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メイド・イン・フランスの日用品 その2 〜オイル・ランプ〜 [メイド・イン・フランス]

 シリーズの二回目は、オイル・ランプ。

 

 その工場は、スイスに近いフランス東部のジュラ県モルビエにあります。人口は2500人足らず。

 

Paris_Morbier.jpg

 


 今どき、オイル・ランプ?と思ってしまいますが、しかし、番組を見るとなかなか味わい深いものがあり、納得します。

 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月11日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら 


 
 今なら、懐中電灯を持って屋根裏部屋に上がって行くところですが、昔はランプでした。
 
 この工場には、映画のセットに使いたいと、年に数回ほど問い合わせがあるそうです。
 
 電気の登場でランプが活躍する時代は終わりを告げました。しかし、今も作り続けているのがランプ工場A.&P.GAUDARDです。
 
 その起源は、300年前、ゴダール家の先祖が水車小屋で、フランシュ=コンテ地方で作られている大型の置き時計のために振り子を作り始めた頃にさかのぼります。
 
 そして1865年、初代オーギュスト・ゴダールがこの水車小屋に、型押しの工房を構えます。
 
 本格的にランプの製造が始まったのは1902年のこと。それ以来、100年以上も同じやり方で上質のランプを作って来ました。
 
 現在、ランプを作っている工場は欧州ではここ一軒だけ。海外への輸出は、ドイツ、カナダ、そしてオーストラリアにまで達しているそうです。
 
 五代目にあたるカトリーヌさんが、ランプの中心部にあたる部品の組み立て方を見せてくれました。この3つの部品が一番重要で、価格の85%にあたるそうです。
 
 各部品の製造は、まず平坦な一枚の真鍮の板に型押しするところから始まります。
 
 その後は、ロープでつながれた大掛かりな機械で作業をするようですが、細かなところまでは説明がないので分かりません。企業秘密でしょうか???
 
 四代目のジョゼットさんが説明してくれた型抜きの機械は、1902年にアメリカのブルックリンで購入され、このモルビエまで運ばれてきたもの。
 
 この機械の導入で、ランプ製造産業を担う工場として成功を収めることになります。
 
 1936年にジョゼットさんのおじいさんが開発したというランプは、ピジョン型オイルランプ。
 
 一般家庭向けに作られ、よく売れたランプで、最初の考案者シャルル・ピジョンの名前がつけられています。
 
 他にも古いランプが見学者用に展示されています。
 
 「見学者には、今でも使えますかとよく訊かれますが、そんなこと訊くまでもないと思うんですよ〜。」とジョゼットさん。
 
 この工場は、今年、国からEPV(Entreprise du Patrimoine Vivant)の指定を受けました。日本なら「人間国宝」。ただし、こちらは生きた中小企業が対象です。
 
 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「僕は、まだ両親の家で暮らしている。今日、“ちょっと”だけ飲んで帰宅した。だいぶたってから母が言った。『どうして寝室の明かりをロウソクみたいに吹き消そうとするの?』」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 6

アヨアン・イゴカー

石油ランプ、とっても味わいがありますね。
こういう歴史のあるものは特に好きです。子供の頃、こういうランプが欲しくて仕方がなかったものです。
by アヨアン・イゴカー (2011-10-22 02:13) 

carotte

アヨアン・イゴカーさん
石油ランプなんて時代遅れと思いつつ映像を見ていたら、その石油ランプがいい物に見えてきました。実際に明かりとして使ってもいいですし、インテリアとして部屋に置いておいてもいいですね。
by carotte (2011-10-22 09:05) 

orange

素敵ですね。
使うほどに色も落ち着いて来て。味わいのあるものになるのですね。
温かい光とオイルの香り。いいですね。そんな風景が恋しい季節に
なりますね。
by orange (2011-10-22 20:47) 

carotte

orangeさん、こんばんは。
夏の間はちょっと暑苦しくて使えそうにもありませんが、冬なら暖房代わりにもなりそうでいいかなと思います。今も製造しているので新しいのが手に入りますが、これ、蚤の市なんかでアンティークのが欲しい気がします。
by carotte (2011-10-22 21:05) 

opas10

電気の照明器具にはない、ものすごい温かい色の灯りですね。これはインテリアとして魅力的です。商売としては、必需品ではなくなったので、販売数量は減ってもコモディティとしての価格競争に巻き込まれることが無くなった分、利益率がアップして、極端な衰退には至っていないんじゃないかと思います。
by opas10 (2011-10-23 12:18) 

carotte

opas10さん
日本で販売されているものの価格を見て、わりに高額だったのでちょっと驚きました。現地なら半額くらいで手に入るみたいですが、それでもそれなりの額ですね。大量に売る必要もないから、このくらいの規模でこつこつ作っていけば長生きできるという感じです。
by carotte (2011-10-23 17:26) 

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