売りに出された異例の物件 その2 〜森の中のお城〜 [ポワトゥー=シャラント地方]
シリーズの二つ目の物件は、15世紀に建てられたというお城。
フランス西部ヴィエンヌ県の、人口600人ほどの小さな村アンティニーに、そのお城はあります。(下記地図の赤印)
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下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年11月15日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
県庁所在地のポワティエから50キロほどの森の中。
おとぎ話に登場しそうなお城、ボワモラン城(Château de Boismorand)が見えてきます。
このお城を手に入れるためには、500万ユーロ(約5.3億円ほど)が必要です。
司会のペルノー氏は高くないと言っていました。
お城の中はどのようになっているのでしょう?管理人のフィリップさんが案内してくれます。
まずは礼拝堂から。
ここは手つかずに保存されてきました。壁には、キリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘まで歩いた様子を描いた「十字架への道」や、「最後の審判」のフレスコ画があります。国の文化財です。
そして天井の奥に、人間らしきおかしな顔がのぞいています。
実は、お城の使用人たちがここで懺悔するのを城主が天井裏で聞いていたのだとか。顔はそのカモフラージュ。
いくらなんでも懺悔を盗み聞きするとは罰当たりな城主です。最後の審判で地獄へ行かされたかも。
お城の建築は13世紀頃に始まり、14世紀、15世紀、19世紀に増築され、最も大きく変化したのが19世紀に手が加えられた時でした。
増築で備えられたのが、17世紀のステンドグラス、巨大な暖炉、ネオ・ゴシック様式の天井です。
部屋は全部で20室ほど。どの部屋もきちんと手入れが行き届いる様子。
問題は階段。100段ほどの階段を上り下りしなくてはなりません。
「エレベーターがあれば楽なんですけどね」とフィリップさんもおっしゃっていました。
このような大きなお城の買手を見つけるのが難しいのは、維持管理が大きな負担となり、一歩踏み出す気力をそいでしまう恐れがあるからです。
建物自体だけでなく、中の装飾品などのメンテナンスには特別な技術も必要になりますから、誰でもいいと言うわけには行きません。
城の外には美しい幾何学模様のフランス式庭園があります。庭の手入れには2人が当たっています。
「このような建造物のオーナーになろうという皆さんは、たいていフランスの歴史や遺跡に強い愛着のある方々が多いです」と不動産会社の担当者。
歴史的にも文化的にも大切な財産とは言え、500万ユーロのお城は小さな村には手が出ない買い物。
しっかり城を守ってくれる新しい城主が早く現れることを、村の住人である動物たちも待っているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、引っ越してからずっと郵便受けの鍵を受け取っていなかったので不動産屋に問い合わせた。すると書類を調べたあげく、担当者が落ち着き払った声で言った。『お客さま、鍵は昨日お宅あて郵送致しました』」
VDM (Vie de merde)より
こんなお城が売りにでているなんて、すごい。
買います... お金があれば...
そのうち、ドイツ人に買われてしまいそうですね。
by 島酔潜人 (2011-11-22 18:45)
島酔潜人さん
今、いちばん安定してお金があるのはドイツ人でしょうかね?
階段を上下しながら20部屋を日替わりで使えばフィットネスにもなりそうです。^^¥
by carotte (2011-11-22 22:38)
お城というと歴史の上の建築物として鑑賞したり、物語の中で想像したりといった私にとっては遠い存在でしかないので、こうして売りに出されているという視点で見るのは興味深かったです。素敵な外観だしお庭も素晴らしいけど、住んだらあの螺旋階段が大変そうとか、価値があるフレスコ画だろうけど、あの顔はいやだな・・とか、絶対に買えないけど・・・!考えるのはただですものね。この城にふさわしい買い手が現れますよう祈っています。
by yuzuhane (2011-11-23 22:34)
yuzuhaneさん
よくお城が売りに出されているという話は聞きますが、具体的にどうなっているのかなと思ってました。こうやって具体的に見せてもらうと実態がなんとなく分かってきますね。でも、古いお城となると、なんとなく歴史の重さに押しつぶされそうな気もします。昔の亡霊が現れそうな感じもして、私などはちょっとゆっくりくつろげないかもしれません ^^;
by carotte (2011-11-24 20:56)
お城が売りに出されるって、日本ではちょっと想像がつかないですね。今の欧州の経済状況では、某隣国の金満家たち買われちゃうかもしれないです。それできちんと保存されるならそれでもいいのですが・・・。(バブルの時代にロックフェラーセンターを買われたアメリカ人もこうした屈折した思いを抱いていたのでようか)
by opas10 (2011-11-27 11:28)
opas10さん
「某隣国の金満家たち」については今回のTF1の番組ではあまり登場してこなかったのですよ。出て来てもよさそうなもんなんですけどね。バブルの頃は極東の島国の金満家たちがフランスであちこちお城を買ってヒンシュクをかってたこともありましたっけ。^^;
by carotte (2011-11-27 21:33)