マレンゴ [フランスの郷土料理]
プーレ・マレンゴ(鶏のマレンゴ風)
(Poulet Marengo)
マレンゴはイタリアのピエモンテ州にある町の名前ですが、
この料理が生まれた当時、そこはフランスの領土でした。
1800年6月18日、厳しいマレンゴの戦いの真っ最中、オーストリア軍から勝利をもぎ取ったばかりのナポレオンが、急に空腹を覚え、すぐに食事をしたいと言い出します。料理人は大急ぎで材料を集めに兵士二人を近くの農家へ行かせ、鶏を数羽、油、トマト、にんにくを手に入れます。ぐずぐずしてはいられません。鶏を、つぶしたニンニクとトマトと一緒にささっと炒め、白ワインとコニャックを加え、塩とこしょうで味付けして出すと、ナポレオンはこの新しい料理を喜んで食べたと言います。
しかし、この話には別のバージョンもあります。時と場所、ナポレオンがお腹を空かせるというところまでは同じですが、その後がちょっと違っています。
料理を頼まれた宿屋の女将は、手元にあった鶏を使おうとします。が、ナポレオンは鶏が大嫌い......。他に手だてのなかった女将はできるだけ鶏だと気づかれないようにするしかありませんでした。まず、息子が川で取って来たザリガニを鶏と一緒にフライパンに入れ火にかけるとコニャック(又はリキュール)でフランベし(焼きながらコニャックをかけてブォ〜ッと燃え上がらせる)、鶏の骨を全部取り除いたら、マッシュルームと角切りにしたトマトをのせ、パセリ、ナツメグ、バジルを加えます。そこへ、ブイヨン(スープ)と白ワイン、残り物のアンチョビを入れてとろ火で煮ます。
さらに女将は、テーブルに出す前にレモン汁をかけ、からっと揚げたパンのスライスを全体が隠れるようにのせると、最後にゆで卵の輪切りを飾りました。おかげでナポレオンに気づかれることはありませんでした。それどころか、皇帝は気に入って何度もこの料理を注文したそうです。
さてさてどちらが真実なのか………。
この料理にまつわる逸話は何パターンかあり、ちょっとずつ食材が違っていたりしますが、どれもマレンゴの戦いで勝利をおさめたばかりのお腹を空かせたナポレオンのために、限られた食材を工夫して作った、ということは共通のようです。
ふたつ目のほうが味がある話ですよね
女将の表情が目に浮かびます
by RobertCole (2010-05-22 09:19)
RobertColeさん
それに、宿屋の女将の作ったザリガニ入りの方は、出汁が出ていておいしそうですよね。
by carotte (2010-05-23 12:18)