ミュージアムを巡る地方の旅 その3 〜コクトーの愛した地中海の町〜 [フランスのお宝]
12キロ手前にはモナコ公国、4キロ先にはイタリア、そして目の前には青い地中海が広がる町マントン。1950年代、晩年のジャン・コクトーが足しげく通った町です。現在の人口は30,000人ほど。
ジャン・コクトーは、当時の市長の依頼を受け、1957~1958年にかけて、市庁舎にある“la Salle des Mariages(婚礼の間)”に壁画を制作します。その作業の合間に町を散策していたコクトーは、古ぼけた要塞があることに気づきます。
修復後の要塞
海にせり出して立つこの要塞は、17世紀にモナコの国王によって作られましたが、すでに本来の役割を終えていました。この建築物に強く引かれたコクトーは、みずから修復に乗り出します。そして、玄関口、一階のフロアー、二階の窓に飾る石のモザイク画を制作します。また、鏈鉄製のショーケースに自作の動物を描いた陶器を展示することを思いつきます。
映像は→こちら
la Salle des Mariagesは、正面の他に、天井と両サイドの壁面にもコクトーの絵が描かれています。そのモチーフは、一つはアラブや中央ヨーロッパを思わせる婚礼の様子、もう一つがギリシャ文明や神話です。
コクトーが修復の指揮にあたった要塞は、現在、ジャン・コクトー美術館(Musée Jean Cocteau)になっていますが、モザイク画の制作に参加した男性がそのときの様子を話してくれました。港の小石を集め、それを使ってモザイク画を仕上げるのは根気のいる仕事だったそうです。映像の中にはその制作風景も出てきました。
コクトーによると、玄関のモザイク画は“地中海独特の怠惰な感じ”を表しているそうです。
当時のマントンは、漁師町でした。そのような海辺の町の雰囲気が、恋人たちを描いた最後の油絵シリーズ“Innamorati”に反映されているそうです。
最近、アメリカの収集家が、1500点にも及ぶコクトーの作品(デッサン、ポスターなど)を市に寄贈したそうです。この中には、コクトーが舞台芸術にへと活動を広げるきっかけになった、ディアギレル率いるバレエ団“バレエ・リュス”のポスターもあるそうです。現在、これらの作品を収蔵する新しい美術館が建設中です。来年、開館の予定です。
「今日、親友に結婚式の立会人を頼まれた。その結婚式だが、テーマがなんと『スターウォーズ』だと言う。親戚の子供たちはイウォーク、新郎の弟はヨーダ、新郎はダース・ベイダーに扮するのだそうだ。立会人はなにかと言えば、チューバッカなんですと」
多才な芸術家ですね。
なんと呼ぶのか…芸術家。作家/詩人でもあり、映画監督、
造形芸術もこなし…
のどかな港風景。明るい陽光がいいですね。
地中海の代表的なリゾート地ですね。
by orange (2010-11-29 22:38)
マントンには、イタリアとの国境を見に行きました。
なんか、小さなトロッコ電車のような乗り物?で街を回った記憶が...
コクトーの美術館は、マントンにできるのでしょうか?
by 島酔潜人 (2010-11-29 23:20)
orangeさん
そうですね、なんでもこなしました。
マントンも昔は漁師町だったそうですから、今とはちょっと違った雰囲気だったかもしれません。修復前の要塞はどんなになっていたのかなあなんて思ってます。こんなに美しい物を放っておく手はないですね。
by carotte (2010-11-30 14:03)
島酔潜人さん
あの観光用のトレインですね。
新しいコクトーの美術館はマントンにできます。屋根付きの市場のそばに出来ると書いてありました。モンレオン通り(quai Monléon)だそうです。今の要塞の美術館からそう遠くないところのようです。
by carotte (2010-11-30 14:15)
コクトーも地中海に魅せられたのですね。自分の好きなコルビジェも地中海に魅せられ、最後は海で泳いで心臓発作を起こして世を去ったくらいです。
by opas10 (2010-12-05 17:08)
opas10さん
コルビュジエってそういう最期だったんですね。ちっとも知りませんでした。地中海は他の地域と雰囲気が違っていて、やはり魅力的なところだったんでしょうね。
by carotte (2010-12-05 21:35)