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食の愛好協会 その4 〜マドレーヌ〜 [フランスのグルメ]

 シリーズの四回目は、貝の形のお菓子マドレーヌ。

 

 このお菓子が生まれた町コメルシーを訪ねます。人口は6500人ほど。

Paris_Commercy.jpg

 

 

 1755年のある夜、コメルシーのお城でロレーヌ公スタニスラスの夕食会に出されるはずのデザートが間に合いませんでした。

 

 これをなんとか穴埋めしようと出されたのが、若い召使いの作ったお菓子。

 

 ロレーヌ公はこのお菓子を大変気に入り、召使いの名前マドレーヌをそのままお菓子の名前にしてしまったそうです。 

 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月13日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら 


 
 お城の前で歌っているのがマドレーヌ愛好協会の方々。
 
 こちらの制服はなかなか工夫が凝らされていますね。設立は1963年。
 
 マドレーヌを作る菓子職人や労働組合のメンバーが集まって設立したそうです。
 
 歌は協会の歌かと思いきや、「ロレーヌ・マーチ(Marche Lorraine)(マルシュ・ロレーヌ)」と言われる行進曲。軍楽隊で必ず演奏される曲だそうです。日本ならさしずめ「軍艦マーチ」?
 
 今や世界各地で作られ販売されているマドレーヌですが、本物の“コメルシーのマドレーヌ”を世界に知らしめると同時に、その品質を守ることがこの協会の使命です。
 
 マドレーヌの生地(キジ)は、職人によって様々です。
 
 1951年の開業から三代に渡ってマドレーヌを作り続けているLA BOÎTE À MADELEINESでは、小麦粉、砂糖、卵、溶かしバターの他に、ハチミツやゲランドの塩、そして秘伝の材料を加えるそうです。
 
 おじいさんの代から様々に改良が加えられてきましたが、今もそれは続いています。
 
 「マドレーヌをふっくらさせるためにはイースト菌を使いますが、昔は重炭安(重炭酸アンモニウム)を使っていました。焼き上がる頃には目がちくちくして涙がぽろぽろ。フランス語で『(深く後悔して)さめざめと泣く』ことを『マドレーヌのように泣く(pleurer comme une Madeleine)』と言いますが、ここからきた言葉です」と二代目のティエリーさんが教えてくれました。
 
 一方、愛好協会の皆さん方はこんなことをおっしゃっていました。
 
 「こんな身なりで歩いていると、民族衣装か?とか、王政復古派か?なんて皮肉が耳に入って来たりしますよ」
 
 「スタニスラスはマドレーヌが大好きだったから、毎朝食べたんじゃないかと思うわ。私も同じよ。毎朝食べてるわ」
 
 「娘はベアルン地方(フランス南西部)に住んでいますが、今でもコメルシーのマドレーヌを食べていますよ」
 
 そして、さっきとは別のお店の菓子職人のティエリーさんはこうおっしゃっていました。
 
 「作り方をよく尋ねられますが、教えませんよ。営業秘密ですからね」
 
 愛好協会の名誉会員ミッシェルさんの話によると、昔、コメルシーの駅で売り子たちがカゴの中にたくさんのマドレーヌを入れて乗客たちに売っていたそうです。
 
 19世紀末から終戦の翌年くらいまで、パリからストラスブールへ向かう列車がコメルシーの駅に停車すると、大きな声でお店の名前をはり上げている売り子たちの姿を一目見ようと、乗客が乗降口に集まったとか。
 
 短い停車時間にできるだけたくさんのマドレーヌを売らなくてはならなかったので、若い女の子たちにとってはちょっとハードな仕事だったようですが、そのおかげで世界中に知られるようになったそうです。
 
 「真ん中がふくらんだマドレーヌはここだけにしか作れません。他のはみな平らなものばかりです。家庭でも作ることはできますが、おいしいマドレーヌを作るには長年の経験が必要です」と協会メンバーの一人がおっしゃっていました。
 
 ロレーヌ公スタニスラスはベルサイユ宮殿にマドレーヌを持って行ったそうです。そして、一口食べたとたん、誰もが夢中になってしまったとか。
 
 愛好協会の皆さんは白ワインと一緒にマドレーヌを召し上がってましたが、マドレーヌに合う白ワインとは、どこのワインなのでしょう???気になります。 
 
 次回は、ブルターニュ地方の海の幸です。
 
 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、うちのアパートの建物はほんとに壁が薄く出来てるってことがよく分かった。マドレーヌの入った缶のフタを開けようと必死でがんばっていたら、隣人が物音を聞きつけて、『へへへ、お手伝いしましょうか?』とやってきた」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 5

wattana

carotte さん、おはようございます。
日本の洋菓子店で焼き菓子といえば、マドレーヌが代表アイテムですね。マドレーヌが貝の形をしているのは、どうしてなのでしょうか? そして、マドレーヌさんが焼いた最初のマドレーヌは貝の形をしていたのでしょうか?
by wattana (2011-10-19 04:12) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
マドレーヌの起源について分かっていることは、当時のロレーヌ公スタニスラス一世の住まいのキッチンで生まれたということだけのようです。一説には、マドレーヌという名の娘がコンポステラへの巡礼者にこのお菓子を配ったというような話もあります。いかにも貝の形をしている理由にぴったりな話ですが、これも確実ではなさそうです。コメルシーの観光事務所のサイトによると、マドレーヌは以前ブログに取り上げたパパ・オ・ロムというお菓子の発展形だという菓子職人もいるそうです。歯がボロボロになってしまったスタニスラス一世が大好きなクグロフが食べられなかったために、お酒に浸して食べ易くしたというのがババ・オ・ロムの起源でしたが、そうなると、クグロフをどんどん小さくしていくとマドレーヌの形に似てなくもありませんね。そして、より平にするとコメルシーのマドーヌになりそうな気もします。
by carotte (2011-10-19 09:38) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
お菓子の歴史は、和洋を問わず、興味深いですね。
ありがとうございました。
by wattana (2011-10-20 07:49) 

opas10

確かに最後のシーンで白ワインで乾杯しながらマドレーヌを食べていましたね!マドレーヌに合うとしたらかなりフルーティーな白じゃないと・・・です。とても気になりますね~。
by opas10 (2011-10-23 11:31) 

carotte

opas10さん
もしかしたらシャンパンだったかな?と思わなくもありません。でもあの感じは普通の白ワインのような.......と、やぱっり気になりますねえ ^^;
by carotte (2011-10-23 17:03) 

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