ロワール=エ=シェール県の小さな村 その1 〜 穴の村 〜 [サントル・ロワール地方]
今日から新しいシリーズを始めます。
ロワール=エ=シェール県(Loir-et-Cher)には二つのロワール川が流れています。あのお城のいっぱいあるロワール川と、そこから少し北に上がったところを流れる小さなロワール川です。紛らわしいですが、前者がLa Loire、後者がLe Loirです。
今回は、この小さな方のロワール川沿いにある4つの小さな村を訪ねます。
下記地図の青→赤→緑→紫の順に回ります。
第一回目の今日は、青のトロオ(Trôo)という村です。
人口は約300人。村はロワール川を見下ろす丘の上にあり、あちこちに「穴」があります。
フランス語で穴のことをトゥルー(trou)と言いますが、どうやら村の名前の由来はこの穴という言葉のようです。
一説によると、この村は一時期イギリスの支配下にあり、このトゥルーを英語式に綴ってtrooになったとも言われています。
まずは、村で唯一の垂直の穴、井戸。「話をする井戸(Le Puits qui parle)」と呼ばれています。深さは45m。1972年まで水を供給してきました。漏斗型をしているため、真上から叫ぶとやまびこのように答えが返って来るそうです。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。
井戸の縁石が15世紀のもの、井戸自体はもっと古いそうです。
昔、おしゃべりな女が井戸に放り込まれ、それ以来、井戸が話をするようになったと、ここでレストランを経営しているアニークさんが笑いながら話してくれました。
丘の上にある大きな盛り土は、もともとケルト人が防衛のために作り、その後、ローマ人が整備してできたもの。円周は170メートルもあります。ここからの眺めが素晴らしいそうです。天橋立と同じで、「股のぞき」で見るといいそうです。
石灰岩の丘の斜面を横に掘った穴は住宅です。今でも住んでいる人がいます。
最後は洞窟。ジルさんが購入した土地を掘ったところ、この地下室が出て来たそうです。昔、ここにハンセン病患者を収容していたとか。地下道には12の小部屋があるので病室ではなかったかとジルさんは言っていました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、マルシェの大売り出しで毛糸のセーターを買った。大喜びで家に帰って着ようとしたら穴が開いているのを見つけた。急いで直して着ようとしたら、また別の穴をみつけた。これも直して着ようとしたら、さらに別の穴を見つけた。結局、穴だらけのセーターだったのだ」
VDM (Vie de merde)より
ずいぶんと変わった不思議な感じの村ですね。
by kazenotomo (2011-02-23 01:50)
井戸や洞窟の中の部屋とか、股のぞきの遠望とかを、少人数で見て回る人たちの中に加わりたいくらいでした。
by 月夜のうずのしゅげ (2011-02-23 07:46)
kazenotomoさん
今まで見て来たフランスの村とはひと味ちがってますね。
霧におおわれているところが雰囲気を盛り上げてる感じします。
by carotte (2011-02-23 09:21)
月夜のうずのしゅげさん
この村、面白そうですね。村のサイトを見ると、他にもみどころがいろいろあるようです。股のぞきって、皆思いつくんですね。
by carotte (2011-02-23 09:29)
日本だと横溝正史が小説に取り上げそうな、いわく因縁の多そうな村ですね。ただし、村人は随分明るくてミステリーとは無縁みたいですが(笑)。
by opas10 (2011-02-27 14:39)
opas10さん
どうもここは観光スポットのようです。妙に明るいのはそのあたりに理由がありそうな....。レストランを経営している女性は、小さい頃はガイドをやって、もらったチップで自転車を買ったとか言ってました。
by carotte (2011-02-27 21:22)