イタリアの伝統と職人 その3 [イタリア]
シリーズの三回目は、シチリア島を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年3月2日に放送)(▸をクリックしても映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
シチリア島の南東部に位置するシラクーザ(Siracusa)。人口は12万弱。
この日は偶然、聖セバスチャンの行列が行われていました。
さて、シチリア島に長く伝わる伝統の技とは一体なんでしょう?
アンジェロ・モルテッラロさんがそれが分かる場所に連れて行ってくれます。
ここはある絵描きさんのアートギャラリー兼アトリエ。問題は絵ではなくその紙。5,000年もの歴史を持つ紙、パピルス紙です。
「これを見てください。このパピルス紙は私が作ったものです」とアンジェロさん。
「エジプト人が使っていた植物パピルスで作られていますが、この紙を作るには私だけが知っているコツがあるんです」
これがその植物パピルスです。水の多い湿地帯に生育しています。
紙の製造方法は古代からずっと変わっていません。
「紙を作るには、この茎の芯を使います。この部分が一番大切なんです。一枚の紙を作るのに4〜5本の茎が必要です」
シチリア島の山間部から流れ出る水のおかげで、パピルスは6メートルくらいまで伸びるそうです。
「私は小さな頃からこのパピルスに囲まれて育ちました」と言うアンジェロさんのお宅では昔ながらのシチリア島の暮らしが続いています。
家族で囲む食卓には、オリーブ、バジル、カノーリが登場します。
カノーリは、リコッタチーズをベースにアーモンドとハチミツを使って作られたデザートです。
パピルス紙作りは代々モルテッラロ家で続けられてきました。
アンジェロさんはお父さんやお祖父さんからつくり方を学んできました。
「子どもたちは小さな時からパピルスの栽培を手伝ってくれましたよ」とお祖父さん。
さて、いよいよアンジェロさんが紙の作り方を教えてくれます。
茎の皮を全部はいで芯だけにしたら薄切りにします。これを抗酸化剤を加えた水に2時間ほど浸します。こうすることで白いのを保つことができます。
次に、このように並べて布をかぶせ板の間に挟みプレス機にかけます。そして3時間ごとに濡れた布を乾いた布に取り替えます。
これを4日間続けると、このように紙が出来上がります。
「これがパピルス紙です。どんな風に引っ張っても破れることはありません。とても丈夫にできています」
こうしてできたパピルス紙には様々な絵が描かれ、シラクーザの街で販売されています。
そしてアンジェロさんは市の依頼を受けて海岸沿いの池でもパプルスを栽培しています。
「こうしてパピルスが育っていくのは嬉しいことですよ」とアンジェロさん。
シラクーザの街は様々な時代の建物が混在していて面白そうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、さっきからウチの猫が紙切れで遊んでいるのに気がついた。よく見ると、それは私が食卓の上に置きっ放しにしていた50ユーロ札だった」
VDM (Vie de merde)より
パピルス紙とは、意外なものを作っていますね。作り方はシンプルなのに、強度も十分なのはビックリです。
by opas10 (2016-03-20 22:10)
opas10さん
今回、私はパピルス紙の作り方を初めて知りました。和紙と違って繊維を絡み合わせて作るんですよね。丈夫になるはずです。
by carotte (2016-03-21 19:36)