ル・ノートルの小さな庭 [ミディ=ピレネー地方]
今年、生誕400年を迎えるアンドレ・ル・ノートル。17世紀に活躍したフランスの造園家です。
ル・ノートルが手がけた庭と言えば、ヴェルサイユ宮殿、シャンティイ城、フォンテヌブロー宮殿など、広大な庭を思い浮かべますが、こんなかわいらしい小さな庭もあったのです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年6月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
フランス南部タルヌ県のカストル(Castres)。人口4万ほどの町。
なにやら昔の決闘を再現しているようですが、片方は女性剣士。
昔はこの手の庭で一対一の決闘が行われていたそうです。
1676年にル・ノートルが設計したというこの庭は、とても決闘とは結びつかないかわいらしい庭なのでした。
刈り込まれた緑の茂みはユリの花をかたどっているそうです。上から眺めるとタピスリーかレースの模様に見えます。
「剪定は冬に行います。追加で夏にも刈り込みます。ここは1995年から歴史的建造物として文化財に指定されています」と庭の責任者。
昔の人は、迷路のような茂みの中でこんな風に決闘をしていたのでしょうか?
この緑の茂みの間には花が植えられています。毎年夏にはその年のテーマの花が植えられるそうです。
17世紀の中頃にヴェルサイユからカストルにやってきた新しい領主が、お城の建築をマンサールに、造園をル・ノートルに依頼したのがすべての始まりでした。
マンサールとル・ノートルと言えば、ベルサイユ宮殿を作ったコンビです。
庭の近くを流れているのがアグ川。
「町にあるのは庭だけじゃありませんよ。ジャン・ジョレス記念館やゴヤ美術館もあります。そして、この川沿いの風景も町のみどころです」と船長さん。
かつては職人の家だったという趣のある建物が並んでいます。
庭の魅力に引きつけられ写真を取っている方がエリックさん。
「町の人たちは、週末だけでなくウィークデーにも庭を散歩して楽しんでますよ。ここには誰でも入れますからね」
珍しい雪の日の写真も登場しました。
カストルは日本ではあまり知られていないようですが、あちこち見どころのある町のようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、夜の帳が降りた頃、隣の大型犬がうちの庭の垣根を飛び越えこちらに突進してきた。私はあわてて逃げようとしたが濡れた土に足を取られすってんころり。犬は嬉しそうにくわえていたボールを私の前に置くと、投げろとばかりにしっぽを振った」
VDM (Vie de merde)より
日本、特に禅寺の庭は、「余白」が多くて見る側がいろいろと想像力を働かせるようなつくりになっていますが、こちらのお庭は純粋に見たままを「鑑賞」するようになっていますよね。
by opas10 (2013-06-23 13:51)
opas10さん
想像力を働かせて眺めるというのとはだいぶ違ってます。ちょうど白い紙に絵を描くのと同じで、バランスのとれた配置と造形をそのまま楽しむということなんでしょうね。
by carotte (2013-06-26 10:13)