運河を巡る旅 その3 〜ミディ運河ステップ1〜 [ミディ運河]
いよいよ今日からミディ運河の旅が始まります。
始まると言っても、トゥルーズはミディ運河の終点。
運河は地中海からトゥルーズに向かって流れ、その後、ガロンヌ運河を通って大西洋に抜けるシステムになっています。
今回は、この流れとは逆に旅しています。
シリーズの三回目は、トゥルーズ(赤いピン)からカステルノダリ(紫の点)までです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2010年8月18日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
トゥルーズには、ミディ運河の生みの親であるピエール=ポール・リケの銅像があります。
リケは、当時、塩に課せられた税金を徴収する徴税使でした。
そんな人に運河の設計ができるのか?と疑問になりますが、運河を作る際に大きな問題となるのが水。どこからどうやって水を調達すればいいのか?
このあたりの地理に明るかったリケは、その問題をうまく解決できる案を思いついたようです。
1662年に提案されたリケの計画は様々な検証の結果、当時のフランス国王ルイ14世に採用され、1666年に工事が始まります。
完成し船舶の通行が開始されたのが1681年。リケは完成を待たずしてその直前の1680年になくなってしまいます。二人の息子が後を引き継いで1年後に完成させました。
「当時、これだけのものを作るとなると、それだけの頭と道具が必要だったでしょう」と男性。
「リケは、運河を作るために私財を投じたと聞いています。一生をこの運河に捧げ、孤軍奮闘した人でした」と女性サイクリスト。
確かにリケは、国家プロジェクトとなった運河の建設資金の1割強を負担したようです。
完成した暁には運河の通行料をもらえることになっていたとは言え、それなりの思い入れがなければそこまではやれそうもありません。
因に、リケの父親はやり手の実業家だったらしく、リケに多額の財産を残していたそうです。
不屈の精神でミディ運河を完成へと導いたリケへのオマージュとして、パリの地下鉄7号線にはリケ(Riquet)という名前の駅があります(パリ19区)。
現在の運河は輸送路としての役割を終え、もっぱら観光や休息の場として利用されるようになりました。
運河沿いの集落にはひまわり畑やこの地方独特のレンガ作りの教会があります。
プラタナスの並木が木陰を作ってくれるので、夏でも心地よくサイクリングを楽しむことができます。
中には、クルージングとサイクリングの両方を楽しむ人たちもいます。こういう人たちは年々増加しているそうです。
カステルノダリの手前15キロほどのところにあるPort-Lauraguais (ポール=ロラゲ)(上記地図の錨のマーク)には、ミディ運河の博物館があり、その歴史や仕組みを知ることができます。
たくさんの子供たちが見学に来ていたようです。
自然の中でのサイクリングの楽しみの一つが休憩を兼ねた食事の時間。お腹が減っては先へ進めません。
お食事処にもリケの名前が使われていました。
ポール=ロラゲから小高い丘にある村モンフェラン(Montferrand)(上記地図の木のマーク)に上がれば高いところから運河を眺めることができます。
このあたりはSeuil de Naurouzeと言われ、ミディ運河の標高が一番高い場所。192メートルあります。
赤いシャツの男性が説明してくれた通り、ここは分水嶺。
大西洋からの水系と地中海からの水系の境目に当たります。
ここから10キロほど先へペダルを漕ぐとカステリノダリに到着です。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、財布がなかったので、タバコの箱に50ユーロ札をしまいこんだのだが、それをすっかりわすれてしまい、空になった箱を運河に捨ててしまった」
VDM (Vie de merde)より
こんなの見てたら、ミディ運河を旅してみたくなりました。
いいなあ!!!!
by kazenotomo (2012-03-07 13:00)
kazenotomoさん
私は絶対行きますよ〜!!!
こんな楽しい旅、映像だけではもったいない。やっぱり実際に味わってみたいです。
by carotte (2012-03-08 10:21)
ミディ運河もいいですね~、こりゃあみんなサイクリングに来るわけです。でも映像を見る限り、チャリにはちょっとつらい、結構暑い時期のようですね。そしてまた番組前に気になるCMが(笑)。ちょっと大泉洋に似た(笑)家具工房の大将、あなりセンスのよろしくない電気スタンドを投資家らしき人に売り込もうとして失敗していたのですが、あれは何のCMなのでしょう?
by opas10 (2012-03-10 20:15)
opas10さん
たぶん、日本の夏よりはましだと思うんですよ。木陰に入るとわりに涼しかったりします。でも、あのプラタナスがなくなるとなると状況がちょっと違ってきますねえ。
そのCM、このところずっと流れてます。たぶんこんな筋書きだと思うんですよ。クライアントに電気スタンドの試作品を見せたところ、そのクライアント(opas10さんが投資家らしき人と思った人物)が気に入って、当初の予定より多い数を発注してきた。それで、ちょっと嬉しいのと同時に、資金繰りはどうするんだ?みたいになったところで、銀行(確かあれはソシエテ・ジェネラル?)が融資しますよみたいなメッセージが出て来る、ということなんじゃないかなと思います。
by carotte (2012-03-10 21:45)