セマホア信号所 [地方の小さなできごと]
セマホア信号所とは、海や川を行く船舶に航行の状況を逐一知らせる施設のこと。
最初のセマホア信号所はナポレオン時代の1806年に作られました。
当時は、敵の船舶を発見したら、その様子を発光信号で伝えていたそうです。
この信号所は現代もしっかりその役割を果たしています。ただ通信方法は無線に変わりました。
ブルターニュ地方のエテル川にある信号所は、36年もの間、ある女性によって運営されてきました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2016年6月13日に放送)(▸をクリックしても映像が出てこない時はウィンドウの下の文字をクリック)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
Bretagne : Josiane dit adieu au sémaphore d'Étel
この日、いつものようにジョジアヌさんが無線のスイッチを入れた途端、目の前にたくさんのボートがやってきました。
釣り船、プレジャーボート、救命ボート等々。
よく見ると何やらプラカードのようなものが掲げられています。
そこには “ありがとう、ジョジアヌ!”の文字。
ジョジアヌさんへの感謝の気持ちが書かれてあったのです。
ジョジアヌさん、予期せぬ出来事に感動で胸がいっぱい。
「みなさん、こんにちは。来てくれてありがとう・・・」
実は今日はジョジアヌさんにとって信号所で過ごす最後の日。
36年間務めてきた仕事に区切りをつけ引退することにしたのです。
思えば、暑い日も寒い日も、夜も昼も、船舶の安全を願ってひたすら無線で情報を送り続けてきました。
「胸がいっぱいになってしまいました。いつもなら一隻ずつ通って行くのに、今日は勢ぞろいでしたからね」とジョジアヌさん。
ジョジアヌさんがここにやってきたのは今から46年も前のこと。
ご主人がこの信号所で働いていたからです。
しかし、10年後、ご主人が亡くなり、結局、その仕事を継ぐことにしたのです。
当時、大きな話題になったらしく、古い映像が残されていました。
「船がやってくると状況を知らせて航路を案内するんです」と若かりし頃のジョジアヌさん。
メモを取ったりハンドルを回したり、レーダーをチェックしたりと忙しそうです。
「簡単な仕事ではありませんが好きなんです」
こうして36年間、毎日働いてきました。
「この辺りは危険な場所ですから、セマホアがあるおかげで安全に航行できます。しかも、信号じゃなくて言葉で親切に教えてもらえますからね。ありがたいです」と男性。
「彼女がいてくれたから安心できました。ちょっと寂しいですね」と別の男性。
娘さんとお孫さんに囲まれたジョジアヌさん、最後の仕事が終わったら、ブルターニュ地方の海辺の町でのんびり過ごすことになっているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、私の誕生日。息子と娘がケーキに立てるろうそくのことで喧嘩になった。息子は私の38歳だから38本だといい、娘は39歳だから39本だと言う。本当のところ私は36歳なのだか・・・」
VDM (Vie de merde)より
なかなか味のある信号所ですね。国内の船舶向けの信号所は、海上保安庁がやっていますが、型にはまった感じです。それも無人化が進み、国際VHFの声も聞かなくなりました。
by 讃岐人 (2016-06-15 14:37)
讃岐人さん
情報を送る側ももらう側も人間味のある信号所ですね。
日本は海上保安庁がやってるんですね。ひょっとしたらフランスも有人は少なくなっているかもしれません。
by carotte (2016-06-18 00:19)
船乗りらしい粋な計らいですね~。
by opas10 (2016-06-26 10:44)
opas10さん
この話、なかなか感動的でした。
船乗りの皆さん、ジョジアヌさんを頼りにしてたんでしょうね。
by carotte (2016-07-03 14:42)