パリの地方人 その5 〜 バスク人 〜 [パリ]
シリーズの最後は、スペインと国境を接するバスク地方からパリにやって来た人々の物語です。
パリの地方出身者の中でも、いちばん結束力の強いのがバスク人。お店に集まりお酒が入ると、おしゃべりよりは歌が始まります。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2009年11月6日に放送)
パリのバスク人が集まる場所の一つにレストラン&バーAu Trinquetがあります。ここには、どういうわけかバスク地方のスポーツ「プロット」のコートが設置されています。(プロットについては以前の記事をどうぞ→こちら)
コートの作りによって名前が異なり、前面だけに壁があるコートはFronton(フロントン)と呼ばれ、四方が壁に囲まれているコートをTrinquet(トランケ)と言います。責任者の話によると、1904年か1905年にパリで開催された博覧会でバスク地方が取り上げられた際に作られたのがこの施設だそうです。
施設はパリ16区のセーヌの岸辺にあります。プロットのコートのそばには、カードゲームを楽しむ部屋もあり、バスク人のたまり場になっています。
番組では、ポーカーに似たjeu de moucheというゲームを楽しんでいました。男性の説明によると、本当のことを言わないで、相手をだましながら楽しむゲームだとか。
ブルターニュ人と同じように、バスク人にも○○県人会のような支援施設Maison Basqueがあります。パリにやって来たバスク出身の若者たちが宿泊できるように30室ほどの部屋が用意してあるそうです。
バスク出身者の多くが飲食業界で働いています。パリにやってきたら同じバスク出身者が経営している店に目星を付けて、そこで給仕係やバーマンをして働き始め、時期が来たら、その経営者から後を引き継ぐというのが伝統だそうです。
レストラン“Le Volant”のティトゥーさんもその中の一人。今から13年前にパリにやってきて、2006年に前任者から店の経営を引き継ぎました。
レストランのシェフはブルターニュ出身のフィリップさん。普通ならアーティーチョークを使うところですが、エスプレット産の唐辛子を使ってバスク風に仕立てます。(エスプレット産の唐辛子については→こちら)
かた苦しくなく、おいしい料理を出してくれると、お客さんの評判は上々のようです。
おいしい料理で一、二杯お酒が入ったら、やっぱり歌が始まってにぎやかになりました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、高級レストランの給仕係として働くことになった。初日だったので店の主人がつきっきりだった。彼が見ている前で、最初のお客の注文を訊きに行くと、パイナップルが食べたいと言う。どういうわけが僕は言ってしまった。『お客様、焼き加減はいかがいたしましょう?』」
VDM (Vie de merde)より
carotte さん、おはようございます。
今回の 「パリの地方人」シリーズは2009年11月に放送されたものですね。まだ見ることができるとは、すごいですね。TF1 は、どのくらい古い映像までライブラリーに残しているのでしょうか?
それから、今回のバスクの映像が終わった後、「Ces Provinciaux qui ont fait Paris」という本が紹介されましたが、これはどんな本なのでしょうか?ご教示願います。
by wattana (2011-06-12 06:27)
wattanaさん、おはようございます。
シリーズものは2009年の4月放送まで見られます。その他のものなら、数は少ないですが2008年とか2007年のも出て来たりするようです。シリーズものは良く出来てるなあといつも思います。
本ですが、シリーズ二回目に登場したNathalie Dargentという女性が書いたものです。出版は2008年。地方出身者のインタビューや昔の写真がプリントされた絵はがきなどの資料を使って、パリにおける地方出身者の歴史をつづったもののようです。このTF1のシリーズは、この本をヒントに作られたものかもしれません。
by carotte (2011-06-12 10:24)
バスク酒場は気取らずアットホームな雰囲気でですね!日本でいうと新橋の立ち飲み屋みたいなものでしょうか。
by opas10 (2011-06-12 17:18)
opas10さん
なんとなくパブみたいな感じですよね。
小料理をつまみながら一杯やって、ああ楽し!ですね。
by carotte (2011-06-12 21:08)