メイド・イン・フランス その１ 〜メガネ〜 [メイド・イン・フランス]
製造業の多くが海外に生産の拠点を求めて自国を離れて行く中、フランス国内でがんばっている中小製造業について４回のシリーズで紹介します。
第一回目の今日は、メガネ。
フランスのメガネ生産の中心地と言えばジュラ県のMorez（モレ）。
この一帯は、かつて大型の置き時計の生産で知られていました。
18世紀末、ピンの製造工場を開いていた男が、針金でメガネを作ることを思いついたのがきっかけになり、メガネの生産地として知られるようになります。
1993年には、世界のメガネ生産の5%にもなる900万個のメガネを、2010年には1000万個のメガネを生産したそうです。
本日訪ねるメガネメーカーOxibisは、お隣の村モルビエ（Morbier）にあります。
人口は2,500人にも満たない小さな村です。
以前、「ローカル線の小さな旅シリーズ」で紹介した高架橋列車“つばめライン”が通る地域でもあります。（以前の記事は→こちら）（ジェットコースターのような楽しい列車です）
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。（フランスのTV局TF1で2012年1月16日に放送）(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら）
Oxibisは、20年ほど前に、二人の若い企業家ダニエルさんとジェロームさんによって立ち上げられました。二人ともジュラ県の出身。
なんと出荷用の箱の中には中国に向けて送られるものもあるとか。年間生産量は60万個。
「会社を立ち上げるには、代々伝えられて来た確かな技術のある場所がいいと思いました。ここから20キロ圏内にその技術を持った下請業者が集まっています」とダニエルさん。
当時は多くのメーカーが生産の拠点を別に移していた時期だっただけに、下請にとってOxibisは希望の光りでした。
番組に登場した下請会社NAJAは受注の40%がOxibisからのものだそうです。
「会社の経営は順調ですし、雇用も確保できます」とNAJAの社長さん。
約30軒ほどの下請がOxibisのおかげで製造を続けているそうです。
下請の納品した部品はOxibisで組み立てられます。
ここでは一年間に３種類のコレクションを発表しています。
どの場合も、市場調査を行い、デザインについて十分話し合って決定されます。
なかなかおしゃれなデザインですが、アジアで生産されるメガネより30%ほど高め。
にもかかわらず、年間売上は4,000万ユーロ（約40億円）にもなるそうです。
＊＊＊＊＊＊＊＊ フランス人のつぶやき ＊＊＊＊＊＊＊
「今日、事務所でまじめに仕事をしている風を装って、Facebookを見ていたら、上司がやって来て言った。『君のメガネにFacebookのロゴが映っていたのが見えたけどねえ〜』」
VDM (Vie de merde)より
メガネって日本の場合も含めてどう生産されるかよく知らなかったのですが、下請業者がいて分業になっていること、その数がここでは30に及ぶことが意外な驚きでした。ここのメガネは掛け金の部分に形や色の工夫が多く見られましたね。お話されていたスキンヘッドの方の眼鏡もオシャレでした。
by yuzuhane (2012-02-01 08:16)
yuzuhaneさん
私も今回の番組を見て下請業者がわりに多いということを知りました。メガネは専門的な技術で出来た部品の集まりだったんですね。デザインが大きな役割を果たすとなると、使う材料も多種多様になりそうです。最近、TF1の番組に出て来る人たちのメガネに面白いデザインのものが多くて気になってます。^^
by carotte (2012-02-01 09:00)
carotte さん、Oxibis のホームページに載っている海外販売代理店のページを見ました。１６ヶ国に代理店がありますが、日本には代理店がないようですね。日本国内の輸入メガネフレームを扱っているメガネ専門店チェーンのサイトもいくつかチェックしてみましたが、made in France のフレームを扱っているところはありますが、Oxbis ではありませんでした （Oxbis ブランド以外で販売しているかもしれませんが）。
by wattana (2012-02-04 08:30)
wattanaさん
日本はまだのようです。楽天でも出てきませんでした。日本は有名ブランドの商標のついたメガネの方が人気かもしれませんが、そのうちOxibisも出てくるんじゃないでしょうか？
by carotte (2012-02-04 14:34)
メガネは、人の体に装着する精密加工なので、かなり特殊な技術が必要みたいです。日本でも、福井県の鯖江界隈が一大集積地帯となっていて、それ以外の地域にはほとんど存在していないようです。そして、デザイン部門との打ち合わせ風景を強調するためなのか、わざとMacが写るようなアングルで撮っていました(笑)。
by opas10 (2012-02-05 17:36)
opas10さん
やはり専門的な技術なくしてメガネを作るのは難しいんですね。ネジ一つとっても小さくてデリケートに出来ますね。
さすがに小さい会社だけあって、企画会議も３人というこじんまりしたものでした。Macは結構フランスで見かけることが多いです。デザインの会議にはふさわしいツールだったかもしれません。^^
by carotte (2012-02-05 21:34)