パリ最古の薬局 [パリ]
パリで最古の薬局Pharmacie Lhopitallierが、その歴史に終止符を打つことになりました。
その店は、数々の偉人たちが静かに眠るパンテオンの正面にあります。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月23日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
この薬局が出来たのは1749年。フランス革命の40年も前のことでした。当初は別の場所にあったそうです。
1892年にロピタリエ家(Lhopitallier)が経営するようになってから、ここに引っ越してきました。
三代目のロジェさんは今年76才。
ロジェさんが父親からお店を引き継いで5年後の1977年には、パリで最も美しい店構えとして賞に輝きました。
やや重々しい雰囲気のお店に入ってみると、現代のドラッグストアとはだいぶ様子が違っています。
樫の木で出来た調度品は昔のまま使われ続けてきました。
そして、棚の上にはたくさんの空のビン。昔使われていたものが飾られています。
そして、お会計で使われていたのが100年もののレジスター。
しっかり動いてます。通貨がフランのままになっていたのが気になりますが……。
お宝がいっぱいつまったこの薬局。閉店した後はどうなってしまうのでしょう???
と心配していると、ちゃんと次の手は考えてありました。
カルナヴァレ博物館(パリ3区)に収蔵されることになっているそうです。
専門の業者が解体・運搬し、博物館で展示できるように組み立て直すそうです。
でも閉店と聞かされたお客さんの方は複雑です。
「お店が閉まってしまうなんて変な気分ですよ。もうこんな特別な雰囲気の薬局をみられなくなるということですからね」
「他の薬局は、なんというか、人工的で冷たい感じだねえ。ワシはあんなとこには行きたくない。ここは温かくていいよ」
そうは言っても閉店はすでに決まってしまいました。後を継いでくれる人がいなかったのでしょうね。
「お客さんが来てくれて、話をするのが楽しかったですねえ。もちろん、この仕事は好きでしたよ」とロジェさん。
ゲストブックにはお客さまからのメッセージがたくさん残されていました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、僕は薬剤師です。元カノがしつこくウチの薬局にやってきて、『出来るだけ大きいのを』と言って、毎週コ○○ームを買って行きます」
VDM (Vie de merde)より
ほんとレジスターも棚も瓶も引き出しも、調剤道具もみな古びた味わいがありますね。これが博物館に残ることになってよかったです。こうした歴史ある店がまだほかにもパリには点在してるんでしょうね。なくならないうちに外見だけでも写真撮りに訪れてみたいなと思いました。
by yuzuhane (2012-05-28 16:05)
yuzuhaneさん
こんな薬局がパンテオンのすぐ近くにあるとはぜんぜん知りませんでした。他にも昔の店舗をそのまま再現したお店はありそうですね。ここがなくなってしまうのはちょっと残念です。しばらくするとこの薬局が博物館に再現されているんでしょうね。
by carotte (2012-05-29 08:47)
店構えと言い、調度品といい、ホントウにお宝がそろっていますね。現役で使われ続けるtのが一番よいのですが、フランスでも個人経営の店は後継者難なのでしょうか。
by opas10 (2012-06-02 14:54)
opas10さん
なんらかの理由で四代目がいなかったんでしょうね。子供がいなかったとか、薬屋を継ぐのはイヤだとか。なんだかもったいない感じがします。
by carotte (2012-06-02 21:38)