ヴォージュ温泉めぐり その4 〜 マルティニー=レ=バン 〜 [ロレーヌ地方]
シリーズの四回目は、コントレクセヴィルから南西へ15キロほど行ったところにあるマルティニー=レ=バン(Martigny-les-Bains)。
下記地図の水色印のところです。
村の人口は約1,000人。
1800年頃、村を流れる川のそばに鉱泉があり、近隣に住む通風やリューマチの患者が治療のために訪れていました。当時は、鉄の泉と呼ばれていたそうです。
1860年に本格的な開発が行われ、二つの豊富な鉱泉がみつかり、そこにギリシャ様式の美しいあづまやが建てられました。
そして、このあづまやと屋根付きの通路でつながれた、贅を尽くした建物も造られました。サロン、ホール、宿泊施設などがあり、地下にはプールやシャワー室も完備されていたそうです。
この施設は20世紀初頭までに幾度か所有者が変わりますが、1882年から所有者となったキーファー&シャピエ社になってから、さらに発展を遂げます。
隣接する庭も3ヘクタールから7ヘクタールへと拡大し、劇場付きのカジノや大規模なホテルも作られます。そして、鉱泉は飲料水としてボトルで販売されました。
しかし、20世紀の二つの大戦中に施設は破壊され、戦後は湯治に来る人もなくなり、町はしだいにすたれて行きます。
近年になって、もう一度、繁栄した時代を甦らせようという人たちの手によって復元が進んでいます。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(フランスTV局TF1で2011年5月26日放送)
再生は1997年頃から始まりました。
まずは7ヘクタールの庭の再整備、次に源泉を覆うあづまやの復元。あづまやは1882年当時のものを復元しているそうです。(上記写真がそれです)
19世紀末から20世紀初頭にかけては、ヨーロッパ中から人々が保養にやってきたそうです。1901年に鉄道が開通してからはさらに訪れる人が増えました。
アンドレ・ルグランさんはかつてのグッズを集めています。家具の上には、ミネラルウォータの瓶が飾られていました。そして、水に入れて飲むと身体に良いというドロップのようなものを紹介してくれました。植民地で暮らす人たち用だったそうです。
また、施設の修復のために働く人たちもおおぜいいます。引退後のボランティアの方々ばかりです。
現在は、ホテルの修復が行われています。かつては140人を収容できたというホテルですが、将来は高齢者の収容施設とメディカル・センターになる予定だそうです。
一時は「湯治場のヴェルサイユ宮殿」と呼ばれたほどで、りっぱな建物があちこちにあったようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、弟がコレクションしているスターウォーズ・グッズの一つを壊してしまったため、弟に『私はもう二度とルーカスの子供たちには触りません』を50回も言わされてしまいました」
VDM (Vie de merde)より
レトロなデザインのアトリウム。いいですね。
ヨーロッパの建物は色々と光の扱い方が上手だなと思います。
ギリシャ風の雰囲気(大理石の感じが)いいですね。
温泉にゆっくりと入りたくなって来ました。
by orange (2011-06-01 00:14)
orangeさん
鉄骨のガラス張りがなんとなくレトロな感じしますね。
豪華に見えるのは大理石のせいでしょうか?
装飾の緑が落ち着いた感じに見えます。
by carotte (2011-06-01 21:31)
あのあずまや、特に昔のオリジナルは、パリ万博のクリスタルパレスにも似ているような気がします。
by opas10 (2011-06-05 13:26)
opas10さん
当時、このような建物がトレンドだったのかもしれません。すごく贅沢な建物ですよね。
by carotte (2011-06-05 20:34)