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ペリゴール地方を巡る旅 その2 〜黒いブダン〜 [ペリゴール地方]

 シリーズの二回目は、豚を使った料理。

 ペリゴール地方南東部の村サルラ=ラ=カネダ(Sarlat-la-Canéda)を訪ねます。

Paris_Perigord.jpgPerigord_sarlat.jpg


boudinTV.jpg


 村の人口は200人ほど。豚と言っても、お肉屋さんで豚肉を買って来るわけではありません。


 この地方では、冬の間、家畜として飼育していた豚を処分して、家族や友人たちを集めて保存食やソーセージなどを作る習慣があるのだそうです。


 上記写真をクリックして番組をご覧下さい。念のため、生きた豚を処理するところは出てきませんよ。すでに天に召されてしまった大きな豚が、天井からぶら下げられているのが登場し、やや生々しいですが、解体する場面がもろに出て来るわけではありませんからご安心ください。


 豚の重さは約200キロ。皆で豚を囲み、解体の様子を眺めて楽しみます。ちょっと残酷。しかし、日本でも新年パーティとかで、お酒を飲みながら、マグロの解体ショーなるものを楽しんだりするなあと我が身を振り返ったり……。


 解体を担当するのは元お肉屋さんだそうです。きれいに解体するには、それなりの時間と技術が必要です。


 作る料理は黒ブダンと呼ばれるソーセージです。まず、内蔵や肉を暖炉の鍋で柔らかくなるまで煮ます。3時間ほどかかるので、その間、集まった人たちは腹ごしらえ。


 材料が煮上がったところで、全部を細かくして混ぜ合わせ、腸詰めの中身を作ります。次に豚の血を混ぜて腸詰めにしたら鍋で茹でます。放っておくと破裂することもあるので、鍋の中で動かしながら1時間ほどかけて茹でます。ゆであがったら鍋から上げて冷まします。冷めたら食べることができます。


 黒ブダンは何度か食べたことがありますが、おいしいです。



******** フランス人のつぶやき *******

「今日、夫を喜ばせようと思って、ガーターベルトにストッキングをはいてみた。すると夫が言った。『なんだかローストポークみたいだな』」


VDM (Vie de merde)より



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島酔潜人

ジビエ好きなので、イノシシやヤギの解体を手伝ったことがあります。
手際が良かったせいか、残酷には思えず淡々と肉になっていきました。
命の大切さを感じることができる体験、食べるということは、そういうことなんですよね。
by 島酔潜人 (2011-02-03 23:04) 

orange

屋外で一度羊の丸焼きを作ったことがあります。
血抜きはセビリア人の男性がしました。グリルを手伝いましたが…
けっこう豪快でした。血のソーセージ、ドイツでもあります。
村の人が総出でお手伝いをするのですね。やはり狩猟民族だと思う瞬間
ですね。余す所なくいただけば生き物を次の生を得るわけですから…
by orange (2011-02-04 00:50) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
ブーダン・ノワールはフランス各地にある料理ですが、地方によって腸詰めするところ、ケーキ(ガトー)風のところいろいろあるようですね。
日本では豚血の流通は一般的ではないので、ブーダン・ノワールを食べることができるレストランは限られています。名古屋市内にあるフランス料理店でブーダン・ノワールがメニューにある店は5店以下だと思います。
映像に出てきた豚は生体重が200kgですか? かなり大きいですね。日本で食用として出荷される成豚の生体重はだいたい105~110kg だそうです。それから、自家で屠畜したそうですが、日本では許可されないことです。
by wattana (2011-02-04 05:57) 

carotte

島酔潜人さん
イノシシもヤギも大型ですね。うまく解体するには技術が入りますね。私が見たことがあるのは鶏くらいで、大型の家畜は見たことがありません。
昔は冬は食料が乏しくなるので、飼っていた家畜を処分して食料にするというのが普通だったんでしょうね。
by carotte (2011-02-04 09:08) 

