画家の描いた風景を訪ねて その２ 〜 ルノワール 〜 [コート・ダジュール地方]
シリーズの二回目は、ルノワールの描いた風景を求めて二つの田舎を訪ねます。
ルノワールは、いずれも画家としての地位がある程度安定してから、シャンパーニュ地方のエソワに一軒、その後、ニース近郊のカーニュ＝シュル＝メールに一軒と、２つの家を購入しています。
エソワは、妻アリーヌの生まれ故郷です。
1885年に妻に伴われてやって来たルノワールは、この小さな村を気に入り、毎年、家族で夏を過ごすようになります。この頃にはすでに、2人の息子ピエールとジャン（のちの映画監督ジャン・ルノワール）が生まれていました。そして、1896年に家を購入します。
この間、ルノワールの画風は印象派（「船遊びをする人たちの昼食」）から離れ、アングルの影響（「大水浴」）からも遠ざかり、独自の画風（「ピアノを弾く少女たち」）へと変化していました。
この頃からルノワールの絵に登場するようになったのが、妻アリーヌの遠い親戚であり、ジャンの乳母でもあったガブリエルです。約700枚もの絵に登場しているそうです。
ルノワールの家は現在もルノワール家が所有しています。また、ガブリエルの家もまだ健在です。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年6月28日放送）
1892年に発表された「ピアノを弾く少女たち」以降、画家としての安定期に入った頃、エソワ近郊で自転車から落ち右腕を骨折してしまったルノワールは、その後、体調をくずしてしまい、リューマチに苦しめられるようになります。
このため、三男のクロードが生まれた2年後の1903年に、一家はカーニュ＝シュル＝メールへと移り住みます。
いくつかの住まいを点々としながら、カーニュ東部の丘陵にある土地を手に入れます。別の購入予定者が、気持ちの良い木陰を作っているオリーブの木をなくしてしまおうとしているのを知って購入したのだそうです。
アリーヌは夫のために、この土地に最後の住まいとなる家を建てます。映像には枝を延ばしたたくさんのオリーブの木が映っていました。
ここに家族が住み始めたのは1907年のことで、ルノワール67歳の時のでした。
それから12年後の1919年12月3日、ルノワールはこの家で静かに息を引き取ります。亡くなる直前まで絵筆を放さなかったと言います。
遺体は、すでに1915年に亡くなった妻アリーヌとともにニースに埋葬されますが、本人たちの希望で、1922年にエソワに運ばれ埋葬されました。
カーニュの家は、現在、美術館Musée Renoirになっています。
＊＊＊＊＊＊＊＊ フランス人のつぶやき ＊＊＊＊＊＊＊
「今日、絵画教室でヌードを描くことになった。私がイーゼルの前に座っていると、モデルがにやにやしながらやってきた。よく見ると、なんと私の娘だった」
VDM (Vie de merde)より
ご心配をお掛けしました（感謝）
by yu-papa (2011-07-04 19:58)
yu-papaさん
休暇は思う存分楽しまれたんでしょうね。
回復されてほんとによかったです。
by carotte (2011-07-04 22:18)
フランス人のつぶやき
父と娘の心理が面白いですね。
by アヨアン・イゴカー (2011-07-06 09:27)
アヨアン・イゴカーさん、こんばんは。
娘の方はあっけらかんとした感じで、父親の方は身の置き場がないといったところでしょうか？ ^^
by carotte (2011-07-06 21:40)
すんません、相変わらず本筋じゃないところばかに目が行ってしまい（笑）、美術館にあったサムスンの「ピアノブラック」のテレビ、フレームがテカテカで（通称ピアノブラック）、美術館にはあまり似合わないですね～。
by opas10 (2011-07-10 11:30)
opas10さん
ありましたね、サムスンのテレビが。確かにちょっと異質ですね。
フランスでは、液晶が出てくる前はJVCの、液晶になってからはSHARPのテレビをみかけることが多かったのですが、今はサムスンなんですよね。
by carotte (2011-07-10 17:48)