ミディ運河のプラタナス [ミディ運河]
世界遺産のミディ運河。
フランス南部のトゥルーズから地中海までをつなぐこの運河に寄り添うようにプラタナスの並木道が続いています。
クルーズやサイクリングを楽しむ人たちに心地よい木陰を作ってくれていました。
しかし、2006年ころ、数百本のプラタナスが有害なキノコの菌に感染していることが判明。
このままでは感染は拡大するばかり。それを阻止する最良の方法は、残念ながら、一刻も早く木を伐採してしまうこと。
その作業がいよいよはじまりました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年2月22日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
最初の一本が切り倒されました。
樹齢100年を超える木の伐採に、運河の利用者や近隣の人々は心を痛めています。
「プラタナスのない運河なんて絵にならないですよ」と長年運河でボートを走らせて来たイヤニクさん。
「アーチ型の緑の天蓋を作ってくれていたプラタナスは、ミディ運河のエンブレムみたいなものですからね」と近隣に住む男性。
しかし、この菌に一度感染してしまうと治療は不可能。感染を止めるためには伐採しかありません。
今回は二ヶ月間で240本のプラタナスが伐採されます。最終的には、10年かけて42,000本のすべてのプラタナスが伐採されるそうです。
「残念ではありますが、専門家が科学的に検討した上での結論です。菌の感染が早かったようです」と広報担当者。
「ちょっと残念ですね。大きくて美しい木でしたから。風景も変わってしまいます」
「ずっとここに生えてる木です。樹齢100年以上はあると思いますよ」
プラタナスの並木道のない運河は、少々寂しいものになりそうです。
そして、環境的にも経済的にも大きな損失です。
目下、新しい木を植えるための資金調達が議論になっています。
これまでの姿を取り戻すためには、2億ユーロの資金と、時間をかけて木を育てるための忍耐が必要です。
次回は、TF1の過去の映像から、この運河を特集したシリーズを紹介する予定です。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、運河沿いに駐車している車の列に沿って歩いていると、ころびそうになり、慌てて一台の車のドアをつかんだ。ドアはきちんとしめられていなかったらしく、驚いた運転手が、倒れ込む私を尻目に、猛然と発進して行った」
VDM (Vie de merde)より
この辺りの街道沿いにはプラタナスがけっこう植えられていますね。
ゴッホの描いた糸杉のようなものが植えられているところもありますが、
プラタナスの大木が並ぶ風景は印象的でした。
全部伐採とはまた思い切った対処方法ですね。世界遺産登録は、景観が少しでも変わると取り消しになってしまいますが、このプタラタナスの並木の伐採は影響しなかったのですか。
by orange (2012-03-02 08:32)
orangeさん
長髪だった人が丸坊主になるみたいな衝撃です。でも、救う道が他になかったようなので致し方ありませんね。世界遺産の指定はどうなるんだろうと私も思ったのですが、ニュースではそのことには触れていませんでした。プラタナスは飾りみたいなもので、運河自体に価値があるのかもしれません。
by carotte (2012-03-02 10:25)
10かけて42,000本ものプラタナスが切倒されるのですか。どうも、こういう方法は乱暴すぎるように思われるのですが。現在は分からないかもしれませんが、治療方法はきっとあります。出来るだけ早期のうちに、有害な菌の駆除方法が見つけかることを願います。
by アヨアン・イゴカー (2012-03-03 18:45)
アヨアン・イゴカーさん
全部切り倒すなんてそりゃないよと思ってしまいますね。しかも、樹齢が100年を超えてるとなると残念でなりません。10年の間に治療法が見つかることを願うばかりまです。何本でもいいから、助けたいですね。
by carotte (2012-03-04 10:01)
42,000本の伐採ですか、景色が全く変わってしまうので衝撃が大きいでしょうね。高い木を途中から伐採する面白い機械があるのには驚きました。
by opas10 (2012-03-04 16:37)
opas10さん
機械のことはぜんぜん目に入っていませんでした!
もう一度見てみたら、ほんとすごいですね。木の伐採専用に見えますね。上でロボットの手みたいなのがしっかり木を固定して、下からチェーンソーみたいなのがざざっと出て来て木を切ってました。考えてみると、人間がチェーンソー持って何百本も切り倒すのは大変です。後の処理もかなり手間がかかりますよね。
by carotte (2012-03-04 21:39)