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世界のタクシー運転手5 [イタリア]

 昨日は東京も冷え込みました。雨の中に雪がちらちら。

 

 暖かい家に早く帰りたい!そんな感じの寒さでした。

 

 さて、タクシー運転手シリーズの最後は、ヨーロッパに戻ります。

 

 水の都ヴェネツィア。運河をすべるように行き交うゴンドラはのんびり旅を楽しむ観光客専門。

 

 それよりもっと実用的で早いのが水上タクシーです。本日はその水上タクシーの運転手を紹介します。

 

Rome_Venise1.jpg




 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2017年1月10日に放送)(映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。

 相変わらず美しいベニスの街。

 

 ゴンドラやヴァポレットと呼ばれる水上バスに混じって、小回りのきく水上タクシーが走っていきます。

 

 運転しているのはセバスティアーノさん、31歳。

 

 「毎日、僕は幸運だなあと思う。特に今日みたいなお天気の日にはね。時が止まったみたいです。あのカナル・グランデを見て。素晴らしいでしょう。僕はここで生まれたんだ。だから、やっぱりここで死にたいねえ」

 

 水上タクシーを運転して今年で15年になります。

 

 おっと、危ない。頭をぶつけないように!毎日、こうして450本もの橋の下を走ります。

 

 水上タクシーの制限速度は時速5キロで左側通行。そしてゴンドラがやってきたら道を譲らなくてはなりません。

 

 セバスティアーノさん、今日はお金持ちのアメリカ人観光客をホテルの乗船口でピックアップ。

 

 料金は、約30分のコースで100ユーロほど(12,000円)となかなかのお値段。

 

 「ヴェネツィアでは色々試してみましたが、これが一番いい方法ですよ」と男性。

 

 「ヴェネツィアは本当に素晴らしいところです。このボートは内装も素敵。映画スターになった気分です」と女性。

 

 確かに、あのジョージ・クルーニーはついこの間、結婚式で水上タクシーに乗っていました。

 

 他にも、ブラッド・ピット、ウッディー・アレン、アルパチーノもご利用になりました。

 

 この水上タクシー、そこいらのモーターボートと違い、ピカピカに磨いてあって高級感が漂います。

 

 今日はその水上タクシーを製造している工場を訪ねてみましょう。

 

 ここはムラーノ島。父親からこの工場を引き継いだサルバドールさんが案内してくれます。

 

 中に入ると長さ10メートルはある木材が並べられています。マホガニーです。ここで3〜4年かけて乾燥させるそうです。

 

 「一隻のボートを作るのに、この板一枚を使います。外側と内側の色を統一させるためです」

 

 強さとしなやかさを持つボートを作るためには、こうして人の手が欠かせません。

 

 従って一つとして同じボートはありません。全てがオンリー・ワン。

 

 「これを見てください。ムラーノ島のマホガニーで作られています。色と木目が均一でしょう。素晴らしいボートになりますよ」とサルバドールさん。

 

 こちらはちょっとモダンな造りのボート。しかし、マホガニーは必ずどこかで使われています。これがあるのとないのでは高級感が違います。

 

 一隻のお値段は250,000ユーロほど(約3000万円)。高いですねえ〜。

 

 何しろ、各パーツは、ニス塗っては乾かし、塗っては乾かしを15回繰り返して完成させるそうです。

 

 手作りでこれだけの作業が必要となると3000万でも致し方ないのかも。

 

 こちらの水上タクシーはすでに塩水の上を10年走ってきました。これからニスの塗り直しです。

 

 塩水から守るためには年間3回の塗り替えが必要だそうです。

 

 こうしてできたのが水上タクシーです。車でいえばボンネットのあたりには鏡のようにヴェネツィアの街が映っています。

 

 「あのリアルト橋の下は、彼が彼女に結婚を申し込む場所なんです。ロマンチックでしょう?」とバスティアーノさん。

 

 このボートは仕事の道具以上の存在だそうです。

 

 「これは私の一部なんです。手入れを欠かさず、朝の仕事始めも、夜の終業時も、必ず話しかけます。僕の奥さんみたいなもんですね。それとも家かな」

 

 そろそろカーニバルの季節がやってきます。そうなればのんびりしては入られません。

 

 この美しいボートで運河を走り回ることになるのでしょう。

 

 終わり。 

 

  

 

******** フランス人のつぶやき *******

 


 

「今日、気温マイナス12度。コペンハーゲンで観光船に乗りアルバイトをしている。お客が橋に頭をぶつけないよう注意する係だ。おかげで船内に入れず、ずっと立ちっ放し[もうやだ~(悲しい顔)]

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 4

t-toshi

ベニスを訪れた前日にニュース流れた程の大雨が降り、周囲は増水。ゴンドラに乗ったものの、橋がくぐれず、ずっと沖のカモメよろしく漂ったままの観光でした。ちと、ゴンドラに恨み有りです。
by t-toshi (2017-02-10 12:20) 

carotte

t-toshiさん
運河が増水してたんですねえ〜。残念でした。
しかし、私は二回もベニスには行ったのに、ゴンドラには乗らないままでした。料金が高いんですよ。ツアーでいけば安上がりで乗りやすいのかもしれませんね。
by carotte (2017-02-11 14:48) 

opas10

水上タクシーの内装、工芸品ですね。そして船の工場、マホガニーもすごいですが、HONDA Marineのロゴが掲っていました。船外機はメイドインジャパンなんですね。
by opas10 (2017-02-12 13:07) 

carotte

opas10さん
水上タクシーがこれほどまでにこだわりのあるボートとは知りませんでした。やっぱり土地柄なんでしょうかね。HONDA Marine、目立ってましたね。前回のダカールの時はTOYOTAが並んでました。
by carotte (2017-02-18 17:39) 

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