ブルターニュの島のグルメ その1 [フランスの郷土料理]
今日から、ブルターニュ地方の島で腕を振るうシェフのグルメを5回シリーズで紹介します。
第一回目の今日は、大西洋に突き出た半島からこぼれ落ちたような島ウェサン島(île d'Ouessant)にあるHôtel La Duchesse Anne(下記地図の青印)のレストランを訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年7月2日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
ル・コンケ(Le Conquet)の港から直行便のフェリーなら1時間足らずで、蟹のハサミのような形をしたウェサン島に到着します。
海岸には荒々しい自然の風景が広がります。
「大陸から離れて、自然の風景を眺めながら暮らしているとストレスなんてなくなりますよ。そして、天候はめまぐるしく変わります。一日の間に四季があると言われるほどです」とおっしゃるのが、今日のシェフ、バンジャマンさんです。
厳しい気候のせいか、島に大きな木はほとんどありません。
バンジャマンさんが土を掘り起こしていますが、この泥のついた草は乾燥させて料理をする時に使うそうです。
作ってくれる料理は子羊の煮込み(ragoût d'agneau)。
数世紀前からフランスにある料理です。
火にかけた鍋で子羊の肉を炒めます。
そこに、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモを加えたら、フタをして2〜3分放置。
煮汁が沸騰したら鍋を火から下ろします。
ここで、乾燥させた泥付きの草に火をつけ、さきほど火から下ろした鍋の上にのせます。
こうしておくとじわじわ火が通って行くそうです。
一日中、仕事で忙しくしていた島の女性たちが、効率的に時間を使うために発明した料理法だそうです。
肉料理だけでなく、魚料理やデザート作りにもこの方法が使われました。
こうして4〜5時間たってできあがったのが子羊の煮込み。
フランスにも鍋奉行がいるようです。
こうやって一つのお鍋を分け合えば、大勢の食事もまた楽しです。
「口の中でとろけて本当に美味しいですよ」
「ええ、ヴォリュームたっぶりのごちそうです。食後には歩かないとねえ」
海の幸の料理もあります。エビに帆立。
シュクルートにはハムやソーセージの代わりに貝やカニなどの海の幸が入っています。
さらにスズキとブルターニュ産アンドゥイユを組み合わせた一皿もあります。
アンドゥイユとは、豚の腸や胃袋を腸詰めにし、薫製にしたソーセージのような食べ物。
魚とアンドゥイユの組み合わせは珍しいようですが、とても良く合って美味しいそうです。
そして最後はデザートで締め。
フレッシュイチゴのプチタルト、キャラメルソースのふわふわミルクライス。
次回は、ウェサン島から少し大陸に近いモレーヌ島(上記地図の赤印)です。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、彼とレストランで食事をした。食事が終わる頃、彼がひざまづいた。いよいよあの瞬間が来たかと思ったら、彼が言った。『靴ひもがゆるんでしまってねえ』」
VDM (Vie de merde)より
carotte さん、おはようございます。
ラグ―に使われていた子羊の肉は、映像にでてきた ‘‘羊’’ でしょうか? そうだとすると、プレ・サレと同様な子羊肉が期待できそうですね。登場した鍋、年季が入っていて、子羊のラグ―がとても旨そうに見えます。食べてみたいです。日本では最近、フランスの鍋を使った料理 (ココット料理、ル・クルーゼ料理、ストウブ料理とか呼んでいる)をウリにしているレストランが多くなってきていますが、このブームはいつまで続くのか? と思っています。
※ ~ragoût d'agneau sous les mottes~ の sous les mottes の部分はどのような意味なんでしょうか?ご教示願います。
by wattana (2012-07-07 04:26)
wattanaさん、おはようございます。
説明がなかったような気がするのではっきり分かりませんが、多分ここで育てられた子羊でしょうね。sous les mottesは文字通り、あの土のついた草の下、という意味です。あの塊のことをmotte(モットゥ)と呼んでるようです。丘という意味がありますが、こんもりと盛り上がったという概念があるようです。地名に良く出てきます。
by carotte (2012-07-07 08:58)
4〜5時間もかけてできあがった子羊の煮込み料理、心がこもって美味しそうです。
by rabbit (2012-07-07 09:33)
子羊の煮込み、美味しそうでしたね~。特に肉の味がしみ込んだ野菜が、もう、タマラなく美味しそうで・・・。そして、TF1お得意のデザート回転撮影、久しぶりに見ました(笑)
by opas10 (2012-07-07 15:24)
鍋の蓋をあけたとたんに歓声が上がって笑顔がこぼれていましたね。土がついた草を掘っていたのはああして火をつけて使うためだったんですね。なんかワイルドな調理法ですが、そこがおいしそうにも感じさせました。
by yuzuhane (2012-07-07 21:46)
rabbitさん
煮込み料理はじわじわ煮込んだ方が美味しいらしいですから、この鍋もきっと美味しいと思いますよ ^^
by carotte (2012-07-08 09:40)
opas10さん
久々の回転デザートでした。回しながらソースをかけるという定番の演出も登場しましたね。あの女性のナレーターの声も久しぶりでした。どうやら、グルメの番組専門のようです。
by carotte (2012-07-08 09:42)
yuzuhaneさん
掘り起こしているところを見て一体どうするんだろうと思っていたら、ああやって使うんですよね。土がついているから重しになって、風が吹いても飛ばされないですむらしいです。
by carotte (2012-07-08 09:45)