週末はメスで [パリから週末旅]
月曜日は恒例の週末旅。今回はフランス北東部の都市メス(Metz)を訪ねます。
パリ東駅からTGVで約1時間半。1〜2時間おきに列車が出ています。
メスは19世紀後半にはドイツの領土、第一次世界大戦以降は、第二次世界大戦で一時ナチス・ドイツの占領下にあったとはいえ、ずっとフランスの領土になっています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年4月30日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
この騎士の像、現在の駅舎が完成した1908年からここでずっと駅を見守っています。
1908年ということはドイツ領だった頃にできたということになります。
旅はこの駅から始まりますが、今回の移動の手段は・・・徒歩。
歩きやすいスニーカーに履き替えたら出発です。
最初の観光ポイントは駅から歩いて15分のところにあるサン=テティエンヌ大聖堂。
アーチ型の天井は高さ40メートル、尖塔までは90メートルあります。
1552年の竣工。見事なゴシック様式の教会は完成までに300年かかりました。
中に入って目を奪われるのはステンドグラス。すべてのステンドグラスを合わせると6,500㎡にもなるそうです。
13世紀のステンドグラスに混じってシャガールの作品もあります。
そして地下礼拝堂に降りると面白いものが保存されていました。
グラウリー(Graoully)と呼ばれるドラゴンの像。
教会だけでなく街角にも登場するこのドラゴン。こんな伝説がありました。
10世紀末、キリスト教の布教のために聖クレマンがメスに派遣されます。
しかし、メスの円形劇場に住みついていたグラウリーが口から毒を撒き散らし邪魔をします。
そこで聖クレマンが十字を切るとグラウリーはたちまち大人しくなり、セール川に連れて行かれ、それっきり姿を現さなくなってしまったということです。
テゾン通りにはこのグラウリーの像が飾ってあります。
「この通りはどうしてテゾン通り(rue Taison)と言うんですか?」とリポーター。
「聖クレマンがグラウリーを退治にやってきた時、『静かに!静かに!(Taison-nous!)ドラゴンを起こしてはいけない』と言いながらここを歩いて行ったからです」と男性。
さて、お腹も空いたところでランチをいただくことにしましょう。
入ったお店はL'Epicerie Baci(37 place Saint Louis à Metz - Tel : 03 87 18 89 18)。イタリア料理のお店です。
産業革命の時代、多くのイタリア人がメスにやってきたおかげで、このようなお店が今も残っているそうです。
注文したのはミケッタ・モルタデッラ(Michetta Mortadella)。バラの花の形をしたパンにボローニャ産のソーセージを挟んだもの。
ワインとデザートとコーヒーもいただいて、締めて15.20ユーロ。
午後は、2010年に開館したメスのポンピドゥーセンターへ。
この個性的な建物、日本人建築家の坂茂さんも参加して設計されました。
中は面白そうな現代アートでいっぱいです。時間を忘れてしまう前に今夜の宿へ向かいましょう。
モゼール川につながる運河に浮かぶボートPéniche L'Appartéがその宿です。
オーナーの趣味で集められた調度品でまとめられています。朝食付きで一泊85ユーロ。
宿が決まったところでメスのナイトライフを楽しみましょう。
向かったのはライブハウスLes Trinitaires。
ここはかつて修道院だったそうです。すごい変わりようですね。しかし、建物をよく見ると確かに修道院だったことがわかります。
さて、今回の週末旅の費用は、TGV往復105ユーロ、地下礼拝堂入場料4ユーロ、ランチ15.20ユーロ、宿泊代85ユーロ、美術館10ユーロ、ライブハウス18ユーロで、締めて237.20ユーロ(約29,000円)でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、目がさめると妹たちがお姫様ごっこをしていた。そして家の各部屋には名前が付けられていた。僕の部屋は “ドラゴンの洞窟” と名付けられていた」
VDM (Vie de merde)より
carotteさん、こんにちは。
独仏関係史を読むのが好きなので、メスやヴェルダンへは、良く行きました。懐かしい所です。ところで、最初のほうの文章、「第一次世界大戦以降」と「第二次世界大戦」の間に、「、フランスの領土、」という言葉が脱落してしまったのではありませんか?
by huck (2016-05-03 11:25)
huckさん、こんばんは。
ちょっと読み苦しい文章になってしまったので修正しました。
ヴェルダンの戦いは今年でちょうど100年目にあたるせいか、今でもフランスの報道番組で特集してたりしますね。アルザス・ロレーヌ地方はドイツ領になったりフランス領になったりで色々大変だったようですが、2つの文化が混ざり合って面白いところでもあります。
by carotte (2016-05-04 21:25)