食の愛好協会 その3 〜フィセル・ピカルドゥ〜 [フランスのグルメ]
シリーズの三回目は、ピカルディ地方の郷土料理フィセル・ピカルドゥ(Ficelle Picarde)。
フィセルは小型のバゲットのことですが、“ピカルディのフィセル”とは、いったいどんな料理なんでしょう?
今日も二つの村を訪ねます。
ル・クロトワの人口は約2500人、ブルトゥイユは約4300人。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月12日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
こちらの協会はこざっぱりとした出で立ちで、すでに食卓を囲み、ワインの入ったグラスを片手に団歌の合唱。
まずは、フィセル・ピカルドゥの作り方を教えてくれる元料理人で現在は料理評論家のジョッフルさんの住む海辺の村ル・クロトワへ。
材料は、マッシュルーム、エシャロット、ハム、クレープ生地、バター、生クリーム、グルイエールチーズ、塩・こしょう。
マッシュルームとエシャロットを細かく刻み、バターで炒めます。そこにクリームを加え塩・こしょうをします。こうしてできたのをデュクセル(duxelles)と言います。
あらかじめ作っておいたクレープの上にハム、デュクセルの順にのせ、のり巻きのように巻きます。
これを耐熱皿に入れ、生クリーム、グルイエールチーズをのせオーブンで約20分ほど焼いてできあがり。
この料理、1956年に、ピカルディ地方の中心地アミアンで開催されたコンクールで生まれました。生みの親はマルセル・ルフェーヴルという料理人。
またたくまに人気になり、あちこちのお店で出されるようになります。そして、今やピカルディ地方ならではの名物料理になったというわけです。
しかし、生クリームではなくベシャメルソースを使うと言う人が大勢いて議論沸騰。ジョッフルさんは、ベシャメルソースを使うのは間違いだと断定していました。
そこで、1997年3月9日にブルトゥイユで結成されたフィセル・ピカルドゥ愛好協会の戦いが始まりました。
「ベシャメルソースを使うというのは見過ごせません。邪道です。アミアンで生まれた料理ですから生クリームを使うのが当然です。きちんと伝統を尊重して欲しいですね」
「ファーストフードしか知らない若者にも、きちんとした伝統の料理を伝えて行く必要があります」
因に、協会の本部のあるブルトゥイユは、印画紙の発展に貢献したイポリット・バイヤールの生まれ故郷でもあります。村にはブロンズ像が立っていました。
さて、料理の方ですが、協会の会員たちは定期的にフィセル・ピカルドゥの会食を開いては本物をアピールしています。
トランペットの合図で皆さんテーブルに着席。なんだか軍隊式ですね。
「生クリームだからこそ、食べた後に、マッシュルームの香り、エシャロットの風味が残るのです」とメンバーの方々はおっしゃっていました。
フィセル・ピカルドゥは基本的には前菜だそうですが、メインでも大丈夫そうですね。ワインはSaint-Pourçainが合うそうです。
次回は、有名なお菓子の登場です。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、脚立を使ってキノコを収穫した。僕のアパートのお風呂の天井には、定期的にキノコが生えて来るんだ」
VDM (Vie de merde)より
協会の皆さんはフィセル・ピカルドゥをたくさん食べすぎでしょうかね(笑)
by yuzuhane (2011-10-17 23:05)
テーブルクロスの色が素敵だなぁと思って見ていました。
イメージカラーなんですね。
大きなハム。チーズもたっぷり…美味しそうですが…
グラスを掲げて楽しそうにお食事をするおばさま方のコレステロール値が
気になってしまいました(苦笑)
フィッセル、丁度いいサイズで好きでしたが、この頃行くパン屋さんでは
見かけなくなりました。
by orange (2011-10-18 00:19)
carotte さん、おはようございます。
これこそ地方のグルメを伝統を守りながら普及させていく活動ですね。
日本では今、地方の発展にはB級グルメが必要、B-1グランプリの経済効果は大、・・・等々の考え方が広がっており、多くの地方自治体が地方のグルメの発掘、開発を進めています。私が住む岐阜市も例外ではありません。「岐阜市民が誇るご当地B級グルメ募集する!!」だそうです。何か違う、と思っています。 http://www.gifu-bq.com/m/
by wattana (2011-10-18 08:46)
yuzuhaneさん
協会の皆さん、だいぶ盛り上がってましたね。
これ、自分で作れそうなので一度作ろうと思っています。^^
by carotte (2011-10-18 14:54)
orangeさん
明るい黄色ですね。協会のサイトを見ると、皆さん、黄色のスカーフを巻いて写真に映っていました。
確かに、あのオバさま方は生クリームと声高におっしゃっていましたが、ちょっと気をつけた方がいいですね。そして、ワインよりウーロン茶をお飲みになるのがよろしいような.......。
by carotte (2011-10-18 14:59)
wattanaさん、こんにちは。
なんとなく物珍しいものを探し出して来て盛り上げようという感じに見えてしまいますね。それにB級と言ってしまうのはどうかなとも思います。取っ付き易く、誰でも作れそうだからでしょうか?
by carotte (2011-10-18 15:10)
ローカロリー、ダイエット、ヘルシーなんぞ関係ない、という意気込みが伝わってくる団体でした。最後のシーン、広いはずのダイニングがすごく狭く感じますね(笑)。そしてこのクレープにかけるならば、個人的にはペシャメルソースの方を選びますね、伝統に反していると怒られますが(笑)。
by opas10 (2011-10-23 11:13)
opas10さん
ベシャメルソース派ですね^^
材料は全部国内で揃えられるものばかりなので、今度自分で作ってどちらが美味しいか試してみようと思っています。
by carotte (2011-10-23 17:01)