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ブルゴーニュワインの首都ボーヌ その3 〜オスピス・ド・ボーヌ〜 [フランスのワイン]

 今日もボーヌシリーズです。このシリーズを一気に紹介することにしました。

 三回目は、明日開催されるワインオークションの会場にもなっている、オスピス・ド・ボーヌ。

Paris_Beaune.jpg



オスピス・ド・ボーヌ

(Hospices de Beaune)

HospiceBeaune.jpg_.jpg


 多色瓦の美しさに、思わず見とれてしまいますね。


 オテル=デュウ・ド・ボーヌ(Hôtel-Dieu de Beaune)とも呼ばれるこの建物は、ブルゴーニュ公フィリップ三世の時代に宰相を務めたニコラ・ロランとその妻が立案し建てた病院でした。

 

 二人は、百年戦争で国中に貧しい人々があふれかえっていた15世紀半ば、このような人々を受け入れる病院が必要と考えたのです。そして、中世から20世紀頃まで、ここは、高齢者、孤児、病人、看護婦、産婦、貧窮者など、無料で受け入れていたそうです。病院と言っても、病人以外の困窮した人たちも受け入れ、寝る場所や食べ物を提供していたようです。


 この施設の建設当時、現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルクにあたる地域は、ブルゴーニュ公の領地でした。そのため、この建物にはフランドルの影響が色濃く残されています。 


 映像は→こちら


 かつての病院の様子が再現されていました。そして、62年前に看護人としてここの門をくぐったという女性も登場しました。


 現在、ここは観光客が訪れる記念の場所となり、病院としての役割は別の場所にできた近代的な施設で果たされています。ワインオークションで集められた寄付金は、新しい医療器具の購入など、病院の運営にあてられています。因に昨年の寄付金は500万ユーロ(日本円で6億円近く)。


 映像の最後に登場した絵画は、ロランの要請によりフランドルの画家ロジエ・ヴァン・デル・ウェイデン(Rogier van der Wyden)が制作したポリプティクで「最後の審判」を描いたものです。ここでは、その他にも美しいタピスリーを見ることが出来ます。


 因に、ニコラ・ロランは、このような善行を施すことで、自分と自分の妻のために天国で特等席を手に入れられると信じていたそうです。


 オスピス・ド・ボーヌは、Cour d'Honneurと呼ばれる中庭を囲む4つの建物が一般に公開されており、再現された病室やキッチン、薬局などを見学することができます。また、見学コースには、ちょっと不気味な昔の医療器具なども展示してあります。



******** フランス人のつぶやき *******

「今日、私は入院しています。夜、眠りかけた頃、看護婦が廊下で話しているのが聞こえてきました。『明日、212号室の“ゴジラ”に点滴してね』212号室と言えば、私のことです」

VDM (Vie de merde)より


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orange

時代はもう少し前だと思いますが、ティル•オイレンシュピーゲルの話の
中に中世の修道院に併設されたホスピタルの話が出て来ますね。
修道院の中庭にはハーブ(薬草)が植えられ薬の研究がされたのでしょうね。屋根の模様が興味深いです。あの祭壇画はここにあったのですね。
by orange (2010-11-20 23:35) 

wattana

carotteさん、オスピス・ド・ボーヌの写真が4枚残っていました。オスピス・ド・ボーヌというと、その前辺りにあるワイン関係の書籍、グッズなどを販売している Athenaeum というお店に長時間いたことを思い出します。実は、carotteさんの記事 「ブルゴーニュワインの首都ボーヌ その1」で登場した Patriarche のホームページを見てわかったのですが、同社がこのお店の経営に参画しているようです。
http://www.patriarche.com/points-de-vente.php
carotteさんのブログ記事を機にボーヌについての復習をすることで、知らなかったことがわかってきました。旅行にも、予習、復習が大事ですね。復習したら次は再実践かな (?)
by wattana (2010-11-21 07:54) 

carotte

orangeさん
あの「ティル・オイレンシュピー ゲルの愉快ないたずら」ですね。
ここでも庭で薬草を栽培し、薬を作っていたそうです。その時の用具など展示されています。
あの祭壇画は礼拝堂に飾られていたそうです。印象的な絵ですね。細かく見て行くと結構楽しめます。
by carotte (2010-11-21 10:03) 

carotte

wattanaさん
そうですね。再実践あるのみです ^^/*
知識があるとまた違った楽しみ方ができますよね。
私などは、知らないまま素通りしてしまったスポットは数知れません。Patriarcheは一度行ってみたいです。あれだけ広いと、大昔のワインがトンネルとどこかに密かに隠れていたなんてことが起きてもおかしくなさそうな気がします。
by carotte (2010-11-21 10:13) 

opas10

中世から20世紀まで継続して事業を行ってきたとは!もともとが天国への切符を入手するためという利己的な理由だったにしても、それを5世紀もの間継続してきた一族の財力と信仰はたいしたものです。
by opas10 (2010-11-21 13:35) 

carotte

opas10さん
やはりワイン産業でこの地域が豊かだったというのが5世紀も続いた要因ではないでしょうか。しかも、この病院は場所を変えて現在進行形なのです。ワイン産業なくして、この活動はありえなかったと思います。
by carotte (2010-11-21 23:47) 

emuzu

注射は苦手ですv(^皿^♪)
by emuzu (2010-11-22 17:07) 

carotte

emuzuさん
ご訪問ありがとうございます。
注射器もあったと思いますよ ^^;
さらに、どんな風にして使うのかなと想像しただけで恐ろしくなるような器具も展示してあります。
by carotte (2010-11-22 23:04) 

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