carotte

orangeさん
昔、ドイツで豚一頭を処分して血のソーセージを作るという番組をBSで見たことがあります。豚を処分するところから始まって、ソーセージになるまでの全行程、子供たちにも見せるというような番組だったと思います。スーパーに並んでいる肉しか見たことがない子供たちに、育てて食べて自分たちの糧としていることを身をもって体験してもらうということなんでしょうね。

by carotte (2011-02-04 09:21) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
200キロと言ってました。良く育ってます。
ひょっとしたらフランスでも屠畜は免許制かもしれません。番組ではその部分には触れていませんでした。
日本で血と言えばすっぽんくらいでしょうか?
日本で食べられている数少ないブダン・ノワールは日本製ですか?それとも輸入ものでしょうか?私はフランスのビストロで数回食べたことがあります。初めは血を聞いてちょっと躊躇しましたが、これがわりにおいしいんですよ。
by carotte (2011-02-04 09:32) 

t-toshi

いつも、フランス人のつぶやきを読んで、笑っています。一怒一老、一笑一若です。▽娘家族は、イスラム教です。豚肉とは断固無縁の生活です。世界は多様性社会ですね。では。
by t-toshi (2011-02-04 11:15) 

carotte

t-toshiさん、こんばんは。
「一怒一老、一笑一若」含蓄のある言葉ですね。
これからは出来るだけ笑って過ごすように心がけます。^^
イスラム教ということは、嫁がれた先がイスラム教だったということでしょうか?それだと豚肉はアウトですね。
by carotte (2011-02-04 23:06) 

yuzuhane

こうやって解体するところを皆で見守って…なんか見たくない気もしますが、実はこういうことで食がなりたっているんだということを実感しますよね。出来上がったものだけ見てるとこういう感覚が薄れてきてしまいます。みなソーセージを”手作り”するというのも大切なことですね。
by yuzuhane (2011-02-04 23:21) 

carotte

yuzuhaneさん
豚の解体を見るのはちょっと怖いですね。解体を見た後で豚肉を食べられるかどうか.......。でも、日頃食べているお肉は、必ずこの行程を通っているんですよね。自分が生きるために別の命をもらっているということですね。
by carotte (2011-02-04 23:45) 

wattana

carotte さん、フランスでは豚の屠畜は認可された屠畜場 (フランス語では abattoir ですか?)で行われていると思います。映像に出てきたケース (自家屠畜)は、特例 (ただし、自家消費などの条件付き)だと思われます。
フランスで豚のabattoir は何度も見学したことがあります。最新鋭の abattoirでは、自動化 (ロボット化)が進んでいて、屠畜・解体ラインにはあまり人は配置されていません。ラインを流れているものは異なりますが、自動車の組み立てライン同様の‘工場’です。日本では考えられないことですが、女性も働いています。
日本のレストランで提供されているブーダン・ノワールは、国産の豚血を使って各レストランが自店で作っていると思います。
by wattana (2011-02-05 07:48) 

carotte

wattanaさん
大量に処理する場合はやはり自動化ですね。
自宅で処理して食べるというのは、フランスでもあちこちでやっているわけじゃないでしょうね。
日本のブーダン・ノワールは食べたことがないので、一度食べてみたいです。
by carotte (2011-02-05 10:00) 

opas10

映像に出てくる人たち、割と高齢者が多かったのですが、やはりこういう習慣は若い人たちの間では廃れているのでしょうか。食べる意味を知る上で重要なことなので、子孫に伝えていってほしい気もしますが(自分はちょっとパス・笑)
by opas10 (2011-02-05 15:07) 

carotte

opas10さん
たぶん、田舎の限られた人たちの間でしていることなんじゃないかと思います。解体は、やっぱり、ちょっときついですね。分かっていても現場に立ち会うのはきびしいです。
by carotte (2011-02-05 18:50) 

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