SSブログ

ローヌ川ワイン街道 その5 〜コンドゥリウ〜 [フランスのワイン]

 シリーズの最後は、前回のコルナスから60〜70キロ北にあるコンドゥリウ(Condrieu)を訪ねます。(下記地図の紫印)また、ワイン街道の終点ヴィエンヌ(Vienne)も最後に登場します。(下記地図の赤いピン)

 

Paris_Rhone.jpg

より大きな地図で ローヌ川ワイン街道 を表示
 

 コンドゥリウの人口は4000人弱。

 

 フランスにはいくつかの町村が集まってカントン(canton)という行政区を作っていますが、この地域はコンドゥリウを中心に同じ名称のカントンを作っています。日本風に言えば、コンドゥリウ郡コンドゥリウ町。

 

 それはさておき、この地域では、ローヌ川の右岸(ローヌ川を北から眺めた右側)の斜面にブドウ畑がありますが、この斜面の北側と南側で異なるワインができるそうです。南側のAOC名がコンドゥリウ(Condrieu)(白ワイン)、北側がコート=ロティ(Côtes-Rôtie)(赤ワイン)です。

 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月7日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら



 肌寒さの残る早朝、朝日の中を南側の斜面にあるブドウ畑を歩く一人の男性。
 
 ワイン農家Domaine Georges Vernayの設立者ジョルジュさん、85歳です。今はワイン作りを子供たちにまかせ引退しています。
 
 このあたりのブドウの木は1970年代〜80年代に植えられたもの。
 
 「ここの土壌は、果物や野菜を育てるのには向かない、ブドウ向きだと思ったから、ワイン作りを始めたんじゃよ」とジョルジュさん。
 
 このドメーヌですが、私のアシェット社から出ている古いワインガイドに、三つ星付きで紹介されています。
 
 一方、北側の斜面でブドウを栽培しているのがワイン農家Pierre Jean Villaのピエール=ジャンさん。
 
 ちょっと面白い言い伝えを教えてくれました。
 
「16世紀、ここの領主だったモジロンはブドウ園を所有していました。そして、二人の娘が結婚する際に、そのブドウ園を二つに分けて、半分はブロンドの娘に、もう半分は黒褐色の髪(ブリュンヌ)の娘に与えて嫁がせたという伝説が残っています」
 
 そしてその後、それぞれの畑は、コート・ブロンド(Côte Blonde)、コート・ブリュンヌ(Côte Brune)と呼ばれるようになったそうです。
 
 ブドウ畑の回りには普通の畑もあります。かぼちゃ、じゃがいも、サラダ用の野菜が栽培されています。
 
 シリーズ最後の締めには、ワイン街道の終点の町ヴィエンヌも登場しました。人口は30,000人ほど。
 
 ここでは、ミシュランガイドで2つ星を獲得しているレストランLa Pyramideのオーナーシェフ、パトリック・アンリルーさんが、自身のワイン蔵を案内してくれました。
 
 蔵には40,000本のワインが貯蔵されており、ローヌ川沿いで作られているすべてのワインが揃っているそうです。
 
 木箱に横たえられた古いワインは、M.シャプティエ社が1898年に製造したHermitage。1898年と言えば、日本で初めて政党内閣が誕生した年でした。
 
 パトリックさんはワインだけではなく、ブドウが育つ畑の土も集めていました。
 
 最初の大きなビンに入っていたのはシャトーヌフ・デュ・パープの畑から採取したもの。土はなし、小石だけだそうです。小石だけの土地でブドウは育つんですね。
 
 小さいビンに入っていたのはコート=ロティのコート・ブロンドから採取した砂のような土。その次はコルナスの赤い土。
 
 土を見れば、その土地の多様性がよく分かるそうですが、これほど違っているとはちょっと驚きました。 
 
 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、彼氏が、本当はメガネをかけた金髪の秘書に憧れると言った。知ってか知らずか、それはまるで私の母のことではないか!」

 

VDM (Vie de merde)より



nice!(27)  コメント(8) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 27

コメント 8

wattana

carotte さん、こんばんは。
コンドリューとコート=ロティのワインは、ローヌ川流域のワインの中で高いワインですね。コンドリューは未だ飲んだことがありませんが、コート=ロティは飲みました。それにしても、DOMAINE GEORGES VERNAY の畑は、かなりの急斜面にありますね。岐阜県揖斐郡揖斐川町春日にある茶畑を思い出しました。そして、La Pyramide が貯蔵しているワインと葡萄畑の土、おどろきました。
by wattana (2011-10-14 21:57) 

yuzuhane

ピラミッドのワイン蔵の木箱のワインはラベルも破けてかなり年季が入っていましたね。1898年とは・・・驚きです。小石だけでブドウが育つとはこれまたすごいです。ヴィエンヌは地図で見るともうリヨンにほど近いところにあるんですね。南北に長く続く街道ですね。
by yuzuhane (2011-10-14 22:20) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
メドックほどではありませんが、わりと高級です。手元のワインガイドに鉛筆で印をつけた後があり、昔、飲んだかなにかしたんじゃないかと思うのですが、記憶の彼方で思い出せません ^^;
茶畑も斜面に出来ていることが多いですね。
ブドウ畑の土にこれだけ違いがあるとなると、ワインの味も様々でしょうから、これもまた味わってみたいです。
by carotte (2011-10-15 09:21) 

carotte

yuzuhaneさん、おはようございます。
今から100年以上も前のワイン。どんなお味でしょ?それにお値段も気になります ^^。小石で育つとなると、この小石になにかブドウを育てる秘密があるような......。
このワイン街道はかなり長いですね。プロヴァンスの西側を縦断してます。一本だけではなく、あちこち経路が出来ていて6つくらいのコースがあるらしいですよ。
by carotte (2011-10-15 09:28) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
岩野貞雄さんが書いた 「ワイン逍遥」にある 「ローヌ河流域のワイン」の章にあるローヌ北部のワインの項を見ると、ローヌ川流域100kmに及ぶローヌ北部のワイン産地には、今回のシリーズに出てきた産地の他に、シャトー・グリエ、エルミタージュ、サン・ジョセフなどが載っています。ボルドー、ブルゴーニュという二大名醸ワインほどの知名度はありませんが、ローヌ河流域のワインは手頃なものが多く、悪くないと思います。
by wattana (2011-10-16 07:16) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
ローヌ川のワインは、AOCコート・デュ・ローヌのイメージが強く、ずっと安価なワインしかないと思い込んでいましたが、今回のシリーズで高品質のものもあるのが分かりました。そしてローヌ川ワイン街道は観光するのにもいいかなと思います。
エルミタージュは一度飲んだことがあり、かなり強かった記憶があります。
by carotte (2011-10-16 09:18) 

opas10

ブドウが育つ土のコレクション、特にあの石は驚きですね!養分のないやせた土地と寒暖の差が厳しい気候の中でいい品質ができるなんて、ブドウは、植物の中でも完全にドMですよ(?)。
by opas10 (2011-10-16 16:57) 

carotte

opas10さん
あの石にはちょっと驚きますね。石は石なりに水分を溜め込んでいるのかななんて考えてしまいました。しかも、ここのブドウで高品質のワインができるんですから、また驚きです。
by carotte (2011-10-16 21:22) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。