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ビストロ・ドゥ・ペイ [トピックニュース]

 フランスには、一番小さい自治体の単位であるコミューンが36,682あり、このうちの半分以上が大なり小なり過疎化に見舞われています。

 

 たとえば、食料品やパンを売る店がないコミューンは5分の3、肉屋がないのが4分の3、店というものが何もないコミューンが2,000以上もあるそうです。

 

 フランスのTV局TF1の午後1時のニュース番組では、このような小さな村を支援しようと、9月末から10月中旬にかけて、特別企画SOS Villages(小さな村のSOS)のキャンペーンを展開しました。

 

 具体的には、支援を求める人と支援をしたい人をつなぐ情報提供のサイトを設置したり、いくつかの例を放送で取り上げるなどしていました。

 

 これらの放送の一つに登場したのが、Bistrot de pays(ビストロ・ドゥ・ペイ)(故郷ビストロ)の活動です。

 

 2000人以下の小さなコミューンに残った最後の商業施設で、村の生活を維持するために最大限のサービスを提供するお店に与えられる称号が、このBistrot de paysです。

 

 商標登録もしてあり、こんなデザインのマークもあります。

 

Dessin Bistrot de Pays

 

 具体的にはどんなことをするお店なのでしょう?それを知るため、今日はオート・ピレネー県サン=スヴェール=ドゥ=リュスタンにあるBistrot de paysを訊ねます。

 

Paris_StSeverR.jpg 
 

 

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月12日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら


 
 村の人口は150人ほど。
 
 村には800年頃に創設されたというベネディクト派の修道院があります。
 
 現在の建物は18世紀に建てられたもの。文化財の指定を受けていますが、修復が必要な状態です。
 
 そして村を流れる美しい川はアロス川。中世の頃は要塞都市として栄えていましたが、今では、村人のおもな交通手段は自転車という小さな集落です。

 「昔は、ビストロもいくつかありましたし、肉屋、食料品店、仕立て屋などもありました」と村長のジャン=ピエールさん。
 
 村長さんは、Office national des forêt(国立森林局)の職員でもあります。
 
 唯一、村にあるお店がLe P'ti Saint-Sever。Bistrot de paysのマークの付いたお店です。
 
 村が出資して、修道院の向かいにある木骨構造の古い建物の中に設置しました。
 
 ここは、郵便局、新聞・雑誌の販売店、カフェの三役をこなしています。そして最近はインターネットカフェも始めました。
 
 「Wi-Fiを使って、ここで仕事ができるようにしました」と責任者のジョエルさん。
 
 そして、ジョエルさんは料理人でもあります。
 
 店では、12時になると、11ユーロ(ワイン代込み)のランチ定食が食べられます。
 
 「ここは社員食堂みたいなところです」「村人が集まって楽しく食事が出来るのはいいですね」とお客さんたち。
 
 テーブルの上には、フランス人の好きな料理第2位のムール貝+フライドポテトが出ていました 
 
 お店を切り盛りしているジョエルさんは、この村の人ではありません。フランス北部からやってきました。
 
 「私は北の出身なので、北部特有の料理を出しています」とジョエルさん。
 
 Bistro de paysのラベルのついたお店は、全国に200軒以上あります。
 
 ビストロ、バー、カフェなど飲食関係の店で、平行して村の生活に役立つ活動を最大限行うというのが基本。
 
 地方をアピールするために地元の特産品を使った料理を出したりもするようです。

 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、そして一ヶ月前から、私は村の花々に水を上げています。今朝、その花々に肥料をやることにしました。適量を水に混ぜて、村中の花々にかけてやりました。でも、肥料だと思っていたのはなんと除草剤!結果がどうなったかはご想像におまかせします」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 4

yuzuhane

こんばんは。御機嫌が悪いようでビデオが見られませんでしたが・・・sosVillages・・・みたいに助けたい人、助けてほしい人をつなげる橋渡しをする情報役、コーディネーターはすごく大事ですよね。過疎化した様な困ってる人達は孤立しやすいですからこういうキャンペーンは有効かもしれませんね。
フランスは”称号”的なものが多いように感じますが、こんな取り組みをしていると言う証としてはわかりやすいし・・・なんかこの看板だけでも活気づく感じがしますね。
by yuzuhane (2011-11-09 22:14) 

carotte

yuzuhaneさん、おはようございます。
見られませんでしたか......。接続の関係で時々ダメな時があるんですよ。モデムを再起動させると治る場合があります。
このSOS Villagesは、もう20年も前からやっているらしいです。TF1の午後1時のニュースは地方が中心で、明らかに地方を支援する意図があるようです。確かに称号が多いですね。村おこし以外にもたくさんありますよね。いったいいくつくらいあるんでしょう?

by carotte (2011-11-10 08:27) 

opas10

これまでTF1の番組に出てくるフランスの田舎を見ていると、日本と違って限界集落とは無縁のように思えていたのですが、やはり過疎化が進んでの不便があるのですね。その土地の出身者じゃない人が、コミュニティを支える、というのも何だか日本の田舎と似ているような気がします。

by opas10 (2011-11-13 22:42) 

carotte

opas10さん
出て行った人たちを呼び戻すだけでは、なかなか先へ進まないんでしょう。で、仕事を求める人と、仕事を提供する人をつなぐという方法になる。村に一軒しかないパン屋は経営者が高齢でそろそろ引退したいけど、店を閉めるわけにはいかない。誰か後を継いでくれる人はいないか?など、そんな話をつないで過疎化を食い止めるということなんですね。
by carotte (2011-11-14 09:36) 

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