昔ながらの工場を訪ねて その2 [フランスのお宝]
今日、5月8日はヨーロッパ戦勝記念日。
第二次世界大戦で連合国がナチスドイツに勝利してから69回目の記念日を迎えます。
1945年から69年目になるんですね。
この日、フランスは祝日でお休み。9日に休暇を取れば4連休などとニュースで言っていました。
さて、昔ながらの工場シリーズの二回目は、フランス南部の町マザメ(Mazamet)にある皮なめし工場を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2014年4月29日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
川に向かって山を下りたところにあるのが皮なめし工場ユジーヌ・ドゥ・ラキエール(Usine de Laquière)です。
マザメの町はこの羊の毛と皮の産業で世界にその名を知られるようになります。
1850年代に始まったこの産業も、1990年代に始まったオフショアリングの波で、現在はいくつかの工場を残すだけとなりました。
ユジーヌ・ドゥ・ラキエールもその中の一つ。
乾燥機のようなドラムの中で羊の毛皮が回っていましたが、最初に行われるのがこの作業です。
3〜4時間ほどこの作業を続けると、毛皮がふんわりと柔らかくなるそうです。
その後の作業は大きくわけて二種類あります。
一つは、さらに皮を柔らかくして毛並みを揃えるために何度も機械に通すこと。
もう一つはその毛皮をお湯につける作業です。
そして最後の仕上げは職人さんの手作業です。
固くてぼそぼそだった羊の毛皮がふんわりと柔らかくなっていました。
ユジーヌ・ドゥ・ラキエールの工場が建てられたのは1856年のこと。トレ川の岸辺に建てられました。
当時の動力源は水車。その動力を各部署に引き込むための設備が今も残されています。
トレ川の流れは穏やかで動力源にするのに理想的だったそうです。
最盛期には同じような工場が50軒ほど川辺に建てられ数千人が働いていました。
その頃の工場の跡が今も残されています。
当時は、商店、バー、食堂などが営業していて賑やかだったそうです。
アンドレさんはその頃、工場で働いていた従業員の一人です。
毎日、5000枚ものムートンの毛皮が作られていたそうです。
原料はオーストラリア、南アメリカ、ニュージーランドから輸入されていました。
そして、ちょっときついのがムートンの毛を皮からはずす作業でした。
白黒写真でその時の様子が分かりますが、かなりの重労働のようです。
工場では皮をなめすだけではなく、こうして出来上がった革を使ってジャケットやコートを製作しています。
なかなか素敵な洋服に仕上がっていました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ウチの猫が革のソファーで爪研ぎをしたので、罰として外に放り出した。それが間違いのもと。やつは外に出たくなると必ず革のソファーで爪研ぎをするようになってしまった」
VDM (Vie de merde)より
皮をなめす作業は、重労働だし化学薬品も使うそうですので、人件費が高く環境意識の高いフランスではもう立ちゆかないのかもしれません。その分、付加価値の高いジャケットやコートの加工に、業務の比重が移って行ったのでしょうね
by opas10 (2014-05-11 16:03)
opas10さん
この会社のサイトを見ると、いろんな革製品を出しているようです。そっち方向にだいぶ力を入れているようです。革をなめす作業は、機械化が進んでる感じでしたね。最後の仕上げを人間が行うという感じでしょうか。
by carotte (2014-05-14 10:51)