難民と小さな村 [イタリア]
昨日はだいぶ涼しくなって、厚手のジャケットやコートを羽織っている人の姿が目につきました。
そして、街路樹の葉っぱが色を変え、はらはらと歩道に落ちてきます。秋ですねえ〜。
さて、欧州はそんなのんびりしてる場合じゃなさそうです。
次から次へと難民が押し寄せてきて、その対応に追われています。
そんな中、難民を受け入れたイタリアの小さな村がこんな風になっていました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2015年10月21日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
Italie : Riace reprend vie grâce à l'arrivée de migrants
丘の上にできた人口2,000人足らずの小さな村リアーチェ(Riace)。
通りから聞こえてくるのはイタリア語だけではありません。
アラブ語、クルド語、ウルドゥー語(パキスタン)等々。村人の3人に1人が難民だとか。
シャキールさんはパキスタン難民。3週間前にリアーチェにやってきたばかりです。
「住まいを提供してもらい、食費まで支給してもらってます。イタリア語も無料で教えてもらえますし病院にもいくことができます」とシャキールさん。
この日手に入れた新品のアイロンを見せてくれました。
奥さんと二人で毎月600ユーロ相当の地域通貨を国から支給されています。
面白いことに地域通貨にはキング牧師の写真が印刷されています。
村でお店を開いている人にとって、難民の受け入れはありがたいことだそうです。
「我々にとっては地域経済の活性化につながりますからね。地域通貨はこの村だけでしか使えませんから、難民は皆我々の店で買い物をしてくれます」
3カ月ごとに溜まった地域通貨を役場に持って行き、ユーロに替えてもらうそうです。
なるほど、難民への補助金が村に還元されるというシステムなんですね。
難民を受け入れるようになってからリアーチェは息を吹き返しました。
ガラス細工や革細工の工房を構えながら、新しく村に住み着いた職人さんたちもいます。
「作った作品は観光客に売るんです。こういうことができるのも難民のおかげなんです」と職人さん。
難民を受け入れた当初は誰もこんなことになるとは予想もしていませんでした。
「最初は人道的な意味で難民を受け入れたんです。それがこんなに良い結果をもたらしてくれるとはねえ」と村長さん。
今となっては村人のほとんどが難民の受け入れを支持しています。
「この村の人口は減る一方だったんです。アフリカにはお礼を言わなくてはならないねえ。村の人口を増やしてくれたんだから」と村人。
中にはこんな厳しいことをいう人もいます。
「難民はタダでお金をもらって食べたり飲んだりして暮らしているよ」
リアーチェは高齢者の村でしたが、若い人がまた戻ってくるようになりました。
おかげで学校も閉校をまぬがれました。村の子供達と一緒に難民の子供たちも学校に来るようになりました。
「難民の子供たちが通学するようになってから活気が戻ってきました」と先生。
先生が教えているのは、ソマリア、パキスタン、エチオピアからの子供たち。
「イタリアで生活したいと言っていますから、ある程度のレベルまでイタリア語を学ぶ必要があります」
難民の受け入れに成功したリアーチェを見習って、近隣の村も難民受け入れに前向きだそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、私の経済学の講義中に眠った生徒を起こさなくてはならなかった。学生にとってはつまらなかっただろうが、監督官まで眠ることはなかろうに・・・」
VDM (Vie de merde)より
日本のメディアが伝えるのは、欧州の難民排斥の動きばかりですが、こういった地元民と難民がwin-winになっているところもあるのですね。確かに、過疎化に歯止めをかけたい町や村にとって、人口が増えるのはよいことですし、もしかしたら後継者難に悩む労働集約産業があればもっとよいかもしれないです。
by opas10 (2015-11-01 22:16)
opas10さん
小さな村は保守的で難民の受け入れは難しいのかなと思いきや、そうでもなさそうです。これは割にうまくいっている例の一つですね。村にも経済効果があるなら、文句を言う人も少なくなります。こういう取材は欧州のメディアだからこそできるのかもしれません。
by carotte (2015-11-03 11:36)