がんばるフランスの中小製造業 その3 〜パンク修理用パッチ〜 [メイド・イン・フランス]
シリーズの三回目は、自転車のパンク修理用のパッチ。
このパッチを作っている会社がル・マンの近くにあります。
ル・マンから約50キロ南東に下ったところにある町ラ・シャルトル=シュル=ル=ロワールの人口は1500人ほど。
ここに工場RUSTINがあります。
商品の名前は「リュスティヌ(rustine)」と言います。
その起源は1903年に創業者ルイ・リュスタン(Louis Rustin)が、パリにタイアの修理工房を開いた頃にさかのぼります。
1900年頃のフランスは、自転車の黄金期で、100万台ほどの自転車が走り回っていました。しかし、当時の舗装されていない道路ではたびたびタイヤがパンクしてしまったそうです。
ルイ・リュスタンは、1921年にリュスティヌを発明し特許を取得します。
リュスティヌという商品名は、もちろんリュスタンが自分の名前から取って付けたのですが、今やそのもの自体を指す言葉として辞書にも掲載されています。つまり、リュスティヌ=自転車のパンク修理用の丸いゴムのパッチ、というわけです。上記写真をクリックして番組をご覧下さい。
工場の近くを流れる川は、動力と冷却のための水を提供してくれます。
パリからこの地に引っ越して来たのは1933年のこと。当時は、毎月2,800万個ほどのリュスティヌを作っていたそうです。その頃のパッケージデザインがこれ。
これは今も変わらず、そのままのデザインで販売され続けています。そして、ゴムを薄くする機械は創立当時のもので、リュスティヌ専用だそうです。使うのは年に一回だけ。一年分を一度に作ってしまうようです。今年のリュスティヌは赤。どうやら毎年色が変わるようです。
1950年代はこの産業でトップの売上を誇り、1960年代は、自転車レースの一番のスポンサーでした。
現在の社長もルイ・リュスタンですが、こちらは四代目。
ラバーは機械を使って作るとは言え、やはり長いキャリアを持つ職人の腕がなくては難しいようです。その技術は、従業員によって代々受け継がれて来ました。
現在のこの会社の主力は、電車のドアや窓枠など、ジョイントやクッションとして使われるラバーだそうです。リュスティヌで培われた確かな技術は今も生きています。
「今日、自転車で会社に向かった。
700mほど走ってから、
パジャマを着たままだった
のに気がついた」
VDM (Vie de merde)より
こんなパッケージ、お土産に貰ったらうれしいかも。
ツールドフランスを支えてたんですね。
シャルトルは大聖堂を見に行ったことがあるのですが、小さな川がすごく印象に残っています。
by 島酔潜人 (2011-01-29 09:38)
凄い!さすがツールドフランスの国ですね。
オランダでもたくさん自転車を見かけますが、
近隣諸国でも需要はあるということですね。
パジャマ…私も朝、急いでいるとふと不安になって
足元を見直す時があります。まだ"しまったっ><#!"は
無いですけど^^。
by orange (2011-01-29 14:58)
自転車パンクセットとして売り出したら結構人気が出そうですね。パッケージがいいですよ!
by opas10 (2011-01-29 15:28)
島酔潜人さん
スーパーなんかで売ってるんでしょうかね。
リュスティヌではありませんが、日本で似たようなのを100円ショップで見かけたことがあります。パッケージにはなんの工夫もありませんでした ^^;
シャルトルはなぜか三回くらい行ったことがあります。大聖堂まで川辺の道を歩いたのを憶えてます。
by carotte (2011-01-29 18:19)
orangeさん
特許を取ったくらいですから、いろいろ工夫してこの形にたどり着いたんでしょうね。今では道路もだいぶ良くなって昔ほど多くないでしょうけど、やっぱりパンクすることはありますね。日用品としては必要です。
パジャマとまでは行かないまでも、慌てて出かけて何か忘れるなんてこと、最近特に多くなりました ^^;
by carotte (2011-01-29 18:25)
opas10さん
パケージのデザインをよく見ると、やっぱりこれ以上のデザインはないという気がしてきます。最初からずっと変わらないのも納得です。
by carotte (2011-01-29 18:28)