モディアネスク [トピックニュース]
フランス人のノーベル文学賞受賞者は、今年のモディアノ氏で15人目になるそうです。
アンドレ・ジイド、フランソワ・モーリャック、アルベール・カミュ、ジャン=ポール・サルトル、ジャン=マリ・ル・クレジオ等々と、錚々たる皆樣方ばかり。
日本が二人だけなのを考えると、かなりの数です。
さて、日本のモディアノ・ファンの皆さま方。
昨日のFrance 2の午後8時のニュース番組に、モディアノさんが登場しました。
その時の映像をご覧下さい。あまりメディアに登場しない人ですから貴重です。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2014年10月9日に放送)
相変わらずの話し方。口べたなんですよねえ。そこがまたいいんですよねえ。
受賞の感想を聞かれてこんな風に答えています。
「驚きました。受賞するなんて予想もしてませんでしたからね。身体がまっ二つになったような気分でしたよ。突然、起こされた夢遊病者のような感じでねえ・・・・起きたとたんに何か話さなくてはならないみたいな・・・」
突然ノーベル賞もらって、ぺらぺらと雄弁に話せるわけがないですね。しかもご本人は話すのではなく書くのが本分ですから。
若い時の白黒写真が登場しました。今も素敵ですが、若い時はハンサムでしたね。
ノーベル・アカデミーがモディアノ氏のことを“現代のプルーストだ”と言ったことについて感想を聞かれたモディアノさん。
「それは嬉しいことですが、言い過ぎでしょう」と答えていました。
そして、これからもひたすら書くだけですとおっしゃっていました。
そう言えば、誰かが、プルーストがたった一冊の本で記憶の道をさかのぼったのに対し、パトリック・モディアノは、28通りの方法で、28冊の本の中で同じことをしたと書いていましたっけ。
なんだそうだったのか!それなら私にもプルーストが読めるかもしれないと思ったりもしますが、プルーストがあんなに退屈だったのに、なぜモディアノは退屈しないのかな?
いつも謎を追いかけるのですが、最後に謎を説くわけでもなく謎は謎のままで終わってしまいます。
それなのに、読み終わると、モディアネスクと呼ばれるその世界に引き込まれてしまって、また次の作品も読みたい、となります。不思議です。
棚に並んだモディアノの本を一冊ずつもう一度読んでみようかなと思ったりしています。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、私の恋人は小説家。最新作をいの一番に読ませてくれた。読んでみると、それは32ペジにも渡る別れの手紙だった」
VDM (Vie de merde)より
雄弁ではないからこそ、カリスマ性があるように感じたのは、贔屓目が過ぎるでしょうか。
by opas10 (2014-10-11 17:30)
プルーストは「ふと1ページ読む」なんていうのもけっこう気に入ってます。
カミュは今でもちょいちょい読みます。小説以外も純粋な美しさがあって・・・。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2014-10-11 18:55)
opas10さん
モディアノさんがこういうメディアに登場するたびに、人間の「話す」機能と「書く」機能は、全然別物なんだとつくづく思います。ノーベル賞はすごいですが、ご本人はあくまでもわが道を行くという感じでカリスマ性を感じますねえ。
by carotte (2014-10-11 19:34)
末尾ルコ(アルベール)さん
プルーストも一気に読もう!というのではなく、少しずつ気が向いた時に読めばいいのかもしれないですね。
by carotte (2014-10-11 19:36)