フランスの柔道 [トピックニュース]
現在、パリで世界柔道選手権が開催されていますが、一昨日は女子63キロ級でフランス人選手が金メダルを獲得し盛り上がってました。
その時の試合の相手は日本人。上野選手でした。残念!次回はがんばって欲しいですね。でも銀メダルはりっぱです。
フランスでは、柔道は4番目にさかんなスポーツです。フランス柔道連盟への登録者数は60万人をくだらないそうです。
では、どんな風に行われているのでしょう?ある道場を訪ねました。
子供たちが口にしていたのは、1985年にフランス柔道連盟のベルナール・ミダンが作った精神規範。新渡戸稲造の「武士道」が元になっているそうです。
全部で8つありますが、まず子供たちが言っていた4つから。
* l'honneur(名誉:自分の言ったことに忠実であること)
* la modestie(謙虚:思い上がることなく己を語ること)
* le respect(尊重:尊重なくして如何なる信頼も生まれない)
* le contrôle de soi(自制:己の怒りを静められること)
そして、残りが以下の4つ
* la politesse(礼儀:他者を尊重すること)
* le courage(勇気:正しいことをすること)
* la sincérité(誠実:己の考えを偽ることなく表すこと)
* l'amitié(友愛:人間の感情のもっとも純粋で強いもの)
「柔道はスポーツではなく、規律なのです」と先生がおっしゃっていました。
フランスでは柔道着を「kimono」と呼んでいるようです。
13歳以下の子供たちはカラフルな帯を締めていました。
白は九級、白と黄色のストライプは八級、黄色は七級、オレンジと黄色のストライプは六級……と、級によって色が決められています。
入会してきた当初は少し閉鎖的で内気な子でも、一年が終わる頃には開放的で積極的な性格に変わっているとか。
柔道をするのは子供たちだけではありません。社会人も大勢います。
年齢も階級もまちまちなまま対戦するそうです。なんと言っても、相手を尊重し、相手の柔道にうまく適応していくこと、自分自身をストレスから解放することが大切だからです。
66歳になるクリスチャンさんは、42年前に柔道を止めていましたが、最近、必要を感じてまた道場にもどってきたそうです。「卓球で負けたらボールを拾い集めればいいが、柔道は自分の肉体を持ち上げなくてはならない」とおっしゃっていました。
また、フランソワさんはこう言います。「確かに身体を消耗するスポーツでつらいと感じる時もあります。健康のため、太りすぎないようにやっていますが、一番は、54歳になっても老けたと感じないことを証明するためです」
フランス柔道連盟の登録者のうち30%が女性だそうです。オリッピックでフランスにメダルをもたらしているのがこの女性たちだとナレーションで言っていました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、柔道の練習日だった。見知らぬ若い女の子が相手だった。階級も僕より下。僕は身長190センチの巨体なので、ちょっと遠慮がちに始めたところ、あっという間に2メートル以上投げ飛ばされてしまった。謙虚さとは……」
VDM (Vie de merde)より
柔道の本家日本では、学校の体育の授業に柔道があるのは危険だとPTAが圧力をかけているそうです。柔道=規律と考えるフランスとはエライ違いです(苦)。
by opas10 (2011-08-28 14:19)
opas10さん
フランス人に何が受けてこんなに柔道がさかんになってるのかなあと疑問になるのですが、哲学的でどことなくかっこいいのかもしれません。オリンピックや世界大会の柔道は日本の柔道ではなくなっていると言われていますが、はっきり区別して、目先の勝ち負けだけにこだわらない日本の柔道の格の違いを残していって欲しいです。
by carotte (2011-08-28 22:17)