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続・暖炉をめぐる旅 その2 〜マルイニエール〜 [ブルターニュ地方]

 シリーズの二回目は、マルイニエールと呼ばれる邸宅に備えられた暖炉。

 

 マルイニエールとは、17世紀から18世紀にかけて、海で活躍していたアルマトールと呼ばれる人々の別邸だった建物のことを言います。

 

 そして、アルマトール(Armateur)は、自分の船を艤装したことからこのような呼び名がつけられました。船の種類は、商船、私掠船、漁船と様々だったそうです。

 

 この辺りの海は英仏西、さらには北からのバイキングも加わって、激しい戦いが繰り広げられた場所。武装は当たり前だったのかもしれません。

 

 マルイニエールは、私掠船の街として知られるブルターニュ地方サン=マロ周辺に建てられ、その数112軒。今日はそのうちの2つを訪ねます。

 

Paris_StCoulomStMeloir.jpg


より大きな地図で マルイニエール を表示
 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年1月31日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら


 

 まずは、サン=クロンにあるマルイニエールChâteau de la Motte-Jeanから。

 

 ここは私掠船のアルマトールの邸宅でした。

 

 オーナーの息子さんのベルティエさんの話によると、サン=マロを港に活躍していた海の男たちが陸に上がってくつろいだのがここだったそうです。

 

 そのせいか、サン=マロから少し奥まったところに建っています。

 

 当時は、勝利を祝う宴会や接待用に使われていたそうで、客が来ることを想定して各部屋に暖炉が設置できるように作られていたそうです。

 

 クラシックな内装の建物には、煙突が2つあり、暖炉は全部で8つあります。

 

 台所の暖炉が一番大きいそうです。

 

 外からの眺めはちょっとしたホテルのようにも見えます。

 

 

 さて、もう一つのマルイニエールは、サン=クロンから5〜6キロ南に下ったサン=メロワール=デ=ゾンドにあります。

 

 ここでは、オーナー夫妻が暮らしています。

 

 夏休みの時期には、林間学校のような騒ぎになるそうですが、冬の間はやってくる人もなく、ひっそりと静まり返っています。

 

 静かでのんびりとした老後の生活。このくらいの年になると退屈はしないんでしょうね。

 

 ここにも8つの暖炉があるそうです。大広間の暖炉は大理石、その他は年輪を重ねた古い木で出来ているそうです。

 

 一番よく使われるのが台所の暖炉。花崗岩で出来ています。

 

 このマルイニエールは珍しく海に面して作られています。

 

 そして、霧がなければモン=サン=ミッシェルの姿を見ることができるそうです。

 

 これだけの別邸がこの周辺に100以上も建っているとなると、アルマトールはかなりの財産家だったようです。

 

 

 

<******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、7歳に息子に、一緒に遊んでくれないなら、ママが老人ホームに入っても面会に行かないと言われてしまった」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 10

【激ナイス!】この記事ホンマモン

とても勉強になります!
こんなボリュームあるお話を
読ませていただいてありがとうございました。

あと
寒い時期なので、
暖炉の話で気分が温まりました^^
by 【激ナイス!】この記事ホンマモン (2012-02-08 10:27) 

t-toshi

私掠船なる言葉を初めて目にしました。そういえば、戦争状態になった時に商船を攻撃するのは、公認だった訳です。▽昔のこととはいえ、それで栄えた街があったとは・・・。ちょいと考えさせられます。
by t-toshi (2012-02-08 10:55) 

yuzuhane

各部屋に暖炉が備え付けられていて、ホテルのような作りですが、これが、マルイニエールというものなんですね。なるほど、祝いのためとかににこの規模なんですね。モンサンミッシェルが見渡せる場所にある建物もいいですね。でもおっしゃるようにかなりの資産家なんでしょうね。(…さっきは文字入力ができなくてパソコンが壊れたかと思いました。治ったのでまたお邪魔しました。)
by yuzuhane (2012-02-08 20:25) 

carotte

【激ナイス!】この記事ホンマモンさん(すごいネームですね ^^)
フランスのTV局TF1がネット上で公開している番組を見ているうちに面白くなって、少し自分で調べたことなど足して紹介しています。楽しんでいただけると嬉しいです。

by carotte (2012-02-08 20:34) 

carotte

t-toshiさん
私も以前サン=マロについて記事にした時に初めて知りました。言わば、戦争請負人ですね。現代にも似た職業の人がいます。確か、エリザベス一世がスペインの無敵艦隊を破ったときも、この私掠船をうまく使って勝利に結びつけたと思います。
by carotte (2012-02-08 20:39) 

carotte

yuzuhaneさん
この時代のアルマトールは相当羽振りが良かったはずですね〜。
2つ目のマルイニエールはわざわざモン=サン=ミッシェルが見えるようなところに建てたんでしょうかね。
by carotte (2012-02-08 20:49) 

wattana

carotte さん、1軒目のマルイニエール、Château de la Motte-Jean のウェブサイトを見ました。フランス語だけなのでよくわかりませんでしたが、ここは (有料または無料?)、見学できるようになっているのでしょうか?
by wattana (2012-02-11 09:14) 

carotte

wattanaさん
サイトのトップに宿泊や研修場として利用できるようなことが書いてありますから、ここは宿泊施設として営業しているふしがあります。ただし、サイトにはそれ以上の詳しいことは書かれてありません。
このあたり一帯にあるマルイニエールは、年に一回だけ(確か“文化財の日”の期間だと思うのですが)一般公開されるとどこかのサイトに出ていました。
by carotte (2012-02-11 18:19) 

opas10

私掠船のようなもの、今も存在していると思います。海上でなく市場で、ヘッジファンドという名前で。
by opas10 (2012-02-12 13:13) 

carotte

opas10さん
そっち方面から来ましたか!
富の奪い合いで日々戦いということでしょうか?
by carotte (2012-02-13 22:16) 

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