イタリアの伝統と職人 その5 [イタリア]
シリーズの最後は、ルネッサンスの中心都市だったフィレンツェを訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年3月4日に放送)(▸をクリックしても映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
お馴染みのこの風景。市街中心部はユネスコの世界遺産に登録されています。
歴史的建造物を数えたらきりがありませんが、その中の一つがベッキオ橋。
橋の上にはお店が並んでいます。大昔は、肉屋、モツ肉屋、皮なめし業者が軒を連ねていましたが、あまりの悪臭のため、メディチ家の時代に宝石店に取って代わられたそうです。
そんなフィレンツェの街を歩く若いカップル、リタさんとヴァレリオさん。
二人はシチリア出身です。皮職人を目指してこの街にやってきました。
「バッグや札入れなど革製品がどうやって作られているのかとても興味があります」とリタさん。
「今日は、初めて学校に行く日なんです。革職人の養成学校です」とヴァレリオさん。
二人は学校へ行く前にサン・ロレンツォ教会近くの市場に寄りました。革製品を売るお店が並んでいます。
「どれも素敵ですね。全部イタリア製ですか?」とヴァレリオさん。
「ああ、そうだよ。イタリアの職人の手作りさ」とお店の方。
「作り方を習っているところなので、こうして実物を見ると作り方がよくわかるようになってきました」とヴァレリオさん。
二人が通うという学校がこちらです。ここは元フランシスコ会の修道院でした。
すでに実習が始まっていました。韓国、日本、シンガポールと集まった生徒さんたちの出身国は様々です。
リタさん、初日は革を触ることはできません。まずはカード入れの型紙作りです。こうして徐々に技術を学んでいきます。
1週間が過ぎた頃、二人は革職人の工房へとやってきました。
やっと本物の革を使って作品を制作することができるようになりました。
指導してくれるのは、この道65年の熟達した革職人カルロ先生です。
「この仕事は常に学び続けることなんだ。カットを学ぶ日があるかと思えば、貼り方を学ぶ日がある」とカルロさん。
二人は熱心にカルロさんの教えに耳を傾けています。
「君たちには様々なことを教えてあげられるが、実際に作るのは君たちなんだ。経験が大切なんだよ」
リタさんはフィレンツェに来たばかりの時はまだちょっと迷いがありました。でも学校で学んでいるうちに何かをつかんだようです。
「ノミにかなづち、どの道具もシンプルにできますが、いつも使ってます。これからもずっと使い続けることになるでしょう。革とは一生に付き合いになると思います」
仕上がった作品にはこうして金のイニシャルを刻印してもらいます。
先が見えてきたのか二人とも笑顔がこぼれます。
「革の勉強は二人一緒に始めましたが、終わるのも二人一緒です」とヴァレリオさん。
二人は、これから6ヶ月間しっかり学んで資格を取得したら、次のステップへと歩みを進めていくことになりそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、泥棒に入られた。パソコンや電子機器は盗まれずに残っていたのに、スーツ、革靴、時計がなくなっていた。うちに入った泥棒は就活中だったか・・・」
VDM (Vie de merde)より
フィレンツェは革職人の街でもあったのですか、不覚にも知りませんでした!イタリアの高級装身具ブランドを支えているのはこうした伝統技術なんですね。
by opas10 (2016-03-20 22:31)
opas10さん
私も皮職人の街だとは知りませんでした。学校まであるくらいですから盛んなようです。こんなところで学べるなんていいですね。
by carotte (2016-03-21 23:18)