コート・ダジュールの城塞 その1 〜夫婦の愛の住処〜 [コート・ダジュール地方]



カンヌから8キロほど西へ行ったところに、かれこれ2000年以上前になるというローマの遺跡の上に立つ城塞があります。
14世紀頃はヴィルヌヴ伯爵家の住まいになっていたこのお城、その後、8回に渡って建て替えられ、19世紀にはガラス工場になっていたこともあるそうです。
1916年、アメリカの彫刻家ヘンリー・クルーズ(Henry Clews)が、廃墟同然のこの城を買取り、建築家でもあった妻のマリーとともに修復にあたりました。
修復は、歴史的事実を踏まえてというよりは、中世の伝統とエスプリに関する二人のごく個人的な解釈に従ってなされたようです。参考までに、下記は、修復前の1909年に撮影されたラ・ナプール城。
様々な様式の建物が一体となった現在の城は、クルーズ夫妻の折衷主義への嗜好が反映されています。城の修復の際、妻マリーによって全体が再構築されたという庭もまた、フランス風の構成ながら、中身はロマン主義的という折衷作りになっています。下記の写真をクリックして番組をご覧ください。
城の中には、ヘンリー・クルーズのアトリエがあり、彼の作品や制作に使った道具なども鑑賞することができます。
ヘンリーはニューヨークの銀行家の息子として生まれますが、ビジネスより芸術の世界で生きることを選び、20世紀初頭にパリにやってきます。彫刻家としての道を独学で切り開こうとしている最中、第一次世界大戦勃発の翌日にコート・ダジュールにやってきてこの城を見つけます。
毎年40,000人ほどの見学者がやってくるそうです。城の見学は、すなわちかつての夫婦の愛の住処を見学すること、とガイドさん言うように、あちこちに二人の愛を偲ばせるものが残っています。地下には二人が眠る墓地があり、死後も100年毎に逢うことができるという伝説に従い、それぞれのお墓には開け閉めできる石の扉があります。因に二人が再開できるのは2037年だそうです。
しかし、ここはそれだけの施設ではありません。ヘンリーの死後、マリーが立ち上げたラ・ナプール・アート財団が、才能あるアーティストを育成するために様々なプログラムを用意し、この施設を提供しています。
尚、この城は、1947年に歴史的建造物に指定されています。
興味のある方は→こちら(バーチャルでお城の見学ができます)
さらに臨場感のあるサイトは→こちら
「今日、友人の叔母さんの家に行った。彼女の7歳になる娘が、モルモットの家族を紹介してくれた。『これがキャラメル、こっちがショコラ、あれはアーモンド』そこで私はすかさず『うわあ、すごい。これでバニラがいたら完璧ね』バニラはいたんだそうだ。今は庭の土の中」
床材に使われた赤みがかった石の色が素敵ですね。
重たそうな木製のドアをこれぞ"鍵"といった大きさの鍵で
開けているのがとても趣がありますね。
南風が吹いて、潮騒が聞こえて…いいですね。
by orange (2011-01-06 00:50)
orangeさん
大きな鍵でした。お城の鍵ってこんな感じなんですね。
ほとんどの部屋がいわゆる「オーシャンビュー」
ここで宿泊して制作に集中するというのはなんとも贅沢ですね。
by carotte (2011-01-06 08:55)
ヘンリーさん、よくぞここまで保存してくれたものです。歴史の浅い国だからこそ、アメリカ人は歴史あるものへの憧れが強いのかもしれませんね。にしても、折衷主義のインテリアは言葉を失いました(笑)。
by opas10 (2011-01-08 12:08)
opas10さん
夫婦でおとぎの国を作っちゃったんでしょうね。
ここまでの贅沢はなかなかできないですね。アーティストとして成功したとは言えないみたいですが、銀行家の息子ですから、お金には不自由しなかったと思われます。
by carotte (2011-01-08 20:28)