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サド侯爵からピエール・カルダンへ [プロヴァンス地方]

 コート・ダジュールから少し内陸部に入ったところに、サド侯爵(1740~1814年)にまつわるお城があります。

ラコスト城
(Château de Lacoste)
Lacoste
Paris_Lacoste.jpg

 

 アヴィニョンとエクス・アン・プロヴァンスの間、人口500人ほどの小さな村ラコストの丘の、固い岩盤の上に立つ城は半分くずれ落ち、かろうじて城の姿をとどめています。

 

 この城の起源は11世紀にさかのぼりますが、1716年、地方の領主ガスパール・フランソワ・ドゥ・サドの所有となります。ガスパールは、あのサド侯爵の祖父にあたります。

 

 それから50年後の1766年、26歳のサド侯爵が城の改築に着手しますが、この城に長く滞在したのは1772年になってからのことです。この滞在中に、彼は120人を収容できる劇場を城内に作らせたそうです。

 

 しかし、1789年のフランス革命で大部分が破壊され、領地もろともロヴェール侯爵に売却されます。城に興味がなかったのか財政難だったのか、窓も扉も屋根さえもなくなった城は、その後、次々と所有者を変えながら荒廃して行きました。

 

 修復が始まったのは1952年で、教師アンドレ・ブエが所有者となってからのことです。彼は亡くなるまで城の修復を続けたそうです。

 

 2001年、ピエール・カルダンがこの城を買い取り、大々的に修復と補強が始まりました。命を吹き返した城では、毎年、音楽と演劇のフェスティバルが開催されているそうです。

 

 まずは、城のあるラコスト村の様子をビデオでご覧ください。


 下記は2007年に撮影された城の映像です。修復の跡がうかがえます。
Lacoste -2- 12.06.2007

 さらに、ピエール・カルダンのサイトを見ると現在の状態がよく分かります。→こちら

 画面の右端の夜景のお城が映っている緑色のカードをクリックするとさらに写真が数枚掲載されているページが開きます。

 1600㎡の敷地に、1000人規模の野外劇場、テラス、城の棟という構成になっています。個人的なセカンドハウスとしてではなく、様々なイベントの会場として使うことを目的としているようです。村おこしの一環かもしれません。


 ピエール・カルダンは現在88歳。一昨年は急病で入院したというニュースも流れましたが、大事には至らず、まだまだ元気のようです。

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

「今日、ひどくトイレに行きたかったが、そのまま劇場に行くことにした。劇は海のそばという設定だったから、スピーカーからは四六時中波しぶきの音が流れ、しかも休憩なしで2時間も続いた

[もうやだ~(悲しい顔)]


VDM (Vie de merde)より


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コメント 4

orange

古い建物を再利用して新しい楽しみ方が広がりますね。
ピエール•カルダンのHPも拝見しましたが、
舞台が作られていますね。
演劇、小規模なコンサート。こんな雰囲気で見聞きするのは
格別でしょうね。
by orange (2011-01-10 20:55) 

carotte

orangeさん
壊れかけた城の壁を生かして、うまく舞台が作られているなあという感じです。さらに食事もできる施設もあるので、パーティとか結婚式とかできるのかもしれません。
それにしても、こんなところでカルダンさんが登場するとは思ってもみませんでした。考えてみると、もともとマルチでしたよね。
by carotte (2011-01-10 21:47) 

syun

carotteさん、マジ感謝!!!!
nice!100個くらいつけたい!! けど1個しかつけられないんですね。
澁澤龍彦先生の著作に城の廃墟写真が載せられていたんですが、それとあまりにイメージが乖離していてビックリしました。
サドが秘密の快楽に耽った城を、教師が修復したっていうのはちょっと皮肉な感じがしてオモシロイですねwww。ただ、ピエール・カルダンの趣味はちょっとどうかな・・・って気がしませんか?
明日、サド好きの友だちにも教えてあげます。きっと異常な興味を示すと思いますwww。
それと阿部和重は注目ですよ。フランス語でも何冊か訳が出ていて、第二の谷崎潤一郎として、プレイヤード版に載るかもです・・・??
いずれにしてもこんなに早くupしてくれて、ほんとにありがとうございました。
by syun (2011-01-11 02:09) 

carotte

syunさん
マジnice!100個欲しかった!
「サド好きの友達」ってちょっと誤解を与えそうですね ^^;
プレイではなく人物ってことですね ^0^

城の修復前の姿はどんなだったんでしょう?
すでにフランス革命でだいぶ荒らされて、ロヴェール侯爵→農民→左官屋と所有者が変わり、城の石は別の建物を作る際に使われたそうですから、最後は建築資材の山みたいになってた可能性がありますね。
教師のアンドレ・ブエさんはどんな気持ちで修復してたのかなあなんてちょっと興味がわいてきます。お金持ちとも思えませんし......。
カルダンさんの場合は明らかに、城の保存と経済を両立させようという意図がありますね。少々、商業的な色合いの城になってしまうのは致し方ないかなと思います。城が村のてっぺんに立っていてくずれそうになっているのは安全上の問題があるし、修復するには技術もお金も必要。となると、保存のためには資金の調達は絶対条件ですね。
どの辺りをどんな風に変えているのか、これは、是が非でも現場へ行って、shunさんの目で確かめた方が良さそうです ^^
念のため、参考にしたサイトは:

<Wikipedia>
http://fr.wikipedia.org/wiki/Château_de_Lacoste

<Lacoste村のサイト>
http://www.lacoste-84.com/decouvrir-le-village/le-chateau

<YouTube>
http://www.youtube.com/watch?v=fzoEuVct9Qs

私のブログは少し端折って書いています。

阿部和重氏の本は読んでみます。
by carotte (2011-01-11 14:43) 

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