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食の愛好協会 その1 〜ニンニク〜 [フランスのグルメ]

 地元の特産品の良さをアピールし、広く世界に知らしめること。そんな目的で結成される“コンフレリー(confrérie)”という団体があります。

 

 言ってみれば「○○愛好協会」。○○のところには地元の特産品が入ります。

 

 この団体、フランスの各地で結成されています。先日のガトーバスクの番組にも登場しました。

 

 威厳のある制服と帽子、なにやら謎めいた儀式……そして、地元の特産品を食べては「美味しい、これが本物だ!」と宣言する。今やフランスではなくてはならない存在になっています。

 

 今回のシリーズでは、そんな○○愛好協会を訪ねつつ、地方の特産品を紹介します。

 

 第一回目の今日は、ニンニク。

 

 ニンニクはアジアが原産で、5000年も前から栽培されていたと考えられています。 

 

 フランスでは、さすがに今のところAOC付きのニンニクはありませんが、産地の名前をつけて販売されているものがいくつかあります。その中の一つが南仏ピオランク(Piolenc)産ニンニク。

 

Paris_Piolenc.jpg

 

 

 村の人口は5,000人弱。ローヌ川ワイン街道沿いにあり、第一の産業はワインの製造。二番目がこのニンニクです。

 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月10日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら 


 
 団旗を掲げ、団歌を歌いながら、村の教会の階段をぞろぞろと降りてくる集団。ピオランク産ニンニク愛好協会の方々です。1991年に設立されました。
 
 赤いガウンにベージュのストローハット、首にはメダルがぶら下げられています。
 
 今日は、市場へ村のお宝のニンニクを調べにやってきました。
 
 一通りチェックが済んだら広場で団結式。団長さんの呼びかけには「アイユ!アイユ!」で合いの手を入れます。アイユ(ail)はフランス語でニンニクのこと。
 
 ニンニクの栽培は秋に始まります。この地域のニンニクの種類は3つ。白(早く育つ)、ピンク(マイルド)、紫(きつい)。
 
 それぞれ一つずつ畑の土に埋めて行きます。ビニールシートをかぶせておけば、芽が伸びるのが抑えられ、球根の生育が早くなるそうです。
 
 この畑では80%が紫のニンニクです。料理人はこのニンニクを好むそうです。一粒が大きくて、味も香りもいいそうです。
 
 この日は、愛好協会の主催で、アイオリ・ソースのコンクールが開かれました。
 
 アイオリ・ソースとは、ニンニクをつぶし、卵黄、オリーブ油、レモン汁、塩、コショウを加え、練って作ったソース。主に、魚や茹で野菜につけて食べるソースです。
 
 審査は愛好協会の3人のメンバーが行います。
 
 どろどろは失敗作。器に貼り付くくらいのかたさが必要です。優勝したのはニコルさんでした。
 
 最後には入会式が行われました。どことなく教会の儀式のよう。
 
 新メンバーは、座布団の上にのせられたニンニクに手を置き、厳かに誓いの言葉を読み上げます。会長さんから祝福を受けたら、晴れて正式なメンバーとなります。
 
 メンバーはニンニクの生産者で、できるだけ料理に使ってもらえるようにアピールするのがその任務。しかし、ニンニクは、美味しいものを食べる良い口実にもなります。
 
 結局は、ニンニク様々ですね。
 
 次回は、バスク地方の海の幸です。 
 
 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、彼女をおどろかせてやろうと夕食を作った。僕の名前を取ってアルフレッド風パスタ。ところが、『ニンニク4かけ』を『にんにく4つ』と間違えて、まるまるニンニク4個を使ってしまった。どうりで彼女がおどろくはずだ」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 6

orange

一見、修道僧かと思ってしまいました。
マルチシートを敷いた畑に一粒ずつ。面積が広いので中腰が
たいへんそうですね。
ちょっと多忙だったのでご無沙汰してしまいました。
by orange (2011-10-15 21:35) 

wattana

carotte さん、食の愛好協会は5回のシリーズですか?どんな地方のどんな「食」が登場するのか、楽しみです。各地にある食の愛好協会をまとめる中央組織 (食の愛好協会連合会本部?)はあるのでしょうか?各地の食の愛好協会が集まって展示会、品評会といったものを開催しているとしたら、「B-1グランプリ」に似た組織ですね。     
http://b-1grandprix.com/b-1a.html
by wattana (2011-10-16 07:51) 

carotte

orangeさん
confrérieはかなり昔からある団体で、愛国や宗教がらみだったようです。今はワインや食に関する分野でよく登場しますが、雰囲気だけ残ったみたいです。
先週は私もちょっとばたばたしました。
by carotte (2011-10-16 09:22) 

carotte

wattanaさん
はい、今回のも5回シリーズです。
confrérieはこじんまりとした組織のようで、全国を取りまとめる「本部」のような存在はないようです。各自が勝手に作って活動しています。よって、その影響力も団体によってだいぶ異なります。組織力の強いのもあれば、半分休止状態のもあるんじゃないかと思います。例のアンドゥイエットにもcontrérieがあり、格付けまでしています。ブルゴーニュ地方のワインのconrérieもしっかりした組織ですね。「味聞き騎士団」というような和訳になっていると思います。全国のconfrérieが一同に会したら結構おもしろいことになりそうな気がしますが........。
by carotte (2011-10-16 09:37) 

opas10

フランス人のつぶやき、想像するにドラキュラ除け料理ですかね。今から20年くらい前、お酒の締めに屋台でラーメンを食べた際に、生ニンニクのクラッシュを入れたら翌朝家族から物凄い非難されたことを思い出しました。
by opas10 (2011-10-16 17:06) 

carotte

opas10さん
4カケが4個ですから相当すごいですよ。吸血鬼じゃなくてもむせて窒息しそう。最近、屋台のラーメンは食べてませんが(やっぱり冬が旬ですかね?)、生ニンニクのすったのを入れるのありますね。確かに入れて食べたことあります。相当なんでしょうね。ああいうのは食べた本人には分かりません。
by carotte (2011-10-16 21:29) 

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