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アルザス・ワイン街道 その1 [フランスのワイン]

 今日から、5回シリーズでアルザス・ワイン街道の小さな村を訪ねます。

 

 1953年5月30日、自動車レースがきっかけでこの街道が生まれました。

 

 2台の車が全長約170キロの街道の北端と南端からそれぞれ同時に走り始め、その2台が出逢ったところで終了。そんなレースだったそうです。

 

 北端の村がマルレンアイム(Marlenheim)、南端の村がタン(Thann)。ブドウ畑の広がるこの街道には、この二つを含めて全部で103の村があります。今回はこのうちの5つを訪ねます。

Paris_AlsaceRV.jpg


より大きな地図で アルザス・ワイン街道 を表示

 第一回目は、ニーデルモルシュヴィール(Niedermorschwihr)。舌を噛みそうな名前ですが、フランスの方々は皆さん大丈夫なようです。(上記地図の青い印)

 小さな教会を中心に600人足らずが暮らす小さな村。もちろん有数のワインの産地ですが、コロンバージュ様式と言われる木骨構造の建物やちょっと変わった教会の鐘楼、そして、国内外に知られるジャム作りの鉄人が住む村としても知られています。 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年8月29日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら

 

 

 コロンバージュ様式の家々の並ぶ村の大通りをゆけば、どこからかビンのカタカタいう音が………。音のする方へと向かうと、ワインをビンに詰めていました。

 

 2010年に収穫されたブドウで作られたワインをビンに詰め熟成させ、来年末には出荷の予定だそうです。

 

 ブドウ畑の広がる丘から村を眺めると、ひときわ目を引くのが教会の鐘楼。近づいてみると、ねじれています。しかも美しい。

 

 村役場の責任者ジャン=マルクさんの案内で鐘楼の中に入ってみると、たくさんの梁や柱で支えられているのが分かります。

 

 このねじれた鐘楼については、以前のブログで紹介したことがありますが(過去記事は→こちら)、やたらあちこちにあるというわけではありませんが、フランスだけでなくヨーロッパの各地に存在しているそうです。

 

 何故ねじれているのか?風に吹かれているうちに自然とねじれた、いや建築当初からねじれていたなど、そのルーツは未だにはっきりしていません。

 

 ここの鐘楼のさらに珍しいのは、右回りにねじれていること。他のはたいてい左回りだそうです。

 

 ここでは、鐘楼にしっぽをからませて座っていた悪魔がいなくなったら、そのまま鐘楼がねじれてしまったと言われているとか。

 

 村を囲むように広がるブドウ畑の間には果樹園もあります。実っていたのはクウェッチ(quetsche)と呼ばれる果物。スモモの仲間です。半分に割って、種を取り出したら皮ごといただけます。

 

 クウェッチを収穫していたのは、パティシエでジャムの大家クリスティーヌ・フェルベール(Christine Ferber)さん。「あちこち行ったけど、結局、自分が生まれたこの村に戻ってきました。豊かな自然があるからでしょう」とおっしゃっていました。

 

 ブドウ畑は丘の斜面にもあります。映像でみるとかなりの傾斜。ブドウの世話も畑の手入れもちょっと複雑で手がかかるそうです。

 

 急勾配のブドウ畑から村に戻ると、なぜかトラクターがぞろぞろと走っています。この日は、自慢のトラクターにまたがった愛好家がこの村に大集合。ドイツからの方々だそうです。トラクターの愛好家っているんですね。

 

 トラクターが走り回っていたコロンバージュの家々の並ぶ一画に、さきほどクウェッチを収穫していたクリスティーヌさんのお店があります。

 

 収穫したクウェッチでタルトを作ります。アーモンド・パウダーで作った生地の上に、今年一番で収穫したみずみずしい実をのせ焼き上げます。仕上げに粉砂糖をふりかけて出来上がり。美味しそうですねえ~。

 

 ストリートビューは下記地図を大きくしてお楽しみください。

 

より大きな地図で ニーデルモルシュヴィール を表示

 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、妻のためにスモモのタルトを作った。仕事から帰って来た妻が大喜びでタルトにかじりついた。と、その直後、ものすごい顔つきで『なんじゃ、こりゃ!』と叫んだ。どうやら私は塩と砂糖を間違えたらしい」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 6

wattana

carotte さん、おはようございます。
クリスティーヌ・フェルヴェールさんのジャムは、伊勢丹新宿店で販売しているんですね。伊勢丹オンラインショップを見ると、220g入りで1,575円(税込)となっています。高いジャムですね。
クウェッチのタルト、食べてみたいです。お店でいくらくらいで売っているのでしょうか?
映像に出てきたファーム・トラクターのメーカーに興味があります。でも、速すぎてよく見えませんでした。ドイツ製なんでしょうね。
by wattana (2011-09-03 08:27) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
クリスティーヌさんの名前で検索したら伊勢丹が出て来たので日本でも売られてるんだなあと思っていたところです。大量生産のボンヌ・ママンのジャムとはだいぶ違いますね。^^ クルスティーヌさんのオンラインショップだと8.20ユーロです。1000円くらいですね。クウェッチのタルトのお値段は調べてみましたが、結局、みつからずです。
トラクターの行進はほんの少しのカットしか出てきませんでしたが、あれがどんどん続くとなると面白いですね。きっと奥深い面白さがあるのかもしれません。
by carotte (2011-09-03 10:32) 

orange

quetscheこれは聞き取れましたよ^^
ドイツ語ではZwetscheといいます。複数で語尾にnを。schはドイツ語に多い子音の綴りです。昔、会話学校(Freiburg)でこの辺りの人と同じクラスになったことがあります。建物もドイツのライン川沿いのものによく似ていますね。あっNiederの語尾erはアーと軽く伸ばすので(最近の発音では)アーと書いて大丈夫です。これをデルと発音したのは明治時代から昭和初期までの先生方です^^。
by orange (2011-09-03 11:49) 

carotte

orangeさん
アルザスの地名の発音は悩ましい〜。なにしろ綴りがドイツ語で、それを読んでるフランス人がフランス風に発音していたり、また、地元の人はドイツ語で発音していたり、それをまたカタカナにとなると、どちらを選択するべきか悩みますね。Niederのrは、ペルノーさんもナレーターもわずかにrを発音しているんですよ。rと言っても、喉の奥をちょっとだけふるわせて出す、ため息風のrなのです。ドイツ語になるとアーで大丈夫なんですね。そう言われると、地元の人のフランス語が、全体になんとなくそんな雰囲気です。ドイツの影響なんでしょうね。

by carotte (2011-09-03 16:08) 

opas10

ジャン=マルクさんが梁に頭をぶつける、という鉄板ネタ(笑)が入っていましたが、ネジレ鐘楼の内部は本当に複雑ですね。設計者がどうやって指示をしたのか、図面をどうやって書いていたのか、そもそも図面はあったのか、などなど勝手に想像が膨らみます。トラクター愛好者、日本でもそのうち「タモリ倶楽部」あたりで取り上げそうな予感(笑)。
by opas10 (2011-09-04 14:03) 

carotte

opas10さん
さすがopas10さん、こういうシーンは見逃さないですね。^^
ジャン=マルクさん、はりきりすぎで頭ぶつけてました。ここの鐘楼は意図的に最初からねじれていたのだそうです。図面があったかどうかは分かりませんが、伝統的徒弟制度の職人たちが作った傑作だとか言ってますから、どうもまじめに作ってるみたいですよ。
by carotte (2011-09-04 20:58) 

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