教会の鐘の音は騒音? [地方の小さなできごと]
フランス北東部モーゼル県の小さな村サント=リュフィンヌ(Sainte-Ruffine)では、村の教会の鐘をめぐって、住民のある夫婦が村を相手に訴訟を起こしました。
問題は、一日中鳴り響く鐘の音。昼間はもちろんのこと夜間も時間を知らせるために鳴り響きます。
夫婦は、夜8時〜朝7時までの間は鐘を鳴らさないこと、さらに損害賠償として70,000ユーロ(約750万円)の支払を求めて訴訟を起こしました。
そこでフランスのTV局TF1の取材班は村へと出かけて行きました。教会の鐘とはどんな音なんでしょう?
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年11月16日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
さっそく教会の鐘が聞こえてきました。どこにもある普通の音です。
600人ほどの村の住民のほとんどは、教会の鐘が鳴ることに反対していない様子。
訴訟の話を聞いて驚いている住民もいます。
「えっ、冗談でしょ。ほんとですか?」
村長のジャン=クロードさんは、夫婦は少しやり過ぎだと考えています。
「彼らはもう35年ほど前からここに住んでます。司祭の住まいだった家を購入して住んでるんですよ。当然、教会の近くです。そして、教会には鐘楼があり、鐘楼の中には鐘があることくらい最初から分かっていたはずです」
とは言っても、村は鐘を鳴らす回数を減らすなどの対策を講じてきました。
以前は、長い針が15分をさすと1回、30分で2回、45分で3回、ちょうどの時間に4回+その時刻分だけ(つまり5時なら5回) x 2回鳴らしていたそうです。
いくらなんでもこれはちと多すぎましたね。
鐘の音を目安に生活のリズムを刻んでいる村人たちは、たとえ夜でも鐘が鳴らなくなったら困ると言っていました。
さらに、夜鳴る教会の鐘の音は、静まり返った真夜中に目が覚めてしまう孤独なお年寄りたちにとっては安らぎの音になっているとか。
今回訴訟を起こした夫婦は、以前、ストラスブールの裁判所に訴えたことがありましたが、その時は棄却されてしまったそうです。
しかし、関係者の話によると、今回は夫婦の要求が認められる可能性が高いとか。
決定は3週間以内に出されるそうです。それまではこれまでと同様に鐘は鳴らし続けられるそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、隣人がやって来て、うちから“アザラシがうめているようなうるさい音”が聞こえるるので今すぐ止めて欲しいと言って来た。僕はテレビを見て笑っていただけなのに」
VDM (Vie de merde)より
ある人にとって快音でも、ある人にとっては騒音であることがよくあります。それにしても、教会に刃向かうとは大した人物ですね。(世界は広いねえ。)
by t-toshi (2011-11-18 19:44)
ヨーロッパの街で宿泊すると聞こえる教会の音。
いいなぁ〜♬と思うのですが、突然聞こえ始める音に
><;ビックリ!!って時もあります。
それにしても訴訟とは…相手が相手だけに…なんだか罰があたりそうです。
by orange (2011-11-18 23:53)
t-toshiさん、おはようございます。
騒音問題はなかなか難しいですね。それに一度気になるとさらに気になって増幅していきます。この夫婦、35年間すんでるうちに爆発しちゃったんでしょうね。^^;
by carotte (2011-11-19 09:16)
orangeさん、おはようございます。
教会の鐘の音を聞いて、ヨーロッパに来たんだなと自覚することがよくありますね。あの音はよく聞いてみると、かなりの音です。教会とは言え、自治体の方に行政権があるので、判決が下ってしまっては従うしかなさそうですね。神様がどうお思いになるか......。
by carotte (2011-11-19 09:23)
村長さんの言うことに理があると思います。別なところに住む自由は保障されているわけなので、訴えは少数者の権利保護とは言い難く、むしろ権利の濫用に近いような・・・。
by opas10 (2011-11-20 15:30)
opas10さん
これがまた意見の分かれるところなんですよね。最初の訴えをしりぞけた裁判所もそのあたりに根拠をおいたのかもしれません。今度は、訴訟を起こした側は、音の大きさまで計って限度を超えていると言っているようなんです。どんな判決が下されるのか.....。
by carotte (2011-11-20 22:09)