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原発か?ロウソクか? [東日本大震災関連]

 フランスのテレビ局Canal+(カナル・プリュス)の名物番組の一つにLes Guignols de l'Infoというのがあります。報道番組のパロディー版で、政治家から企業家や俳優にいたるまで、有名人のそっくり人形が、その人物そっくりの話し方で登場します。

 

 折から、フランスではエコロジストが勢いづき、原発反対運動を展開したことから、それに反発する意見が登場し、議論が白熱しているそうです。そんな話題にちなんだ部分を紹介します。

 

 登場するのは二人の人物。一人はキャスターで、かつてはTF1の午後8時のニュースの看板キャスターだったパトリック・ポワヴル・ダルヴォール。フランス人に絶大な人気があります。

 

 ゲストで登場するのがクロード・アレーグル。地質学者で、教育大臣を務めたこともある人物です。最近は、地球温暖化を人間のCO2排出によるものとすることに疑問を投げかける本を執筆しています。

 

 そして、忘れてならないのは、フランスは電力の四分の三を原発に頼っていることです。

 

 下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(ブラックな部分もありますが、お笑い番組なので、その点はご容赦ください)

 

guignolsTV.jpg

司会者(キャスター)         ゲスト   


(拍手) 

司会者:「日本の原発事故で、フランスでは原発を止めるべきかと大きな議論になっていますが……」

アレーグル:「止めればよろしい」

司会者:「そうですか」

アレーグル:「そうです。フランスでは起きそうもない災害なのに、日本で大変なことが起きたとパニックになって脳みそも使わず原発はやめるというわけですな。オーストラリアで人がサメに食われたら、ブルターニュではもう泳げません、ロスでポテトチップスを食べてアメリカ人が窒息したら、パリでポテトフライは食べられません」

司会者:「ちょっと言い過ぎじゃないですか?」

アレーグル:「そんなこたあ~ない。み~んなそう言っとる。まったくその通りだ」

司会者:「原発を止められると思いますか?」

アレーグル:「止められますよ。すでに止めたことがある」

司会者:「えっ?!」

アレーグル:「中世の頃に」
(笑)
アレーグル:「薪の火で暖を取り、歯も早くからなくなり、寿命は30歳!」

司会者:「いくらなんでもそれはできませんよ」

アレーグル:「原発をやめるんなら電気はありませんぞ。獣の皮を身にまとい、イノシシ狩りに出かけるんですな」
(笑)

司会者:「でも、原発事故が起きれば被害は甚大でしょう」

アレーグル:「そりゃそうでしょ。エッフェル塔だって壊れりゃ大勢の人が死にます」

司会者:「どうしてエッフェル塔なんですか?」

アレーグル:「原発が壊れるんならエッフェル塔だって同じでしょう」
(笑)
司会者:「で、で、でも……原発事故ですよ。ウラニムが……プラトニウムが熱くなって………水素が爆発して……どかん!ですよ」

アレーグル:「ふん、あんた、『小学生の科学』を読まなくなってだいぶたっとるな」
(笑)

司会者:「ではどうしたらいいんですか?」

アレーグル:「科学者として、原子力に替わる新しいエネルギーを探す。今のところみつかっとらんがね」

司会者:「風力発電があるじゃないですか」

アレーグル:「風車か?空っぽの風の上に新しい文明を構築するってわけかね。おお、そう言えばブルターニュにグレナン諸島ヨットクラブなんてのがあったな。あの辺りの海で、しょぼいヨットでぱしゃぱしゃ水遊びしとるやつらじゃ。そんなのより、私は原発に頼る方がいいね」

司会者:「う~む、私は『小学生の科学』を購読した方がよさそうです」




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orange

なるほど。フランスでは脱原発は蒸す化しそうですね。
ドイツでも「原子力反対!でも石器時代もごめんだね」と
以前は原発反対のスローガンによく使われました。
そこで開発研究が行われたのが様々な代替エネルギーです。
原子力発電所ほどまとまった発電量は確保できないものの、
さまざまな発電方法が考え出されています。
フランスでのバイオマスの活用はどうなのでしょう。

by orange (2011-03-23 00:20) 

carotte

orangeさん
フランスの場合は、「原発止めて、ロウソクで暮らすのかい?」みたいな感じですね。エコロジストがここぞとばかりに反原発のキャンペーンをはったので、その反発が来てるのが今の状態のようです。
「日本が大変な目に合ってる時に、勝ち誇ったように運動するのはどうかと思う」という人もいます。
先日の番組ではクローズアップされてませんでしたが、バイオマスは再生可能なエネルギーの筆頭に来てるようです。その次が風力発電です。
by carotte (2011-03-23 09:29) 

t-toshi

アレーグルさんの皮肉がおもろいですね。とくに日本人は、0かすべて主義ですからね。元々反原発派の私としては、再考のチャンスにすべきだと思っていますが。
by t-toshi (2011-03-23 11:04) 

carotte

t-toshiさん
この番組の人形たちは、本人のあずかり知らぬ所で言いたい放題なんですよ。それがさらに面白いところでして...^^
0かすべての議論は、ちょっと罠に入り込んでしまう感じで、実りがないですね。どの道を取るのか決めるためには、少し頭を冷やしてから議論を進めた方がいいということでしょうか。
by carotte (2011-03-23 17:22) 

opas10

このパロディー番組、すっごいいいセンスしてますね!笑いを入れるタイミングが絶妙です。
by opas10 (2011-04-02 13:47) 

carotte

opas10さん
間の取り方なんかも計算されてるんですよ。
脚本書いてる人って、どんな人なんでしょうね。
by carotte (2011-04-02 18:50) 

yuzuhane

あちらでは自国が原発に頼る比重が大きいせいなのか、こちらとは違った反応でちょっと大げさなくらいに原発のことが取り上げられているらしく、娘のところには、フランス人の友達という友達から連絡があり、ご両親が東京にいられなくなったらこちらにいくらでも部屋があるといってきてくれたとのことで、それはとてもありがたい申し出ながら逆にどんな状況なのかと、心配になったくらいだといっていました。・・・今回のことがあって、今まで便利なものに頼り切るだけで、その安全性や問題点に決して関心が強かったわけではない自分の愚かさをいまさらながらに思いかえしています。薪の生活に戻るか・・・ですか・・・違う方法や、安全性の再考も含めて、難しいことですが、一度、よく考えるべきことですよね。
by yuzuhane (2011-04-02 20:40) 

carotte

yuzuhaneさん
原発事故については海外と国内ではかなりの温度差がありますね。
「心配してくれてありがたいけど、そこまでじゃないんだけど」海外に知り合いのいる方は同じような感想を持たれたものと察します。
日本人が皆、恐ろしい放射能をたっぶり含んだ黒雲の下で暮らしていると思い込んでる人たちがわりに多い気がします。チェルノブイリの記憶が残っているせいでしょうか?
私も原子力について何も知らないまま、そこから作り出される電力を湯水のように使っていたことを今さらながら自覚しています。今から急に薪やロウソクの生活に戻ることは不可能ですね。とにかく頭をよく使っていろいろ考えてみる必要がありそうです。
by carotte (2011-04-03 09:34) 

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