ベルギーvsフランス [トピックニュース]
フライドポテトの元祖を巡って、ベルギーとフランスの間で静かな戦いが繰り広げられているという話をしたことがありますが、今回の争いの元は、2ユーロ硬貨。
このコイン、ベルギーがワーテルローの戦いから200年を記念して作ったもの。
そしてワーテルローの戦いと言えば・・・ナポレオンが大敗した戦いです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2015年3月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
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これがその2ユーロ硬貨。表面には、「ライオンの丘」が彫られています。
「ライオンの丘」とは、ワーテルローの戦いが繰り広げられた場所に作られた記念碑のこと。
ピラミッド風の丘の上にライオンの像が置かれています。
ベルギーではすでに175,000個の硬貨が作られましたが、これを流通させることはできなくなってしまいました。
ことの発端は今年2月のこと。ベルギーは記念硬貨を出したいと、そのデザインを欧州評議会に提出します。もちろん「ライオンの丘」が描かれたデザインです。
これを見たフランスの外交官たち、硬貨の製造に異議を唱えます。
この硬貨を流通させることはヨーロッパの国々に軋轢を生み、マイナスのイメージにしかならないというわけです。
つまり、この硬貨をフランス人が使うとしたらあまりいい気はしない→ベルギーとフランスの関係がぎくしゃくする→EUの団結に影響する、ということのようです。
欧州評議会の規約によれば、EUのメンバーに好ましくない状況を生むようなデザインの硬貨は作らせないようにすることができるらしい。
ベルギーの方はこうおっしゃっています。
「ワーテルローはベルギー人にとっては勝ち負けというより記念の場所という意味合いの方が強いんですよ」
とはいうものの、あの記念碑のライオンは、英国、プロシア、オランダの連合軍が、あのナポレオンを破った!と誇らしげに鎮座しているようにも見えます。
一方、観光客の方々はこうおっしゃっていました。
「もう200年も前のことですよ。そんな過去の話でこんなことになるなんてちょっとばかばかしいですよ」
「ワーテルローの戦いと言えば近代ヨーロッパの誕生とも言える戦いです。フランス政府はベルギーに硬貨を作らせてあげればいいのにと思いますね」
2ユーロ記念硬貨の流通ができなくなったベルギーですが、今度は収集家向けに2.5ユーロの製造を計画しているそうです。
考えてみればベルギーという国が独立への一歩を踏み出したのはこのワーテルローの戦いの直後のことでした。
ナポレオンが勝っていたらベルギーの独立はなかったかもしれません。
英国の新聞テレグラフ紙の記事に引用されていたように、「フランスは少し大人になってベルギーを支援すべき」なのかもしれません。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、末の妹を連れて動物園に行った。ライオンの檻の前に来たので僕は言った。『ほら見てごらん。大きな猫ちゃんたちがいるよ』すると妹が言った。『あれは大きな猫じゃないわ。ライオンよ。おバカさんね』妹は5才」
VDM (Vie de merde)より
どこの国でも敗戦はなかなか受け入れがたい現実のようですね。200年前の敗戦ですら論争になるのですから、Aさんが70年前のことを4の5の言うのは仕方のないことなのでしょうか・・・。
by opas10 (2015-03-22 23:43)
opas10さん
ナポレオンの末路があんなだったので、フランス人も内心忸怩たるものが今なおあるのかもしれません。でも、200年後の今もこんな風に反応するというのはどうなんでしょうね。こんなことするから欧州諸国からの信頼がイマイチ得られないんですよ、フランスは。
by carotte (2015-03-29 11:40)