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水車・風車を訪ねて その4 [フランスのお宝]

 シリーズの四回目は、風力発電所に生まれ変わった風車です。


 その風車は、フランス西部の都市ナントからエルドル川を20キロほど北上した苗木園の中にあります。

Paris_Nantes.jpg


 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2009年10月17日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら



 広大な苗木園を走るのは電気トラック。


 ここではガソリンで動くトラクターも除草剤散布機も使いません。


 しばらく走っていると、そのエネルギーの元にたどり着きます。


 18世紀に建てられた風車は、今は風力発電所です。


 「年間で70,000 kWhを発電できます。だいたい15〜20所帯の暖房を賄えるくらいです。苗木園で必要な電力の70〜80%がこれでカバーできます」と園の男性。


 改修費用は250,000ユーロ(2700万円ほど)。


 かつての風車の構造をそのまま利用するという条件で、文化財基金から補助金もでました。かかった費用のほとんどがこの補助金で賄われたそうです。


 1948年頃までは、毎日2000キロの小麦粉を作っていたという風車は、今ではコンピュータ制御の近代的な発電所に生まれ変わりました。


 一見したところ昔ながらの風車にしか見えません。


 4枚の羽は、杉が素材のグルーラムと呼ばれる集成材の板に作り替えられました。


 シリーズの一回目に紹介した風車と同じベルトン方式(細い板をブラインドのように並べた羽)です。骨組みは樫。直径19メートルの円を描きながら回ります。


 対面に取り付けられた丸い小型の風車のようなものが風向を察知し、自動的に風車の向きをコントロールするようになっているそうです。


 「昔はずっとここに人がいて仕事をしていたわけですから、できるだけ人間的な姿で残していきたいです」と男性。


 遠くにはすでに電力会社が設置した風力発電の近代的な風車が見えます。苗木園の30倍もの電力を生産できるとか。


 とても敵いそうにありませんが、こちらは数で勝負。


 1850年には15,000もの風車が稼働していたといいますから、そのうちの三分の一でもここの風車と同じように改築できたとしたら、かなりの電力を生み出すことができます。


 お宝を甦らせ、風景を壊すことなく、クリーンで持続可能なエネルギーを生み出す施設に作り替えることができるとなると、限りなく魅力的な方法のような気がしてきます。


 

******** フランス人のつぶやき *******



「今日、私は独身です。そして、異性と付き合っても一ヶ月と持ったことがありません。あるパーティで、テレビ画面に“持続可能な関係こそが人生を変える”という貯蓄銀行のCMが流れると、仲間が一斉に私の方を振り向いた」


VDM (Vie de merde)より



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コメント 8

orange

外見に似合わずかなりハイテクな風車ですね。
この程度の施設で70〜80%の需要をカバーできるのですね。
苗木園ですからそれほどたくさんの電力消費をしないにしても、です。
少しずつ…を重ねるとかなりの代替エネルギーの活用ができるように思います。考え方次第ですね。
by orange (2012-05-26 08:50) 

carotte

orangeさん
外から見ただけでは、中がこんなしかけになっているとは気がつかないですね。改造費用もおもったほど高くない気がします。分散型の発電も悪くないですね。
by carotte (2012-05-27 08:02) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
苗木園 (Pépinières du Val d'Erdre )のホームページを見ました。フランス語版しかないので理解はできませんが、会社概要の風車のページを見ると、放映から2年半以上経つ今も風車で自家発電を行っているようですね。TF1 の映像、地図を見ると、この苗木園のあるSaint-Mars-du-Désert 辺りには、ため池、用水路 (運河?)が多いようですね。
by wattana (2012-05-27 09:23) 

opas10

既存の風車というインフラがあるのであれば、新規に大型の風力発電用風車を建てるよりも、こうやって内部を改造して再利用する方が安上がりだし、まさにエコですね。日本も昔のように水車小屋を復活させて発電してもいいような気がします。
by opas10 (2012-05-27 18:10) 

yuzuhane

昔の形を温存して、なおかつ、ハイテクに利用する。素晴らしいですね。日本の電力も今後何とかしないともうどうにもならないですよね。すべてをこれでは賄えないとしても、この例のようにいろいろな方向でしっかり考えて工夫していってほしいですね。
by yuzuhane (2012-05-27 22:07) 

carotte

wattanaさん、こんばんは。
このあたりは川の流れもあちこち枝分かれしていて、川幅もせまくなっているようですね。こういう商売なのでクリーンなエネルギーを使っているというのは大きなアピールになるんじゃないでしょうか?
by carotte (2012-05-27 23:23) 

carotte

opas10さん
昔、15,000も風車があったというのがすごいなと思ってしまいました。どうも先例があるらしく、今回で2つ目ということなので、プロジェクトで動いているみたいです。日本の水車小屋もあちこちで動いて発電したら面白いですね。
by carotte (2012-05-27 23:28) 

carotte

yuzuhaneさん
一石二鳥をねらって、それがうまく行っているケースかもしれません。15〜20所帯の一冬分の暖房をカバーできるくらいですからバカにできないですね。近代的な風力発電は田舎の風景には異様に写りますが、これなら普通にみえます。
by carotte (2012-05-27 23:32) 

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