ヴォージュ温泉めぐり その1 〜 プロンビエール=レ=バン 〜 [ロレーヌ地方]
フランスには温泉施設が全国に150以上もあるそうです。日本の比ではないとは言うものの、思いのほかたくさんあります。
というわけで、今日から5回シリーズで、ヴォージュ県にある温泉地を紹介します。
下記地図の青→赤→緑→水色→紫の順に訪ねます。
第一回目は、ヴォージュ山脈の麓にあるプロンビエール=レ=バン(Plombière-les-Bains)。人口は2,000人ほど。
ここに温泉をみつけたのはローマ人だそうです。伝説によると、ガリア地方へと進軍してきたローマ軍のある兵士が、連れていた犬が夜の間にいなくなったので近くを探していると、温泉が湧き出ているのを発見。そこで、ローマ人は、温泉が使えるように大掛かりな工事を行ったのだそうです。
主に、戦いで怪我を負った兵士の治療のためだったのではないかと考えられています。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年5月23日放送)
ここの温泉は欧州で最も温度の高い温泉だそうです。
村には2世紀頃のローマ風呂が修復されて残っています。その長さは40メートル以上、幅は9メートル。地下には階段状になった座席が3列から4列ならんでおり、そこに各自勝手に座って数時間すごしていたそうです。
その一部は実際に今でも使われています。ただし、入る時間は10分ほどが良いとされています。お湯の温度は65度くらいで、部屋の温度は約50度、湿度は100%。汗とともに身体の毒素が排出されるそうです。ここに入る前と後には必ずシャワーにかかります。
プロンビエールは、19世紀になってさらに大きく発展します。
ここに療養に来ることになったナポレオン三世が、屋敷、宿泊施設、独自の温泉施設、庭などを作らせたのです。そのため、町は別名「Mille Balcons(1000のバルコニー)」と呼ばれるほど。これにより、さらに温泉療養に来る人たちが増えたそうです。
今では、年間4,000人ほどの人たちが、美しい建物や町を楽しみながら療養に訪れるそうです。
お客さんがインタビューに答えていた場所は、ナポレン三世の作った温泉施設Thermes Napoléon。立派な施設です。
プロンビエールの名物は温泉だけではありません。果物のコンフィを入れたアイスクリームも有名です。1882年に売り出されました。
また、かつての駅舎を利用したカジノもあります。温泉地だけあって娯楽施設も完備ですね。
因に、フランスでは、温泉治療は健康保険の対象になっているそうです。医者に処方箋を書いてもらうと長期で滞在でき、さらに「病欠」扱いなので有給休暇には影響しないとか。なんともうらやましい限りです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、何ヶ月も仕事で忙しかったので、病欠ということにして、職場から40キロ離れた温泉地で、一日ゆっくり一人で過ごすことにした。二つ目のジャグジー風呂から上がったところで、あろうことか上司とばったり」
VDM (Vie de merde)より