シエナ大聖堂の床絵 [イタリア]
9月15日と16日は、ヨーロッパ各国の遺産をアピールするための “欧州お宝デー” でした。
そのお宝の一つがイタリアのシエナ大聖堂。
一年のうち10ヶ月は保存のためにカバーがかけられているという大理石の床に描かれた絵を、フランスのTV局TF1の取材班が撮影して来てくれました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月26日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
思わず “ゴージャズ!” と言ってしまいそうな大聖堂の内部。
美しい天井や柱や壁の装飾に目が行ってしまいますが、本日のお宝は足下にあります。
大聖堂の床は56枚の大理石のパネルで構成され、その一枚一枚にみごとな絵が描かれています。
一般公開される期間は、一日で3,000人もの見学者が訪れるそうです。
なにしろ一般公開されるのは2ヶ月だけ。これを逃すと次の公開日まで10ヶ月待たなくてはなりません。
床絵に魅せられて何度も訪れるリピーターもいます。
「7年前に初めて見た時、また来ようと思ったんです。絵に魅了されてしまいました。絵を見ると鳥肌立つくらい感動します」と女性。
これらの素晴らしい絵も、一般公開されない10ヶ月間はカバーがかけられ、見ることはできません。
長年、そのままになっていた場所では、完全に絵が消えてしまったパネルもあります。
現在ではこれらのパネルの上を歩くことは禁止されています。作品の保護のためにはこの方法しかありません。
「作品を保護するため、また修復作業に邪魔が入らないようにするため、カバーをかけることになったんです。直近で行われた修復は19世紀末のことです」と美術史の専門家。
大理石は、白、茶、緑、黒、黄など、シエーナ特有のもの。
描かれた絵は、聖書や古代の物語を題材にしています。
作品の中には14世紀頃に描かれたものもあります。
どうも大理石を彫って、そこに彩色してあるようです。
当時、フィレンツェに対抗して活発だった芸術活動の産物の一つがこの大聖堂の装飾品だったとか。
床絵の中には、当時のトスカーナ地方の大家によって描かれたものもあるそうです。
「大理石を組み合わせて、そこに絵を描いたというのは、この大聖堂以外にはありません。16世紀の画家であり建築家でもあったヴァザーリは、これまでに制作されたことがない傑作だと言っています」
同じように魅了された人たちの中にはワグナーやスタンダールもいました。
これらの傑作にまたカバーがかけられるのは11月1日からだそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、シャワー中の彼氏を写真におさめたくなった。驚かせないようにそっと大理石の洗面台によじ上り、シャワーカーテンの上からカメラのピントを合わせようとした瞬間に、ガラガラガラ……。洗面台が3つの塊になって消えた」
VDM (Vie de merde)より
古えの職人の匠の業を感じます~!!
by macinu (2012-09-28 10:27)
ツアーのコースに、偶然シエーナが入っていました。帰国して暫くして映画007に、競馬シーンの背景が使われていたのをみて少々感激しました。
by t-toshi (2012-09-28 13:03)
シエナのこの大聖堂、この夏行きました。デコレーションケーキのような装飾の外観(シエナ人のガイドさん談)だけでなく,内部も豪華そのものですね。この床絵は、浮き上がるような絵が素晴らしい芸術品だと感じました。私が行った時は見ることができましたが、公開が限られていたんですね。この他、併設された図書館のフレスコ画の保存状態が良くて驚きました。カンポ広場で、バリオが開催される時期にまた行きたいものです。
by yuzuhane (2012-09-28 17:30)
素晴らしい作品ですね。床をガラスで覆うなどして守ったほうが好いのではと思います。
by アヨアン・イゴカー (2012-09-29 08:25)
macinuさん
大理石を切るにしても電動の道具はなかった時代ですから、職人さんたちの活躍がないとここまでのものはできないですね。
by carotte (2012-09-29 09:35)
t-toshiさん
シエーナには行かれたんですね。
私は "まだ”です。←いずれ行くつもり^^;
あのいろんな国でロケしたという「慰めの報酬」でしたっけ?あれに出て来ましたよね。
by carotte (2012-09-29 09:50)
yuzuhaneさん
この大聖堂も含めて豪華な建物があちこちにあるイタリアは、やっぱり繁栄してたんだなとつくづく思います。今ではユーロ危機の一端を担っちゃってが。でも、きっとどこかにお金はありそうな...。
大聖堂の床絵は一部は一年中公開されているものもあるようです。でもほとんどがカバーがかけられているそうです。私はまだ行ったことがないので、公開されている頃にぜひ行きたいと思ってしまいました。
by carotte (2012-09-29 09:56)
りんこうさん
いつもご訪問ありがとうございます。^^
by carotte (2012-09-29 09:57)
アヨアン・イゴカーさん
リピーターがいるというのがうなづけますね。どれも魅力的な作品ばかり。確かに、ガラスでおおうのは良い考えですね。修復が終わったら、ぜひそうしてもらいたいですね。そうすればもっと公開期間を長くできそうです。
by carotte (2012-09-29 09:59)
さすがシエナの大聖堂、ホントに”ゴージャス”!!インテリアにあれだけふんだんに大理石を使ったのですから、当時はとてつもなく富を蓄積していたのでしょうね。インテリア、特に柱周りでの大理石の使い方にイスラム様式の影響がみられるところが非常に面白いです。
by opas10 (2012-09-30 12:52)
opas10さん
こういう贅沢な建物をみせられると、やっぱりイタリアはすごいなと思ってしまいます。富がイタリアに集まっていたんでしょうね。天井から柱にかけてのデザインとフォルムがまたゴージャスなんですよね。どことなく異国の感じがただようのはそういうわけだったのですね。
by carotte (2012-09-30 22:17)