今年の木 [ブルターニュ地方]
フランスの林野庁にあたる公共機関と雑誌Terre Sauvageが開催した「今年の木コンクール」。
2011年に出来たばかりのこのコンクールは、2年毎に開催され、今年でやっと2回目になります。
コンクールと言っても大げさなものではありません。
まずは候補として23本の木が選ばれ、ネット上にその写真が公開されます。
この写真を見た人たちに、今年の木にふさわしい木を選んで投票してもらいます。
その結果、得票数の多かった木が「今年の木」に決定されるというわけです。
今年、10,533票を獲得し選ばれたのはこの木でした。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2013年6月1日に放送)
古い石造りの鳩小屋の屋根に偶然生えた樫の木。
ここはブルターニュ地方の小さな村ベガール。
「この木は子供の頃から知ってますが、皆大して気にもとめていなかったね」と元管理人の方。
どうやってこんなところに樫の木が生えたのかはっきりとはしませんが、風か鳥が運んで来た種が芽を吹き、ここまで成長したと考えられています。
遠くから見ると、ちょっと愛嬌のある怪物のように見えなくもありません。
樫の木の根は、鳩小屋の壁の奥深くに伸びて、今や一つに溶け合ったかのように見えます。
「樫の木の根は、1.5メートルほどある壁の間を通り、さらに地面へと伸びています。樹齢は100年とか150年と言われていますが、専門家でも特定できていません。ちょっとした地元の謎になっています」と自然公園の責任者。
この木、地元ではすでに重要な木としての指定を受けているそうです。
今回のコンクールでは、二番手の樹齢800年〜1000年と言われるオリーブの木や、三番手の幹の周囲が14メートルというプラタナスの木を引き離して、得票を集めました。
昼間は良いとして、夜、この木のそばを通るのは、やはりちょっと怖い感じもします。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、私は消防士です。お年寄りの女性が飼っていたネコが木に登っておりてこないというので、さっそく捕まえに向かいました。木の上で追いかけごっとをして、爪で引っかかれながらもなんとか捕まえて女性に渡すと女性が言った。『あら、なんだ、ウチのネコじゃないわ』」
VDM (Vie de merde)より
ヨーロッパで、大木の美しさを知りました。
また、それに従って、木の名前も覚えてゆきました。
例えば、パリのノートルダムを見ているよりも、キャンプ場の一本のプラタナスの大木をみているほうが、心がやすまり、好きです。好きな時間の過ごし方が変わったのを知って、年とったなと思います。
田舎道を自転車で走っていて、ごつごつした枝のカシの木が、一本、原っぱの向こうに、黒く、立っていたりするのもいいですね。
屋根の上に生えたというcarotteさんの解説を読んで、ボンサイという意味がわかりました。
by cycloo (2013-06-02 10:18)
これは面白い風景ですね~。でも確かに夜にシルエットだけ見ると、怪物というか悪魔というか、何やらオドロオドロしい感じがしそうです。
by opas10 (2013-06-02 22:22)
こんなコンクールがあるんですね。この屋根に生えた木はなんだか不思議な光景ですね。どこか物語の挿絵に登場しそうな感じです。
by yuzuhane (2013-06-02 22:48)
すごい..
根によって石積みが壊れたりしないんですね。
by 島酔潜人 (2013-06-02 23:37)
すごい景観ですね。
大木は、それ自体でなんか風情があります。
そして大木を渡る風の音もなkなかいいものですよね。
by kazenotomo (2013-06-04 15:43)
cyclooさん
やはり自然の生物を眺めている方が心が休まりますね。植物は人間と違って独自のゆったりした時間の流れを持っていて、その辺りが心が休まる所以なのかもしれません。
この映像のタイトルに盆栽という言葉が出て来てるんですよねえ〜。こういう感じを盆栽というのもなんとなくうなずけますね。
by carotte (2013-06-07 00:51)
opas10さん
夜はちょっと怖いですよ〜。でも、これは面白いですね。他では見られない光景です。よくこんなところにこれだけの木が育ってくれたものです。
by carotte (2013-06-07 00:52)
yuzuhaneさん
誰かが意図的に屋根に挿し木したとか種を蒔いたとか、そんな感じに見えますよね。鳩小屋はかなり頑丈に出来ていたと見えて、屋根の木をしっかり支えてますね。
by carotte (2013-06-07 00:55)
島酔潜人さん
この光景、すごい!ってなりますね。
木が家を壊して大きくなるというより、根でしっかり固めているのかもしれません。
by carotte (2013-06-07 00:56)
kazenotomoさん
人間の作った建物と自然の生物が一体になっているのがまた感動的ですよね。しかもその造形に趣があります。
by carotte (2013-06-07 00:58)