コートダジュールの小さなリゾート地 [コート・ダジュール地方]
今日は、ニースとモナコの間にある小さな村ボーリュ=シュル=メール(Beaulieu-sur-Mer)(「海に面した美しい場所」という意味)を訪ねます。
村の人口は3,800人ほど。その経済を支えているのは主に観光業。自治体として認められたのが1891年と、わりに最近のことです。
19世紀後半に道路と鉄道が開通したことで、村は徐々に発展して行きます。
当時、王家を含む多くのセレブたちが、冬の寒さを逃れてここにやって来たそうです。言わば、特権階級の集まる冬のリゾート地だったわけです。村にはその繁栄のほどをしのばせる建物が残っています。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年8月25日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
海岸沿いのエルレーヌ通りに面して建っているのがラ・ロトンド(La Rotonde)。ホテルLe Bristolのレストランだったところです。
教会の後陣を思わせる作りで、ガラス窓からは部屋一杯に光りが入るようになっています。
ホテルLe Bristolは、1898年にデンマークの建築家によって建てられました。施主はロンドンの有名な家具製造会社の経営者。
1899年1月1日の開業式には、ナポレオン公やアオスタ公妃ヘレナ・ドルレアンスなど、数々のセレブが出席したそうです。
当時は、リヴィエラ海岸にある大型高級ホテルの一つで、建物の敷地だけで2,000㎡。7階建てで客室は300室。さらに広大な庭があり、鉄道の駅から海までがこのホテルで占められていたそうですから相当なものです。
戦後、部屋毎にバラ売りされ、現在は高級マンションになっています。
特権階級のリゾート地も、今は一般市民も訪れる行楽地。ビーチは夏のバカンスを楽しむ人たちで賑やかです。
ここは、日本風に言えばプチ・アフリカン・ビーチ(plage petite Afrique)と呼ばれています。この辺りの地形と気候の影響で、海水が他のビーチより2度ほど高め。そのため、こんな呼び名がついたのだとか。
ビーチの隣にはマリーナがあります。ここはコートダジュールでも大きな港の一つ。高級そうなヨットやクルーザーが係留されていました。映像に登場した年配の男性は40年来ここを使っているそうです。
最後に登場した海辺の建物はヴィラ・ケリロス(Villa Kérylos)。エーゲ海に浮かぶデロス島にあった、紀元前2世紀頃の古代ギリシャの邸宅をモデルに造られました。
考古学者でヘレニズムの専門家だった施主Théodore Reinachと建築家Emmanuel Pontremoliの緊密な協力関係が結実した建物です。
1902年に始まった工事は6年後の1908年に終了。費用は締めて900万金貨フラン。今の価値でどのくらいの金額になるのか分かりませんが、やたら高そうです。なにしろ金貨がついてますから。
見た目は古代でも、暖房、通風、照明など見えないところに近代設備が完備されています。近代的な生活を犠牲にすることなく古代を楽しめるということでしょうか。
そして面白いしかけもあります。暖炉のような場所には……折りたたみのピアノが備えてありました。
二人のこだわりと贅沢な遊び心を感じます。
ここは、毎年6万人の見学者が訪れる人気のスポット。興味のある方は下記もご覧下さい。
とにかく豪華としか言いようがありませんね。ジャグジー付きのお風呂も古代ギリシャ風でした。
今回も、上記地図には番組に登場した場所の印がついています。時間と興味のある方はストリートビューでお楽しみください。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、バカンス中の妹から電話がかかってきた。かれこれ2週間ぶりだというのに、最初のひと言は『犬は元気?』だった」
VDM (Vie de merde)より
マリーナは本当にギチギチですね、帰港して係留する際には神業並の操縦技術が必要そうな。フランス人は狭い場所に駐車するのに慣れているから大丈夫なんでしょうか。
by opas10 (2011-09-04 13:46)
opas10さん
あの電車の椅子にむりやりお尻をすべりこませて座るおばさんみたいな感じでしょうか?^^ 車より船のほうがやりやすいかもしれませんよ。
by carotte (2011-09-04 18:25)