳴らしながら歩き回ります。もちろん本物の怪物ではなく、中には人間が入っています。
かつては見物人の頭に灰を投げつけたり、民家に押し入って食べ物をかってに持ち出したりしていたそうですが、20世紀になってからは、そこまではやらなくなったそうです。
そして今では、練り歩く時間や地域も規則で制限されています。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。
チャガタの起源ははっきりしていません。山賊が怪物に変装したという伝説から来ているとか、16世紀頃、変装して当時の行政に抗議したのがその起源だとするなど諸説あります。
チャガタの顔は木彫りのお面。番組に登場した方は、このお面を作る最後のプロの職人さんです。
職人さんによれば、良いお面とは、怖くて、可笑しくて、ハイパーテンションで、ヒステリックなお面だそうです。この味を出すのはなかなか難しそうです。
チャガタに扮するためには、まず羊か山羊か牛の毛皮を着込み、カウベルのついたベルトを固く締めます。全体の重さは10〜15キロほどにもなります。この衣装を身に着けると、性格が変わるとか。
昔は、教会が指定した日の昼間だけの行事だったのですが、数年前から夜も行われるようになりました。
カウベルの音が聞こえて来ただけで逃げ出す子供もいるそうですが、この珍しいパレードを見物しに遠くからやってくる観光客もいるそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、甥っ子を怖がらせようと醜い魔法使いのお面をつけてみた。なぜか甥っ子は、毎回、僕がそのお面を取った時だけ驚くのだった」
VDM (Vie de merde)より