フランス国立図書館旧館 [フランスのお宝]
フランス国立図書館と言えば、90度に開いた4冊の本が向かい合わせに並んでいるように見える新館の建物を思い浮かべますが(下記地図の赤い四角)、今日は、もともと図書館全体があった旧館(下記地図の赤丸)を紹介します。
書籍を含むほとんどの印刷物が新館に移動されましたが、古文書、古地図、版画、写真などはこの旧館に収蔵されています。
2010年から建物全体の修復工事が始まり、現在、一般の人は中に入ることはできません。しかし、今回のTF1の取材で中の様子を見ることができます。下記写真をクリックしてご覧下さい。(2011年4月12日放送)
建物の地下には電話や電気などの様々なケーブルが通っていますが、すべて新しいものに取り替えられるそうです。また、貴重な内部の装飾などの修復もあわせて行われます。
これにかかる費用はざっと2億ユーロ(約250億円)。修復に要する時間は7年。
最初に映像に登場した、いくつもの丸天井のある部屋は閲覧室です。19世紀の中頃、建築家アンリ・ラブルスト(Henri Labrouste)によって作られました。
この国立図書館の起源は、フランス王シャルル五世が1368年に創設した王室図書館と言われています。当時は手書きの本917冊が集められていたそうです。
その後、保管場所を点々としながらも歴代の王に引き継がれ、18世紀に現在の場所に収蔵されることになります。そして、王室図書館から国立図書館へと変わったのは革命時のことでした。
長い歴史をもつ図書館だけあって、貴重な古文書が保存されており、毎日のように研究者が閲覧にやってきます。中には、34年間もヴィクトル・ユーゴーについて研究を続けている男性もいました。ユーゴーの読みにくい手書きのメモを判読しているそうです。
また、施設の中では収蔵物の修復も行われています。スケッチの描かれていた手帳は画家ピサロのものだそうです。
表紙が銀と象牙の彫り物でできていた古い本は13世紀の福音書で、儀式の時に使用されました。
1789年の日付のある古地図も登場しました。シェルブールの船の停泊地を守るために描かれたものです。コロンブスの船や、新大陸のイラストが書き込まれています。
版画や写真も保管されています。映像に登場した写真はドワノー(Robert Doisneau)の作品です。
修復後の開館は2017年になるそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、本屋で小説を何冊か買った。レジで支払を済ませようとすると、けげんな顔で店員が言った。『あの〜、読まれたんなら返却はできませんよ』気がつくと、私はクレジットカードの代わりに図書館のカードを出していた」
VDM (Vie de merde)より
さすが文化の国だけあって、文化財の保護には並々ならぬ情熱を傾けているのですね!
by opas10 (2011-04-23 17:45)
opas10さん
はい、フランスは文化を大事にする伝統がありますね。図書館と言えば文化そのものですから、やはり絶対守らなくてはということになります。
by carotte (2011-04-23 21:08)