パレ・ロワイヤルの現代アート [パリ]
かつてルイ14世が住んだこともあるパリのパレ・ロワイヤル(Palais Royal)。パリ観光の名所の一つです。
中庭には、高さの異なる白黒のストライプ模様の柱がたくさん立っています。その数260本。
この全体が一つのアート作品です。作家はダニエル・ビュラン。
作品が完成したのは1986年のこと。制作中から完成後まで様々な批判にさらされました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2012年12月17日に放送)
ここへ来たら、柱によじ上って写真撮影するのがツーリスト。
柱の間をジョギングして行く人もいます。
今では名所になってしまったこの白黒ストライプの柱群ですが、出来た当初は非難轟々。
「こんな物作ってお金を水に捨てるようなもんです」とマダム。
「なんでこんなもの作るんだか私にはさっぱり分からないねえ」とムッシュー。
歴史的建造物の中にこんなものつくるなんてどういうことだ!みたいな感じだったんでしょう。
かつてここは駐車場でした。1985年、政府は、ここに設置する作品をダニエル・ビュランに依頼。
地上部分と地下部分の2つからなる作品Les Deux Plateauxの制作が始まると、メディアから批判の声が相次ぎます。
“こんなの好きになれますか?”
”前代未聞の文化政策”
「当時、ここにこんな作品が設置されていいものかと疑問でした」と女性。
「皆が批判してました。計画を進めていた当の文化大臣ジャック・ラングも例外じゃありませんでした。このままでは選挙で落選しかねないと心配するほどでした。制作中の現場にやってきて、あの柱は古ぼけた感じにしないと場違いだと言い、アーティストの方はとてもそんなことはできないと言ったそうです」と関係者の男性。
そして、当時のパリ市長だったシラクが条例を作り制作の中止を言い渡しました。
しかし、今度はアーティストが制作する権利を主張したため、結局、作品は仕上げることになります。
1986年夏、作品が完成し一般公開されます。
「誰も除幕式をしたがりませんでした。ジャック・ラング自身もいやがりました」
こんなに皆に嫌われていたとは知りませんでした。
「今ではこの作品が気に入ってます。建物の歴史の一部になっていますからね」と女性。
あの白黒の柱にはこんな大変な歴史があったのですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、妻と庭で雪合戦をした。するとお巡りさんがかけつけてきた。70才になる隣のおばあさんが、夫婦喧嘩と勘違いして110番に電話をかけたらしい」
VDM (Vie de merde)より
あのしましま私はいいと思います。好きな場所です。古い建物に囲まれた場所にあれが出てくるとそのギャップがすてきだと思いますが…。そんなに不人気だったとは・・・・。
by yuzuhane (2012-12-19 22:50)
yuzuhaneさん
あそこは古いものと新しいものが共存していていかにもパリらしい場所ですよね。それにシュールな感じもします。最初はこんなに大変だったのですねえ。エッフェル塔もそうだったらしですから、分からないものです。
by carotte (2012-12-20 10:50)
あの雰囲気の中にいきなり現代アートだと、いくら芸術に理解のあるフランス人でも相当面食らったのですね。いくらビックリしたとしても、政治が芸術に口出しするような無粋なマネをしちゃあダメですね。
by opas10 (2012-12-23 15:31)
opas10さん
かなりの拒否反応だったようでちょっと驚きました。でも、これがパリなのかなと思ったりします。「選挙で落選」あたりは、文化大臣でもやはり政治家の一人なんだなと感じますね。作品の作者のビュランさんががんばらなかったら今のあの風景は見られないことになります。
by carotte (2012-12-24 11:05)