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セーヌ川下りの旅 その2 〜 ガイヤール城のある町 〜 [フランスの渓谷]

 セーヌ川をパリからオンフルールへ向かう船が、イル=ドゥ=フランスを出てノルマンディ地方に入った頃、川岸の丘の上にガイヤール城が見えてきました。その町がレ・ザンドリ(Les Andelys)です。今回はこの町について紹介します。

 

Paris-HonfleurB.jpg

 

 川下りは下記地図の青いピンから赤いピンまでの4泊5日の旅。錨のマークは停泊地。それぞれ印をクリックすると説明が出てきます。(川下りの船旅についてはシリーズその1をご覧下さい)

 今回のレ・ザンドリは紫の印のあるところ。

 

より大きな地図で セーヌ川下りの旅 を表示 

 

 城は12世紀末、イングランド王リチャード1世によって建てられました。

 

 当時のフランスの西半分は、イングランドとアイルランドを支配していたプランタジネット家の領地。そのため、フランスの王たちは、このノルマンディを手に入れ、パリから海までの道を確保したいと狙っていました。つまり、ここはイングランド対フランスの最前線だったのです。

 

 イングランド王でありノルマンディ公でもあったリチャード1世は、防衛のために見晴らしのいい崖の上にこの城を建てました。築城には1年かかったそうです。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年6月10日に放送)

 

LesAndelysTV.jpg

 

 イギリスとの歴史を物語るように、バグパイプの音色で番組が始まりました。

 

 城塞を見ると、壊れかけているとは言え石の固まりのように頑丈そうです。

 

 この城は謎に包まれている部分も多く、研究の余地が多々あるとか。また、夜な夜な亡霊がさまようなどという噂にも事欠きません。

 

 城塞から少し降りたところ30カ所ほどに、中世の庭が再現されています。昔は、栗の木の間を縫うように庭があったそうです。現在は香草や中世の植物が育てられています。

 

 また、ここではドミニクさんの操縦する6人乗りの小さなプレジャーボートLiberté Seine号で川岸を見物することができます。レ・ザンドリから出発してルーアン方向へ約30キロほどの間を、いつくかのコースに従って案内してくれます。所要時間はコースによって45分〜2時間45分、金額は65ユーロ〜150ユーロ(一人で乗っても6人で乗ってもこの金額)。美しい風景があってこそのレジャーですね。

 

 17世紀に活躍した画家ニコラ・プサン(Nicolas Poussin)はこの地方で生まれたそうです。

 

 さて、城の完成を見て「1歳になるわが娘よ、なんと美しいことか!」と言ったというリチャード1世は、1199年、肩に矢を受け、その時の傷で亡くなってしまいます。獅子心王(ライオンハート)と呼ばれた王の心臓はルーアンの大聖堂に葬られているそうです。

 

 その後の城は、フランス王フィリップ2世のものとなりますが、百年戦争で一旦イングランド領となり、1449年にフランスが取り戻します。

 

 しかし今度は激しい宗教戦争へと巻き込まれて行きます。この戦争を収束させたとされる王アンリ4世が、城の取り壊しを了承し、その石は修道院を作るために使われました。

 

 1611年にこれを止めたのがリシュリュー枢機卿。さらに、1852年に国の文化財に指定され、現在の姿をとどめることになったそうです。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、イギリスに住んでいるのだが、車でちょっとした接触事故を起こしてしまった。相手の車から女性が降りて来ると言った。『あなた、フランス人?』『ええ、そうですが、どうして分かるんでしょう?』『ここでは車は左側通行なのよ』私はここで暮らしてもう7ヶ月になるというのに.....」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 2

opas10

あのお城、巨大な石の塊ですね。あれだけものを一年で作っちゃうなんて・・・!!
by opas10 (2011-06-26 16:33) 

carotte

opas10さん
ひょっとしたら、この前に石の要塞らしきものがあったのかもしれません。あの石の塊のような城を見ると、中世のちょっと野蛮な戦争を思い浮かべますね。
by carotte (2011-06-26 22:17) 

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